2021-11-11
東京曳舟病院に納入された
「Medical-ConneX」の1号機
シーメンスヘルスケア(株)は,同社が開発した,CT装置と免疫・生化学分析装置を同時搭載した世界初の移動型医療ソリューション「Medical-ConneX」の1号機を医療法人伯鳳会東京曳舟病院(東京都墨田区)に納入した。Medical-ConneXは,伯鳳会グループと同社が2017年4月に締結した「救急災害医療を中心とした医療機器の運用およびサービスに関するパートナーシップ」に基づき開発したソリューション。今回納入された1号機は,免疫・生化学分析装置「Dimension EXL 200 Refresh」やタブレット端末で操作可能なCT装置「SOMATOM go. UP」,超音波診断装置「ACUSON Juniper」などを車載した検査用車両と,100kVAの発電機やITシステム,物品保管庫などを配置した電源用車両の2台の自走式車両で構成され,災害医療のほか,新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応のための発熱外来や検診業務などにも対応可能な“動く病院”を実現した。検査用車両と電源用車両を独立させたことでさまざまなケースに柔軟に対応できるほか,施設のニーズによって仕様を変更することが可能で,シーメンスヘルスケアでは今後1年間で10台程度の納入を目標としている。
1号機を導入した東京曳舟病院は,東京都指定の災害拠点病院ならびに東京DMAT指定病院として,多くの災害派遣実績を持つ。それらの経験から,Medical-ConneXは,救命救急における外傷初期診療のプライマリーサーベイの必要項目をその場で検査できる機器を搭載。フェリーでの輸送も可能で,島嶼を含む僻地での救援活動を行え,SRSサービス回線を利用した医療機関との接続により,現地の活動を支援する。車両拡幅機能により,検査用車両の効果的なワークスペースを確保するほか,画像診断支援システム“AI-Rad Companion”搭載により,現場の医師の診断をサポートする。電源用車両は,検査用車両で生成される各種データを一元管理する統合情報管理システム,厳密な温度管理を必要とする検査用試薬に対応する恒温器などを搭載する。これらの設備や機能により,発災直後の救急災害医療のみならず,発災後1か月の急性期外科・内科疾患や慢性疾患など,中長期のスパンで対応可能である。
今回の1号機の納入に伴い,2021年11月9日(火)に東京プリンスホテル(東京都港区)で記者発表会および車両見学会が開催された。記者発表会では,シーメンスヘルスケア代表取締役社長の森 秀顕氏や同社アライアンス事業推進本部の山本宣治氏がMedical-ConneXのコンセプトや仕様を解説したほか,伯鳳会グループ理事長の古城資久氏と東京曳舟病院院長の山本保博氏がMedical-ConneX導入の意図や今後の運用について発表した。古城氏は,「全国各地に10台のMedical-ConneXがあれば,日本の災害対応が大きく変わるのではないか」と述べ,今後のMedical-ConneX導入拡大への期待を述べた。また,山本保博氏はアフターコロナに向けた準備の一環として,新型コロナウイルス感染症の軽症と中等症の中間的な患者を収容するための自宅(Home)と病院(Hospital)の中間的な施設「Homespital」を提唱。ここでも,Medical-ConneXが果たす役割に期待が持てるとした。
●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア(株)
TEL 0120-041-387
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