2020-4-23
マルチベンダーのMR画像に対応する「LiLiby QSM」
日立は,大学との共同研究を通じて開発し,3T MRI「TRILLIUM OVAL Cattleya」に実装している定量的磁化率マッピングのアプリケーション“QSM(Quantitative Susceptibility Mapping)”を,より広く医療現場で利用してもらうために,単体の画像診断支援ソフトウエア「LiLiby QSM」として製品化した。必要な撮像条件で撮像したMR画像を解析処理してQSM画像を取得できるソフトウエアで,他社製MRI装置で撮像した画像にも対応する*。
LiLiby QSMでは,MRIの位相画像と絶対値画像を画像処理して,組織間の磁化率の差を画素値に反映させたQSM画像を生成することができる。磁化率は,物質固有の物性値のため物質情報を類推することが可能で,画像では,磁化率の小さい反磁性体(石灰化,神経線維など)は黒く,磁化率の大きい常磁性体(鉄沈着,静脈血など)は白く描出される。
この特徴を踏まえ,QSMの臨床への応用研究が進められている。T2*強調画像では鑑別の難しい出血と石灰化を鑑別できるほか,脳への鉄沈着に着目することで,アルツハイマー型認知症,多発性硬化症,パーキンソン病などの神経性疾患の診断に役立てられる可能性がある。さまざまな疾患や病態を診断できるポテンシャルを持つQSMが,画像診断支援ソリューションLiLiby QSMとして提供されることで,放射線科医の読影を支援することが期待される。なお,日立は今後,画像診断支援のためのプログラムを「LiLiby」というブランド名で展開していく。
*機種によっては解析処理できない場合がある。
(文責・編集部)
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