2020-2-5
(株)フィリップス・ジャパン(以下 フィリップス)は,順天堂大学,東邦ホールディングス(株),旭化成(株),インターリハ(株)と共同で,デジタルヘルスを利活用し,循環器疾患患者の健康寿命延伸をめざす研究講座「デジタルヘルス・遠隔医療研究開発講座」*を開設した。
*講座代表者:保健医療学部 代田 浩之氏・藤原 俊之氏・高橋 哲也氏,医学部循環器内科学講座 葛西 隆敏氏
●背景
近年,インターネット技術の進展に伴って,ヘルスケア・医療の分野においてもInternet of Things(IoT)を用いたデバイス・システム・アプリの開発といったデジタルヘルスイノベーションが注目されている。高齢社会である日本では,高齢者の通院における患者本人の負担の増加,医療従事者や介護者の負担の増加,増悪入院に関連する医療費の負担の増加などが社会問題となっており,病院・地域医療・在宅医療の現場において,これらの負担軽減につながるデジタルヘルスの利活用と遠隔医療の開発が求められている。
●本講座の概要
本講座では,デジタルヘルスを利活用し,遠隔診療システムと遠隔リハビリテーションモニタリングシステムを開発することによって,患者自身のヘルスリテラシーの向上による重症化予防の促進や効率的な診療の提供することを目的としている。このような目的で臨床研究を行っている研究グループは全国でも非常に少なく,介護者・医療従事者の負担減少も念頭に入れた研究開発も価値が高いと考えている。
研究成果の積極的な社会還元を目指し,遠隔モニタリング対応携帯用小型デバイスの使用,そのネットワークシステムの導入,音声入力システムの活用,遠隔リハビリテーションの保険収載も目指していく。
●本講座でのフィリップスの取り組み
・既存のモニタリング情報などを統合した心不全増悪リスクスコアリングアルゴリズムの開発
・遠隔リハビリテーションモニタリングシステムの開発
●今後の展開
慢性心不全患者は,増悪による再入院を繰り返すほど予後が悪化するため,既存のモニタリング情報に心音・心電図を組み合わせた情報を遠隔で管理し,増悪を早期に検知するアルゴリズムを確立して増悪を未然に防ぐことができれば,患者の予後の改善に繋がるとともに,医療費の削減も期待できる。
また,本講座での研究開発における音声認識システムの導入および自動文書化技術の活用により,病院・在宅医療に関するカルテ記載時間が短縮され,医療従事者の負荷の減少に繋がる。
ヘルスリテラシーコンテンツを含む在宅遠隔リハビリシステムの開発によって,リハビリテーションの普及だけでなく,疾病管理や発症予防への応用も可能で,国民の健康増進にも寄与することができるとともに,開発したシステムを国内外へ発信することにより,我が国の高齢者医療モデルを広く展開することも可能と考えられる。
●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
ブランドコミュニケーション部
TEL 03-3740-5896
www.philips.co.jp/healthcare