2020-4-28
イスラエルのMedic Vision Imaging Solutions社の
“SafeCT”とiQMR”
●米国はじめ世界で高い導入実績がある“SafeCT”と“iQMR”
海外の最先端医療技術を日本のユーザーに届けている長瀬産業は,CTやMRIといった画像診断装置の高画質化,被ばく低減や撮像時間の短縮といった被検者の負担を軽減するソフトウエアを展開している。それがイスラエルのMedic Vision Imaging Solutions社が開発したCTスキャナ用ユニバーサル逐次近似再構成ソフトウェアの“SafeCT”と,MRI用3D画像改質システムの“iQMR”である。Medic Vision Imaging Solutions社は2006年に設立された新興企業であるが,その技術力の高さは一目置かれている。イスラエルには,GE社やシーメンス社,フィリップス社といった画像診断装置メーカーの研究施設が多数あり,そこで働いていた技術者たちが起業したのがMedic Vision Imaging Solutions社だ。同社は,その技術力を生かして,SafeCTやiQMRを開発しており,米国では500以上の医療機関で採用されている。
SafeCTは,逐次近似画像再構成法を用いてCT画像のノイズ低減を行うソフトウェアである。画像ベースでの処理を行うため,メーカーや機種を選ばず,過去画像も含めすべてのCT画像に適用することが可能だ。通常,逐次近似画像再構成法を用いたノイズ低減処理はCTに搭載されているため,非搭載の装置では低線量での撮影が難しかった。しかし,SafeCTを導入することで,逐次近似画像再構成を搭載していないCTでも,画質を落とすことなく従来の1/2程度の低線量で撮影が可能となる。臨床試験では,被ばく線量を50〜80%低減できたという。高価なCTを導入しなくても低コストで低被ばくでの検査が可能になるため,医療機関経営の観点からも経済性に優れたソフトウェアだと言える。
SafeCTの肝となるのが,“GiRR3D画像処理技術”である。ノイズ分布統計モデルを用いた独自のSNR向上技術が,ノイズ低減やエッジ保存,低コントラスト検出能において威力を発揮する。この技術によって,従来の逐次近似画像再構成技術搭載CTでは問題となっていた画質の不自然さがない,高画質を実現している。
実際の運用では,まずCTで撮影したデータをSafeCTに送信する。SafeCTでは,DICOM tagの情報に基づいて部位が特定され,事前に設定していたパラメータに基づき,最適なノイズ低減処理が行われる。処理した画像はPACSに送られ保存される。また,過去画像の場合は,PACSに保存された画像をSafeCTに送信して,処理を行うことになる。画像処理にかかる時間は,400枚のスライス画像ならば90秒以内で,逐次近似画像再構成技術搭載CTよりも高速だ。
●画質を維持したまま撮像時間を3割短縮できるiQMR
iQMRは,2019年7月から国内での販売が開始された。MRIは撮像時間の長さがウイークポイントと言われているが,短い撮像時間ではノイズが多くなってしまう。この問題を解決するために開発されたのがiQMRだ。iQMRは,撮像後の画像に対してノイズを除去する画像処理を行うことが可能。SafeCT同様,メーカーや機種を問わずにMR画像のSNRを向上させ,画質を改善する。これにより,画質よりも時間を優先した撮像条件を設定できる。長瀬産業では,平均3割程度の時間短縮が可能だとしている。撮像時間を短縮することは被検者の負担を軽減ことはもとより,体動の発生を防ぐことにもつながり,再撮像を防ぐことにもつながる。
また,iQMRでは,2D/3D,部位ごとにノイズ低減プロトコールがあり,5段階のレベルから選択できる。エッジ強調処理も3段階用意されている。データフローは,SafeCTと同様,撮像後,PACSへ送られる前に自動的にiQMRへデータが送信され,,画像処理を実行。その画像がPACSに保存される。自動処理のため,複雑な設定もなく容易に操作できる。
(文責・編集部)
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社名:長瀬産業株式会社
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