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ITEM2025 バイエル薬品 ブースレポート マルチペーシェントユース「MEDRAD Centargo CT インジェクションシステム」による造影CTの課題解決をアピール

2025-4-24

バイエル薬品ブース

バイエル薬品ブース

バイエル薬品は,「DO LESS. CARE MORE. 患者さんの未来をもっと考えませんか?」をテーマに,新しい造影CT検査のあり方を提案するブース展示を行った。バイエル社が2023年10月に発売したマルチペーシェントユースインジェクションシステム「MEDRAD Centargo CT インジェクションシステム」は,24時間連続で使用可能なデイセットにより,検査ごとの造影剤や生理食塩水の充填を不要にしエアマネジメントを自動化するなど,従来のシリンジを使用したインジェクタとまったくコンセプトが異なるソリューションである。これらの特長は,検査効率や安全性の向上,環境への配慮といった造影CT検査における課題を解決し,患者,医療従事者双方にとってより良い検査を実現する可能性を持つ。欧州やカナダなどに加え,米国でもRSNA2024直前の2024年11月に米国食品医薬品局(FDA)の510(k)認可を取得し,マルチペーシェントユースのインジェクタへの切り替えによる効果が期待されている。ブースでは,来場者が自身が関心がある造影CT検査の課題に基づき,Centargoの各機能が提案する解決法や装置の操作性をデモ機を通じて体感した。

マルチペーシェントユースインジェクションシステム「MEDRAD Centargo CT インジェクションシステム」マルチペーシェントユースインジェクションシステム「MEDRAD Centargo CT インジェクションシステム」

マルチペーシェントユースインジェクションシステム
「MEDRAD Centargo CT インジェクションシステム」

 

造影CTが抱える6つの課題を提示

造影CTが抱える6つの課題を提示

 

●患者ケアの不足や患者の待ち時間の長さを解決

造影CT検査においては,患者ケア時間の確保や生理食塩水の最適な使用,エアの混入防止,ヨードなどの資源の有効活用や環境への配慮といった課題がある。例えば,検査内容の説明や息止めの練習など,患者とのコミュニケーションにより時間を割きたいと思っても,多忙な現場では難しい場合もある。Centargoは,上部に設置した造影剤や生理食塩水のボトル・バッグから装置内部のデイセットのシリンジに充填,注入する仕組みで,検査終了時には使用した分の造影剤や生理食塩水が自動で追加充填される。デイセットは24時間連続使用が可能で,検査後は患者ラインを交換するだけで次の検査に移行できるため,その分の時間を患者ケアにまわすことが可能になる。同時に,検査をスムーズに行えることで全体的な患者の待ち時間の短縮にもつながる。

Centargoによる患者ケア時間の確保を提案

Centargoによる患者ケア時間の確保を提案

 

左端のホルダに生理食塩水,中央と右端のホルダに造影剤をセットする。

左端のホルダに生理食塩水,中央と右端のホルダに造影剤をセットする。

 

デイセットと患者ライン。デイセットは24時間使用可能で,1日1回セットする。

デイセットと患者ライン。デイセットは24時間使用可能で,1日1回セットする。

 

上部のボトル・バッグからデイセットに生理食塩水や造影剤が補充される。

上部のボトル・バッグからデイセットに生理食塩水や造影剤が補充される。

 

患者ラインを交換するだけで次の検査に移行できる。

患者ラインを交換するだけで次の検査に移行できる。

 

患者ラインの接続部。感染防止用の逆流防止弁が配置され,片手で容易に交換できる。

患者ラインの接続部。感染防止用の逆流防止弁が配置され,片手で容易に交換できる。

 

●生理食塩水のプロトコールを柔軟に設定可能に

頭部CTAやルート確認など生理食塩水を使用する検査では,従来は検査ごとに生理食塩水のシリンジを用意する必要があった。しかし,Centargoは1日1回,デイセットをセッティングするだけでいつでも生理食塩水を使用できる。そのため,これまで生理食塩水による後押しをしていなかった症例への使用や造影剤と生理食塩水の同時注入,刺入部確認のための生食テストなど,生理食塩水を使用する選択肢の広がりも期待される。
また,心臓CTでの冠動脈検査や心筋評価など,造影剤や生理食塩水を大量に用いる検査では,シリンジの規格による制約からプロトコール設定が難しいケースもある。しかし,Centargoでは造影剤や生理食塩水の残量や規格を気にすることなく,フレキシブルな設定が可能になる。

生理食塩水の柔軟な使用を提案

生理食塩水の柔軟な使用を提案

 

●エアの混入を複数の仕組みで防止

さらに,エアの混入は読影や安全性への影響が懸念されるが,Centargoは患者ライン接続時に自動でエア抜きを行うほか,2か所のセンサ(インレットエアセンサとアウトレットセンサ)などエア混入を減らす機構を設置している。インレットエアセンサはボトル内の薬液を検知し,ボトルが空になった際にデイセット内のシリンジへのエアの引き込みを防止する。また,アウトレットエアセンサは1mL以上のエアを自動検知し,プライムコンテナに排出する。さらに,シリンジに陰圧をかけて溶液中の溶存ガスを浮かび上がらせて排出する仕組みも搭載し,より安全・安心な検査を実現する。

エア混入の低減を提案

エア混入の低減を提案

 

内部に設置されたエア検出センサ

内部に設置されたエア検出センサ

 

●造影剤の廃棄量を削減し,環境に配慮した検査を実現

近年,放射線領域でもサステナビリティや環境への配慮などへの関心が高まっているが,特に造影検査では,天然資源であるヨードの廃棄量削減などが課題となっている。Centargoでは,造影剤の使用量を検査ごとに最適化することで従来のシリンジ製剤では廃棄されていた余剰溶液の有効利用が期待される。また,シリンジ製剤の部材に使用されていたプラスチックごみも削減する。

●線量情報と造影検査情報を一元管理する「Total Dose Management」を提案

線量管理については,バイエル社の主力システム「Radimetrics」とCentargoをはじめとするインジェクタを連携し,線量情報に加えて造影検査情報の記録・管理を行う「Total Dose Management」を紹介した。Radimetricsはマルチモダリティ,マルチベンダーに対応したベンダーニュートラルな線量管理システムで,特定機能病院などの国内の大規模病院で約40%のシェアを占めている。モダリティから線量情報を直接取得し,そこから累積線量と検査履歴を自動的に管理する。また,実効線量計算機能や照射範囲などを変更した場合の線量シミュレーション機能などを搭載する。
2018年の診療報酬改定を受けて多くの大学病院などで線量管理システムが導入され,現在はその多くが更新時期を迎えているが,バイエル社ではRadimetricsの導入に加え,Radimetricsと同社製インジェクタを連携したTotal Dose Managementを提案している。具体的には,RadimetricsとCentargo,MRI用造影剤注入装置「MRXperion」やCT用注入装置「Stellant」などを接続して造影剤の注入条件や開始・終了時間,操作者,最大注入圧・流量などの造影検査情報を取得,画像としてPACSに送信することで読影時にCT・MR画像と造影検査情報を同時に参照でき,読影効率の向上につながる。また,院内端末から前回検査の注入プロトコールを確認でき,効率的で再現性の高い造影検査を可能にするほか,造影剤積算投与量の記録による安全性の向上,造影検査の記録業務の自動化による業務フローの向上などが期待できる。今後,新たなインジェクタが登場した場合は,接続インターフェイスを更新することで対応が可能になる。

線量管理システム「Radimetrics」が提案する「Total Dose Management」

線量管理システム「Radimetrics」が提案する「Total Dose Management」

 

Radimetricsではサマリーページで装置別の情報をわかりやすく表示する。

Radimetricsではサマリーページで装置別の情報をわかりやすく表示する。

 

●国内初のデュアルヘッドシリンジを採用した循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」

そのほかに,循環器血管用インジェクタとして国内初のデュアルヘッド(シリンジ)を採用した循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」も展示された。Arcatenaは,独自の流路設計で三次元のスパイラルフローを生成する「Spiral Flow Tube」により造影剤と生理食塩水を効率的に混和し,造影剤と生理食塩水の同時注入,造影剤使用量の削減を実現する。また,人間工学に基づいたデザイン設計の無線ハンドコントローラを用いて,60段階の速度制御による繊細な注入コントロールが可能である。

国内初のデュアルヘッドシリンジを採用した循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」

国内初のデュアルヘッドシリンジを採用した循環器血管撮影用造影剤注入装置「Arcatena」

 

●お問い合わせ先
社名:バイエル薬品株式会社
住所:〒530-0001大阪市北区梅田2-4-9 ブリーゼタワー
Mail:BYL-RAD-CS@bayer.com
URL:https://radiology.bayer.jp/