2020-4-13
ヘリウムフリーの1.5T MRI
「Ingenia Ambition 1.5T」
●ヘリウムフリー*1で経営に貢献する1.5T MRI「Ingenia Ambition 1.5T」
日本国内では2019年4月に発売された1.5T MRI「Ingenia Ambition 1.5T」は,東海大学で国内1号機が稼働を開始するなど,国内へのインストールが始まっている。Ingenia Ambition 1.5Tの最大の特長は,新開発の“BlueSealマグネット”により,わずか7Lの液体ヘリウムで超電導状態を維持できるヘリウムフリーな点である。フィリップスがめざす4つの目標のうち,コスト削減など経営に貢献する装置と言える。ヘリウムフリーは,液体ヘリウム自体のコストを削減できるだけでなく,装置が軽量化(従来比マイナス約900kg)し,クエンチパイプも不要になることから,MRI検査室の配置を柔軟にし,設置時の施工コストも削減することができる。ユーザーによるクエンチマネージメントが可能な新機能“EasySwitch Solution”も実装され,万が一の際のダウンタイムを最小化できる。
*1 7Lのヘリウムで超電導を維持
●2020年に提供開始予定の臨床アプリケーション“R5.7”
2020年夏頃に,臨床アプリケーション“R5.7”(リリース5.7)のリリースが予定されている。R5.7において,最も注目されるのが“4D FreeBreathing”である。複数の撮像技術,画像再構成技術を組み合わせたアプリケーションで,息止めや呼吸同期をすることなく,5〜6秒のダイナミックスキャンを複数回撮像することで,アーチファクトのない高分解能な腹部画像を取得することができる。欧米に比べてアジアや日本では肝臓疾患が多いことから,肝臓検査のニーズは高いが,4D FreeBreathingを用いることで息止め不良による再撮像を回避することができる。フィリップスのめざす4つの目標のうち,アウトカムの向上や患者満足度の実現に合致するアプリケーションといえるだろう。
R5.7ではこのほかにも,鉄沈着がある肝臓においても高精度にエラストグラフィ計測が可能な“MR Elastography Extension”や, 歪みにくく,良好な脂肪抑制を得られる“SmartShim”などがリリースされる。なおR5.7は,「Ingenia Elition 3.0T」や「Ingenia Ambition 1.5T」,「Ingenia Prodiva 1.5T」など,Ingeniaの全機種に搭載することが可能である。
また,今春のトピックとして,2020年度診療報酬改定にて,全身MRI撮影(DWIBS)加算として,施設基準に適合した医療機関は600点が算定可能となった。従来,SPECTやPETで行われてきた前立腺がんの骨転移検索が,DWIBSでも加算可能になることから,フィリップスでは,DWIBSと高速撮像技術“Compressed SENSE”の組み合わせによる有用性を発信している。加算算定には,DWIBSだけでなくT1,T2などの撮像も必要であり,それらを含めた全身MRIプロトコール撮像には,2Dシーケンスで25分ほどの時間を要する。そこで,Compressed SENSEを併用することで,同じ25分の検査で3Dシーケンスまで含めた検査を行うことが可能となり,より多くの情報を取得することができる。診断におけるアウトカムの向上に貢献する活用方法として,臨床現場での活用が期待される。
(文責・編集部)
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