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第27回CTサミットが「ONWARD−革新の潮流に乗って」をテーマに開催

2024-8-8

テーマは「ONWARD−革新の潮流に乗って」

テーマは「ONWARD−革新の潮流に乗って」

第27回CTサミットが2024年7月27日(土),「ONWARD−革新の潮流に乗って」をテーマに,九州大学医学部百年講堂(福岡県福岡市)で開催された。主催はCTサミット。当番世話人を船間芳憲氏(熊本大学),実行委員長を白坂 崇氏(九州大学病院)が務めた。福岡県の開催は2018年の第22回CTサミット以来となる。開会に当たり挨拶に立った船間氏は,今回のテーマについて,流れが速い今の時代において,トレンドを柔軟かつ大局的にとらえて,未来に進んでいくための機会にしたいと説明。さらに,生成AIが作成した挨拶文を読み上げた。

会場となった九州大学医学部百年講堂

会場となった九州大学医学部百年講堂

 

2018年以来の福岡県での開催

2018年以来の福岡県での開催

 

当番世話人/代表世話人:船間芳憲 氏(熊本大学)

当番世話人/代表世話人:船間芳憲 氏(熊本大学)

 

実行委員長:白坂 崇 氏(九州大学病院)

実行委員長:白坂 崇 氏(九州大学病院)

 

船間氏の挨拶に続いて,基調講演「DECTの実用展開」が行われた(協力:九州CT研究会)。座長を大村知己氏(秋田県立循環器・脳脊髄センター)と西嶋康二郎氏(大分県立病院)が務め,2名の講演者が登壇した。先に,坂部大介氏(熊本大学病院)が,「DECTをフル活用するための最適な運用と臨床応用」をテーマに講演した。熊本大学病院は,dual layer方式とkV switching方式の2台の装置でDECTを施行している。このうちdual layer方式CTでは,全例でスペクトラル画像を取得している。坂部氏は,胸部,腹部,整形領域でのDECTについて解説を行い,データ管理などについても説明をした。2題目は,「DECTによる救急医療への新たなアプローチ」をテーマに,本田恵一氏(熊本中央病院)が講演した。本田氏は,dual layer方式でのDECTについて,ミスレジストレーションのない画像を得られることや,レトロスペクティブに運用できるといったメリットを挙げた上で,救急領域における電子密度画像,カルシウム抑制画像画像,仮想単色X線画像などを解説。従来装置で得られなかった情報の提供,迅速かつ正確な診断が可能になることで治療の質が向上するという有用性を報告した。

基調講演座長:大村知己 氏(秋田県立循環器脳精髄センター)(写真右)/西嶋康二郎 氏(大分県立病院)

基調講演座長:大村知己 氏(秋田県立循環器・脳脊髄センター)(写真右)/西嶋康二郎 氏(大分県立病院)

 

坂部大介 氏(熊本大学病院)

坂部大介 氏(熊本大学病院)

 

本田恵一 氏(熊本中央病院)

本田恵一 氏(熊本中央病院)

 

次に,三好利治氏(岐阜大学医学部附属病院)と小倉圭史氏(札幌医科大学附属病院)が座長を務め,技術講演「ワークステーションによる画像解析の現在と未来−実臨床へのさらなる貢献」が行われた〔共催:ザイオソフト(株)/アミン(株)〕。まず,奥村秀一郎氏(済生会熊本病院)が,「手術支援による臨床への貢献と未来」をテーマに講演した。奥村氏は,ワークステーションで作成する手術支援画像について,低侵襲手術の増加やIVRの多様化により貢献度が上がっている一方で,作成の難易度も増していると説明。ニーズに応えるためにワークステーションも高精度化・高速化し,自動化技術も進んでいると述べた。さらに,同院の3D Labの活動や診療放射線技師の技能向上について取り組みを解説した。2題目の講演では,「ワークステーションの未来:形態評価のその先へ」をテーマに,榎本隆文氏(熊本大学病院)が登壇した。榎本氏は,構造的心疾患(structual heart disease:SHD)における手術支援画像について解説し,経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)においては,ザイオソフトの「REVORAS」のアプリケーション「心筋ECV解析」による心アミロイドーシスの評価を加えることが有用だと説明。さらに,現在開発中の「CTストレイン」を用いた解析についても報告し,包括的心臓CT検査においてワークステーションは必要不可欠だとまとめた。

技術講演座長:三好利治 氏(岐阜大学医学部附属病院)(写真左)/小倉圭史氏(札幌医科大学附属病院)

技術講演座長:三好利治 氏(岐阜大学医学部附属病院)(写真左)/小倉圭史氏(札幌医科大学附属病院)

 

奥村秀一郎 氏(済生会熊本病院)

奥村秀一郎 氏(済生会熊本病院)

 

榎本隆文 氏(熊本大学病院)

榎本隆文 氏(熊本大学病院)

 

この後ポスター&機器展示を挟んでランチョンセミナーが行われた。舛田隆則氏(川崎医療福祉大学)と辻岡勝美氏(藤田医科大学/チュラロンコン大学)を座長に,バイエル薬品(株),GEヘルスケア・ジャパン(株),(株)フィリップス・ジャパン,シーメンスヘルスケア(株)の4社がプレゼンテーションを行った。

ランチョンセミナー座長:舛田隆則 氏(川崎医療福祉大学)(写真左)/辻岡勝美 氏(藤田医科大学/チュラロンコン大学)

ランチョンセミナー座長:舛田隆則 氏(川崎医療福祉大学)(写真左)/辻岡勝美 氏(藤田医科大学/チュラロンコン大学)

 

さらに,ポスター&機器展示を経て,特別講演1「大腸CTアップデート−診療放射線技師が大腸がん患者を救う」へと進んだ〔共催:キヤノンメディカルシステムズ(株)〕。白坂氏が座長を務め,鶴丸大介氏(九州大学)が講演者として登壇した。鶴丸氏は,大腸がん検診の現状について,内視鏡検査への抵抗があり検診受診率が低いと説明。大腸がん死を防ぐためには検査の絶対数を増やすのではなく,受容性の高い大腸CTを広めることが大切だと述べた。そして,医師の働き方改革に伴う診療放射線技師の業務拡大により,下部消化管検査の処置が可能となったことなどを踏まえて,大腸CTのキーマンとなるのは診療放射線技師であると強調した。

特別講演1座長:白坂 崇 氏(九州大学病院)

特別講演1座長:白坂 崇 氏(九州大学病院)

 

鶴丸大介 氏(九州大学)

鶴丸大介 氏(九州大学)

 

続く特別講演2では,船間氏が座長を務め,尾田済太郎氏(熊本大学)が,「Onward Radiology~多職種連携で前進する放射線部門へ~」をテーマに講演した。尾田氏は,熊本大学病院画像診断・治療科における読影環境を紹介し,検査室の周辺に読影場所を設けていることから放射線科医と診療放射線技師のコミュニケーションがとりやすいと説明。技術的情報や成功・失敗体験の共有ができるといった撮影における多職種連携ができていると述べた。また,尾田氏は,研究においても医師,診療放射線技師,技術開発者の多職種連携が成果を生みやすいとして,これまでの経験を解説。今後の放射線診療・研究は多職種連携がキーポイントになると講演を締めくくった。

特別講演2座長:船間芳憲 氏(熊本大学)

特別講演2座長:船間芳憲 氏(熊本大学)

 

尾田済太郎 氏(熊本大学)

尾田済太郎 氏(熊本大学)

 

続いて三たびポスター&機器展示の時間が設けられ,最後のセッションとなるシンポジウム「ONWARD−革新の潮流に乗って」へと進んだ。高木 卓氏(千葉市立海浜病院)と村上克彦氏(福島県立医科大学医学部附属病院)が座長を務め,4名の講演者が登壇した。最初に「高精細CT×手術支援」として,茅野伸吾氏(東北大学病院)が「高精細CTによる手術デザイン」をテーマに発表した。茅野氏は,神経膠腫の手術において,超高精細CTによるlong insular arteryの描出など術前に情報を提供することで合併症のリスクを低減し,手術成績の向上を図った経験を報告した。続いて,「フォトンカウンティングCT×循環器」について,山﨑暁夫氏(三重大学医学部附属病院)が「PCDCTが与えるインパクト〜循環器領域〜」をテーマに発表した。山﨑氏は,フォトンカウンティングCTの超高空間分解能などの特長を挙げた上で,冠動脈CTでの被ばく線量低減を図れていることやステントの内腔評価が可能になるといったことを評価した。一方で,データ量の増大への対応が重要だと説明した。3番目は「Single energy CT×AI」として,前山しゆき氏/長尾 大氏〔エルピクセル(株)〕が,「製品としてのAI開発」をテーマに発表した。同社は短期間に多くの製品を発表する体制としており,医療機関の協力の下に,AIモデルの開発から医療機器認証まで自社で行う強みを有している。前山氏がこれらを紹介した上で,長尾氏がアルゴリズム開発について解説した。次いで,「Dual energy CT×放射線治療」について,大平新吾氏(東京都立大学)が,「DECTが切り拓く,新たな放射線治療戦略」をテーマに発表した。大平氏は,放射線治療の最近の動向として,腫瘍に限局して照射,寡分割による短時間かつ強力な治療,マージンの縮小,個別化医療を挙げた。そして,肝がん・膵がんの放射線治療ついて解説して,近年の放射線治療はイメージング技術が重要になっており,DECTは新たな治療戦略を提供できるとまとめた。

シンポジウム座長:高木 卓 氏(千葉市立海浜病院)/村上克彦 氏(福島県立医科大学医学部附属病院)

シンポジウム座長:高木 卓 氏(千葉市立海浜病院)/村上克彦 氏(福島県立医科大学医学部附属病院)

 

茅野伸吾 氏(東北大学病院)

茅野伸吾 氏(東北大学病院)

 

山﨑暁夫 氏(三重大学医学部附属病院)

山﨑暁夫 氏(三重大学医学部附属病院)

 

前山しゆき 氏(エルピクセル)

前山しゆき 氏(エルピクセル)

 

長尾 大 氏(エルピクセル)

長尾 大 氏(エルピクセル)

 

大平新吾 氏(東京都立大学)

大平新吾 氏(東京都立大学)

 

この後,ポスター発表の表彰式を経て,次回当番世話人の三好氏が挨拶を行った。第28回CTサミットは,「Be Reborn !! 生まれ変わるCT検査の概念」をテーマに,2025年8月2日(土),じゅうろくプラザ(岐阜県岐阜市)を会場に行われる予定である。

盛況だったポスター&機器展示会場

盛況だったポスター&機器展示会場

 

次回当番世話人:三好利治 氏(岐阜大学医学部附属病院)

次回当番世話人:三好利治 氏(岐阜大学医学部附属病院)

 

成功裏に閉会した第27回CTサミットの実行委員などスタッフ

成功裏に閉会した第27回CTサミットの実行委員などスタッフ

 

●ポスター発表表彰

Magna Cum Laude
ワークステーションのノイズ低減処理を用いたMix-Addによる造影効果の増強
山中良太 氏(岡山赤十字病院)ほか

ワークステーションのノイズ低減処理を用いたMix-Addによる造影効果の増強 山中良太 氏(岡山赤十字病院)ほか

 

Cum Laude
CNNによる2方向位置決め画像を用いた救急患者の体重推定の試み
吉川直輝 氏(大分県立病院)ほか

CNNによる2方向位置決め画像を用いた救急患者の体重推定の試み 吉川直輝 氏(大分県立病院)ほか

 

Certificate of Merit
Development in Free-breathing Coronary CTA for patients with high heart rate : using non-device respiratory gating method
秋山宣行 氏(公立陶生病院)ほか

Development in Free-breathing Coronary CTA for patients with high heart rate : using non-device respiratory gating method 秋山宣行 氏(公立陶生病院)ほか

 

●展示協賛(五十音順)
アミン株式会社/ザイオソフト株式会社,キヤノンメディカルシステムズ株式会社,株式会社Sansei,GEヘルスケア・ジャパン株式会社,東洋メディック株式会社,株式会社根本杏林堂,バイエル薬品株式会社,富士フイルムメディカル株式会社

●広告協賛(五十音順)
アクロバイオ株式会社,株式会社インナービジョン,エルピクセル株式会社,株式会社キシヤ,キヤノンメディカルシステムズ株式会社,GEヘルスケア・ジャパン株式会社,GEヘルスケアファーマ株式会社,株式会社千代田テクノル,東洋メディック株式会社,バイエル薬品株式会社,株式会社フィリップス・ジャパン,PSP株式会社,フヨー株式会社

 

●問い合わせ先
第27回CTサミット
http://ctsummit.jp