2020-2-7
中央社会保険医療協議会(中医協)は,2020年2月7日(金),2020(令和2)年度の診療報酬改定を加藤勝信厚生労働大臣に答申した。2019年12月17日に発表されたとおり,診療報酬は本体は0.55%の引き上げ。このうち,0.08%は,消費税財源を用いた救急病院勤務医の働き方改革への対応となり,その分を除くと0.47%となる。各科の改定率を見ると,医科は0.53%,歯科は0.59%,調剤は0.16%。また,薬価は,−0.99%(うち市場拡大再算定の見直しなど,−0.01%),材料価格は−0.02%(うち実勢価等改定−0.01%)と,マイナス改定である。
中医協では,今回の改定について,基本認識として,「健康寿命の延伸,人生100年時代に向けた『全世代型社会保障』の実現」「患者・国民に身近な医療の実現」「どこに住んでいても適切な医療を安心して受けられる社会の実現,医師等の働き方改革の推進」「社会保障制度の安定性・持続可能性の確保,経済・財政との調和」を挙げている。この認識の下に,「医療従事者の負担軽減,医師等の働き方改革の推進」「患者・国民にとって身近であって,安心・安全で質の高い医療の実現」「医療機能の分化・強化,連携と地域包括ケアシステムの推進」「効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上」の4つの視点から策定を行った。
FFRCTに9400点,全身MRIに600点
画像診断では,コンピューター断層撮影診断料として,血流予備量比コンピューター断層撮影(FFRCT)で9400点(月1回)が新設された。また,磁気共鳴コンピューター断層撮影では,全身MRI撮影(DWIBS)加算として,施設基準に適合した医療機関は600点が算定可能となった。
コンピューター断層撮影については,通則4に「頭部外傷に対してコンピューター断層撮影を行った場合は,新生児頭部外傷撮影加算,乳幼児頭部外傷撮影加算又は幼児頭部外傷撮影加算として,それぞれ所定点数の100分の85,100分の55又は100分の35に相当する点数を加算する」と追記された。
核医学診断料は,ポジトロン断層撮影(PET),ポジトロン断層・コンピューター断層複合撮影(PET/CT),ポジトロン断層・磁気共鳴コンピューター断層複合撮影(PET/MRI)において,それぞれ「新生児,3歳未満の乳幼児(新生児を除く。)又は3歳以上6歳未満の幼児に対して断層撮影を行った場合は,新生児加算,乳幼児加算又は幼児加算として,1600点,1000点又は600点を所定点数に加算する。ただし,注3の規定により所定点数を算定する場合においては,1280点,800点又は480点を所定点数に加算する」が追記された。
密封小線源治療の腔内照射は2000点増え1万2000点
放射線治療は,密封小線源治療における腔内照射で,「高線量率イリジウム照射を行った場合又は新型コバルト小線源治療装置を用いた場合」が,1万点から1万2000点に引き上げられた。また,画像誘導密封小線源治療(IBGT)の加算も300点から1200点に増点された。
一方,短期滞在手術等基本料の短期滞在手術等基本料3(4泊5日までの場合)において,「ガンマナイフによる定位放射線治療」が6万403点から5万9199点(生活療養を受ける場合は6万330点から5万9125点)に引き下げられた。
このほか,MRガイド下集束超音波治療に関しては,「集束超音波による機能的定位脳手術」が新設された。パーキンソン病などの手術において,10万5000点を算定できるようになる。
オンライン診療の適応が拡大
今改定では,オンライン診療料の適応も拡大する。新たに,オンライン診療料に「別に厚生労働大臣が定める地域に所在する保険医療機関において,医師の急病等やむを得ない事情により診療の実施が困難となる場合であって,当該保険医療機関が,同一の二次医療圏(医療法第30条の4第2項第12号に規定する区域をいう。)に所在する注1に規定する施設基準に適合しているものとして地方厚生局長等に届け出た他の保険医療機関に依頼し,情報通信機器を用いて初診が行われた場合に,患者1人につき月1回に限り算定する」が追記された。かかりつけ医がやむを得ない事情で診療できない場合は,地域中核病院などがオンライン診療で対応できるようになる。また,特定疾患療養管理料,小児科療養指導料,てんかん指導料,難病外来指導管理料,糖尿病透析予防指導管理料,地域包括診療料,認知症地域包括診療料,生活習慣病管理料などにもオンライン診療が明記された。このほか,外来栄養食事指導料1でも情報通信機器を用いた場合に180点が算定可能になった。