2021-5-31
オリンパス(株)は医療機器メーカーMedi-Tate社(メディテイト,本社:イスラエル ハデラ,以下Medi-Tate社)のすべての発行済株式を取得し,買収を完了した。Medi-Tate社の持つ良性前立腺肥大症(以下BPH)向けの低侵襲治療デバイスを自社の製品ポートフォリオに加えることで,多様化する前立腺疾患の低侵襲治療の普及と患者さんの QOL 向上に貢献していく。
Medi-Tate社は,BPH向けの低侵襲治療デバイスの研究開発,製造を行う医療機器メーカー。同社の主力製品「iTind(アイティンド)」は北米,およびCE認証に基づき欧州の一部地域で販売されている。同社は2018年11月からMedi-Tate社への出資を開始し,出資時の契約には同社の製品を販売する権利と,同社の株式を100%取得できる権利(コールオプション)が含まれており,2021年2月から全株式取得に向けた交渉を行ってきた。
BPHは高齢男性に多く見られ,排尿障害の原因として最も一般的な疾患。米国泌尿器科学会は,男性の10人に8人が,一生に一度はBPHを発症するとしており,また,この割合は年齢が高くなるほど大きくなっていくとしている※1。高齢化社会に伴い,今後BPH治療へのニーズも拡大していくことが予想される。BPHの一般的な治療方法は,投薬治療と外科的治療だが,近年は,入院を要する外科的治療だけではなく,クリニックでの外来治療を可能にする非切除デバイスが現れ,選択肢が多様化している。
※1 出典:American Urological Association, Benign Prostatic Hyperplasia.
https://www.auanet.org/education/auauniversity/medical-student-education/medical-student-curriculum/bph
オリンパスは,BPHの治療向けに,外科的治療のひとつである経尿道的前立腺切除術(TURP)に用いるデバイス(レゼクトスコープ,切除用電極など)を開発,製造,販売している。一方,Medi-Tate社のiTindは,一時的に尿道に留置するナイチノール製のワイヤーデバイスで,前立腺肥大による下部尿路症状を緩和するための処置具。iTindを折り畳んだ状態で尿道に留置し,5.7日間をかけて3方向に圧力をかけ尿道を広げることで排尿障害の改善をサポートする。
今回,非切除治療デバイスである同製品を同社の製品ラインアップに加えることで,患者の病状に合わせて,外科的手術からクリニックでの外来治療まで,幅広い治療の選択肢を提供していくことが可能になる。BPHの低侵襲治療領域における製品ラインアップの拡大により,泌尿器分野における事業競争力をさらに強固なものとしていく。
<Medi-Tate社概要>
会社名:Medi-Tate Ltd.
本社所在:イスラエル ハデラ
設立年月日:2007年2月
CEO:Ido Kilemnik
資本金:1百万円※2(2021年4月末時点)
事業内容:医療機器の開発・製造
従業員数:13名
※2 1ドル=108.93円(2021年4月末の為替レート)で換算。
●問い合わせ先
オリンパス(株)
https://www.olympus.co.jp