2022-5-23
(株)エム(以下「エム」)は,東京ミッドタウンクリニック特別診察室における人間ドックの受診者を対象に,全脳の画像解析・脳健康測定プログラム “MVision health” を無料テストランとして提供開始した。テストラン終了の6月までに,上限は設けず100~200名の希望者全員にMVision health を提供する計画。
2022年5月23日に最初の受診者の方に結果レポート送付を完了させたことを受けて,クリニックでの本プログラムの運用,エムでの画像解析,受診者の方への結果連絡を含む一連の流れが順調に機能することを確認した。
今後は,受診者,クリニック双方からのご意見を踏まえて,サービスレベルの検証・改善につなげていく。
■全脳の画像解析・脳健康測定プログラム ”MVision health” について
MVision health の概要
MVision healthは,加齢に伴う変化の特徴である脳の萎縮と血管性変化を総合的に評価する,これまでにない脳健康測定プログラム。米国ジョンズホプキンス大学のAI技術を基盤としてエムが開発した。
脳ドック等の頭部MRI健診に追加することで,加齢に伴う変化を早期から評価し,受診者がとるべき脳の健康維持・改善方法を提示することを目指している。受診者は従来どおりの頭部MRI撮影をするだけでよく,追加の負荷やクリニック側での過剰な作業もなく,エムが作成する解析結果レポートを受け取ることが可能。
MVision healthは医療機器ではなく,いかなる疾病の予防,診断,治療目的に用いられるものではない。医師の診断の元,特定の疾病が認められなかった健常な受診者のためのサービス。
●MVision health の特徴・意義
MVision healthには,1) 脳の多角的な対象構造・指標の選定,2) 統計的に有意なサンプル数からの健康度評価,3) 低い機種依存度・短いMRI測定時間 という特徴がある。これらの特徴は,医療工学の第一人者である創業者の森進(米国ジョンズホプキンス大学教授)ならではの知見と技術ノウハウを活かして,(1) 医学的視点からの意義のみならず,(2) 工学的視点での測定の容易さ・技術普及のスピードとのバランスをも緻密に追求した結果によるもの。すなわち,(1) 海馬などの特定部位に限らず,脳健康状態を把握するのに必要な脳の全構造物を対象とする一方,(2) 施設ごとに異なるMRIの機種・仕様・運用方法および画像データの取扱方法にも配慮し,**全国の多様な施設の状況に寄り添い,柔軟に導入できる「お手軽さ」**を同時に実現している。
エムは,MVision healthを通じて脳疾患を未病の段階で防ぐ「一次予防」に資することを目指しているため,この「医学と工学のバランス」は欠かせないと考えている。なぜなら,一次予防は,発病前の段階である未病段階にある全国の市民に広く働きかけ,病気を発症する人を総人口レベルで大きく減らすことが目的であるからである。保有する施設が限られる高性能のMRIで,時間をかけて,時に導入施設側の運営変更を要求して初めて実現するような仕様のプログラムでは,エムが目指す「脳疾患の一次予防の普及」は実現できない。
■無料テストラン実施の背景
MVision health の基幹機能は既に開発済みで,頭部MR画像から解析結果を返す流れは既に確立できている。しかし,これまでにないプログラムであるため,全国にある様々な施設で,多数の市民に安心して受診してもらうには,サービスレベルの検証や設計当初想定し得なかったトラブルの発見・解消が不可欠。従って,事前に同意を得た受診者を対象に,無料にてMVision healthを提供し,サービスとしての実証を行うことになった。この無料テストランで得た知見を基に,本格的な事業展開に向けたサービスレベルの改善を図っていく。
■今後の展望
無料テストランを経てサービスレベルが充足された段階で,6月頃を目途に東京ミッドタウンクリニック特別診察室の人間ドックコース「スーパーミッドタウンドック」を選んだ方へのサービスとしてのMVision healthの提供を予定している。また,並行して複数の医療機関とテストラン及び正式サービス提供について協議しており,順次提供医療機関を拡大していく計画である。
現在,エムでは提携先の医療機関を広く募集しており,かつMVision health の結果を踏まえた相談先となるメモリークリニックのネットワーク拡充も進めている。
また,医療機関向けプログラム(現時点での仮称 “MVision brain”)の認証取得準備を進めている。(2022年5月現在,クラスII* の医療機器プログラムとしての認証取得準備中)。同プログラムは,MVision health と同じ基幹機能を有しつつも,医療機関による診断用に相応しい仕様に調整されることになっている**。
*医療機器規制国際整合化会合(GHTF)が定める医療機器の国際的な分類方法。クラスII は,不具合が生じた場合でも人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの(MRIなど)が該当する。
**MRIの撮影条件の指定,測定結果出力の対象となる脳の構造物の追加を実施予定
●問い合わせ先
(株)エム COO:谷口善洋
Email: info@corporate-m.com