2025-8-1

2型糖尿病(T2DM)は,冠動脈疾患(CHD)の主要なリスク因子であることが知られており,その同定は重要である。CHDの診断には冠動脈造影(CAG)が広く用いられるが,カテーテルを血管内に挿入し,造影剤を用いて冠動脈を映し出すため,侵襲的な手法である。中国・重慶医科大学の研究チームは,T2DM患者におけるCHDを予測する機械学習モデルを開発し,その成果をFrontiersに発表した。
研究チームによると,中国・重慶医科大学の医療データプラットフォームからCAGを受けたT2DM患者のデータをレトロスペクティブに収集し,2,517名を解析の対象とした(T2DM+CHD群1,943名,T2DM単独群574名)。5つの機械学習モデルが比較され,その結果,RFE(再帰的特徴量削減)+LightGBMで特徴量選択を行ったXGBoostが最も優れたパフォーマンスを示した(AUC:0.814,正解率:0.799,適合率:0.841,再現率:0.920,F1スコア:0.879)。SHapley Additive exPlanations分析では,年齢,高血圧,喫煙の有無,HbA1c,血糖値,総タンパク,クレアチニン,AST,HDL-コレステロール,リポタンパク(a),アポリポプロテインA-1,フィブリノーゲン,アルブミンの13の特徴量が重要因子として特定された。
今回の研究により,本機械学習モデルを用いることで,容易にアクセスできる臨床データからT2DM患者におけるCHDを特定できる可能性が示唆されている。したがって,本モデルは,特にプライマリケアなどでCHDを容易に同定できない場面において役立つ可能性がある。著者らは,「時間経過を考慮した予測精度を評価するためには,縦断的な前向き研究によるフォローアップが必要である」と述べている。
【参照論文】
Machine learning-based coronary heart disease diagnosis model for type 2 diabetes patients