2020-4-15
定位手術的照射(SRS)治療専用ツール
“HyperArc”の画面例
●転移性多発性脳腫瘍へのノンコプラナー照射を効率的に実施可能な“HyperArc”
主に転移性脳腫瘍に対する定位手術的照射(SRS)治療専用ツールである“HyperArc”は,放射線治療装置「TrueBeam」シリーズに搭載可能な技術である。転移性多発性脳腫瘍の複数の腫瘍に対するノンコプラナー照射を,治療計画ワークフローをシンプル化することなどにより,短時間で効率的に実施できるよう設計されている。通常,多発性脳腫瘍に対するSRSは,1つ1つの腫瘍に対して照射を行うため治療時間の延長が問題となるが,HyperArcでは,シングルアイソセンタで複数のターゲットへの照射が可能なため,治療時間の大幅な短縮が可能となる。また,正常組織への線量を低減できることも大きなメリットである。さらに,HyperArcにはバーチャル・ドライラン機能が搭載されており,放射線治療計画装置上で,患者の3Dモデル動画にて事前にガントリと治療台の軌道を確認し,衝突の危険を回避できるなど,安全性にも配慮した設計となっている。
●HyperArcを標準搭載した放射線治療装置「TrueBeam Edge」
放射線治療装置TrueBeamシリーズは,次世代の放射線治療に対応可能な汎用性の高さが特長である。定位放射線治療(SRT/SRS)や強度変調放射線治療(IMRT)などの高精度放射線治療を高度に実施することができる。なかでもTrueBeam Edgeは定位放射線治療にオプティマイズされたソリューションで,HyperArcを標準搭載している。
TrueBeam Edgeは小さい標的に対して照射野を形成するため,2.5mmの細いmulti-leaf collimator(MLC)を搭載し,正常臓器への線量低減を図っているほか,高出力な最大線量率によって照射時間を短縮し,さらに定位放射線治療に対応することにより,分割数の少ない治療を支援している。また,高度な画像誘導を実現するため,多彩なcone-beam CT(CBCT)撮影技術や画像再構成技術を搭載し,高品質な治療の実施が可能となっている。
(文責・編集部)
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