2025-3-31

液体ヘリウム使用量0.7Lを実現した
1.5TヘリウムフリーMRI「MAGNETOM Flow」
シーメンスヘルスケア(株)は3月18日(火),2024年11月に販売を開始した1.5T MRIの新製品「MAGNETOM Flow」を紹介する発表会をオンラインで開催した。
はじめに,同社MR事業部の菅野康貴氏から,MAGNETOM Flowのコンセプトと特長が紹介された。MAGNETOM Flowは,サスティナブルで効率的なMRI運用の実現をコンセプトに開発された。「DryCool Technology」と最新の人工知能(AI)技術を活用したワークフローの自動化および高速撮像により,持続可能な病院経営を支援する装置となっている。DryCool Technologyによって,従来の超伝導磁石の冷却に必要とされていた最大1500Lの液体ヘリウム使用量を,わずか0.7Lにまで削減し,液体ヘリウムの再充填が不要なヘリウムフリー仕様を実現。冷却機構が密閉型設計のため,クエンチ発生時にもヘリウムが外部排気されることはなくなり,クエンチパイプが不要となったことで設置の自由度が向上した。また,最小設置面積は24m2,装置重量は3.7tと装置自体がコンパクトかつ軽量化されたことで,設置要件の緩和や工事費の削減にもつながっている。さらに,MAGNETOM Flowでは,0.7Lの液体ヘリウムをあえて使用し,装置の冷却に効率的に活用することで,電力消費量を抑制。そのほか,多様な節電機能の組み合わせによって,同社比で最大40%のエネルギー削減を実現した。これらによって設置や運用コスト面での課題が解決されることに加え,多チャンネルで効率的な受信コイルやブランケットコイル,AI技術を活用したワンタッチでの被検者ポジショニング,ワンクリックでのスキャンの自動化などによって,きわめてシンプルなワークフローを実現し,医療スタッフ不足にも対応している。また,AIを用いた画像再構成技術「Deep Resolve」の搭載などによって,撮像時間の短縮と画質向上の両立も実現した。菅野氏は,これらの特長を概説した上で実際のMR画像を提示し,MAGNETOM Flowは高精細な画像を提供するとともに,MRI検査のスループットを大幅に向上することができる装置であるとまとめた。
続いてドイツより,MR事業部の神吉勇佑氏によるMAGNETOM Flowの実機を用いたデモンストレーションが中継された。さまざまなセンサーや優れた操作性,軽量で扱いやすいコイルなどによってきわめて簡便に撮像できるほか,スキャン開始後はAIの活用によって撮像断面や撮像範囲の設定,画像転送などが自動化されていることが紹介された。また,実際の画像を提示し,画像再構成にDeep Resolveを用いることで,1.5T装置でも3T並みの撮像時間と高画質を実現していることが示された。
●問い合わせ先
シーメンスヘルスケア株式会社
東京都品川区大崎1-11-1ゲートシティ大崎ウエストタワー
TEL 03-3493-7500
https://www.siemens-healthineers.com/jp