2020-4-23
デジタル式乳房用X線診断装置
「AMULET Innovality」
富士フイルムのデジタル式乳房用X線診断装置「AMULET Innovality」は,最小画素サイズ50μmの直接変換方式FPDを搭載し,i-AECによって被検者に合わせた最適な線量で検査を可能にする。また,マンモグラフィのための画像処理技術“Excellent-m”は,被写体構造を正確に解析する技術をベースとして,被ばく線量の低減と画質の向上を両立する。ISC(Image-based Spectrum Conversion)は,画像解析によって乳腺/脂肪の量と圧迫厚,X線スペクトラルの違いで生じるコントラスト差を補正する技術で線質補正を行う。また,FSC(Fine Structure Control)は,撮影画像から構造パターンを認識し,人体構造の信号と,ランダムなノイズ成分を分離し,乳腺や石灰化などの信号のみを強調することで鮮鋭性/コントラストを向上し,ノイズ成分は抑制することで低線量撮影を可能にする。ISCにFSCを加えることで従来比30%減の低線量撮影が可能になる。
AMULET Innovalityのトモシンセシス撮影は,目的に応じた2つの撮影モードを持つ。フォローアップや検診などの存在診断に用いられるST(Standard)モードと,精査目的の追加撮影に用いられるHR(High Resolution)モードである。STモードでは管球の振り角15°で,約4秒でトモシンセシス撮影ができ,被ばく線量も0.7mGy(*)に抑えられている。HRモードは,撮影角度40°で,約9秒で深さ方向の分解能を向上した撮影を行う。また,トモシンセシス撮影された複数の画像を合成して2D画像を作成するS-View(Synthesized View,オプション)は,従来の2D画像と診断能に遜色がないとされており,これを採用することでさらなる被ばく線量の低減も期待される。
*平均的な乳房厚〔PMMA厚40mm(乳房厚45mm,脂肪/乳腺=50/50)〕における
また,AMULET Innovalityでは,乳房の圧迫を自動で減圧制御するComfort Comp(コンフォートコンプ)機能“なごむね”が利用できる(オプション)。マンモグラフィ検査のハードルの一つが,撮影時の乳房圧迫に伴う痛みや不快感であると考えられる。“なごむね”は,ヒステリシス現象に着目した圧迫制御の方法で,最大圧迫圧の時間を短くしても乳房厚を薄いままに保ち,従来と同等の画質と線量で撮影を可能にする。なごむねの操作は,圧迫板をセットした部分のボタンで行えるため,乳房の状態を確認しながら減圧の操作ができ,一連のポジショニングの流れのなかで行えるようになっている。
(文責・編集部)
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