2025-4-30

EIZO ブース
EIZOは“Making Each Life Visual”をキーメッセージに掲げて,ブースを構えた。同社は,プレシジョン・メディシンが本格化し医療が高度になる中で重要となる,情報を「みる(見る・視る・診る)」ための技術とソリューションを提供している。今回は,モニター製品のほか,品質管理のソフトウェア,ツールを中心に展示を構成した。2024年7月8日の厚生労働省告示第240号「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律第二条第五項から第七項までの規定により厚生労働大臣が指定する高度管理医療機器,管理医療機器及び一般医療機器の一部を改正する件」で,「GSDFキャリブレーション機能付き画像診断用ディスプレイ」が一般医療機器となり,特定保守管理医療機器に指定された。これにより,医療機関では,今後画像診断用モニターの品質管理が重要となってくるのではと思われる。
EIZOは,画像診断用モニターが特定保守管理医療機器に指定されたことを踏まえて,2024年10月に医療機器として3メガピクセルの21.3型画像診断用モニター「RadiForce RX370DD」を発表した。RadiForce RX370DDは,GSDFキャリブレーション機能として,内蔵キャリブレーションセンサーが搭載されているとともに品質管理ソフトウェアが同梱されている。さらに,同年11月には5メガピクセルの21.3型画像診断用モニター「RadiForce RX570DD」を矢継ぎ早に発表。2025年3月には,新たに7機種の画像診断用モニターを追加した。
一方で,品質管理ソフトウェア「RadiCS」も,日本画像医療システム工業会(JIRA)の新ガイドラインに対応することを発表しており,2025年6月に出荷開始を予定している。
ブースでは,こうした特定保守管理医療機器への対応や品質管理のためのソリューション,サポートをアピールしていた。
●特定保守管理医療機器に指定された画像診断用モニター「RadiForce RX370DD」
ブースでは,3メガピクセルの21.3型画像診断用モニターのRadiForce RX370DDを展示した。2024年7月8日の厚生労働省告示により「GSDFキャリブレーション機能付き画像診断用ディスプレイ」が一般医療機器の特定保守管理医療機器に指定されたことを受け,EIZOでは第一弾として,同年10月,他社に先駆けて発表している。DICOM規格のGSDF(Grayscale Standard Display Function)に準拠した階調特性に調整するキャリブレーション機能を有している。工場出荷時には表示測定を実施して,GSDFに準拠するように調整がされている。本体には内蔵キャリブレーションセンサー(IFS:Integrated Front Sensor)が搭載されており,同梱されているモニター品質管理ソフトウェア「RadiCS」をインストールして,キャリブレーションすることで品質の維持・管理を行える。また,起動後すぐに輝度を安定させることができるほか,周囲の温度や経時的な変化に応じて自動的に輝度を補正する。さらに,EIZO独自の「Sharpness Recovery」機能を搭載。モニターの鮮鋭度を低下させることなく高輝度化して,長期間にわたって安定して使用することができる。加えて,モノクロとカラーをピクセルごとに自動判別する「Hybrid Gamma PXL」も採用している。モノクロ画像はGSDFに準拠した階調,カラーはガンマ2.2に対応した階調で,ハイブリッド表示ができる。このほか,「Instant Backlight Booster」機能によって輝度を一時的に最大化することが可能。観察しやすいように細部を明瞭に表示する。なお,RadiForce RX370DDはアンチグレアとアンチリフレクション(AR)コーティングの2仕様を用意しており,使用環境やユーザーのニーズ・好みに応じて選択できる。
EIZOでは,RadiForce RX370DD以外にも特定保守管理医療機器の画像診断用モニターのラインアップを拡充している。2024年11月には5メガピクセルの「RadiForce RX570DD」を発表。2025年3月には12メガピクセルの「RadiForce RX1270DD」,8メガピクセルの「RadiForce MX317WDD」,6メガピクセルの「RadiForce RX670DD」,2.3メガピクセルの「RadiForce MX243WDD」,2メガピクセルの「RadiForce RX270DD」「RadiForce MX217DD」,1メガピクセルの「RadiForce MX194DD」を発売した。また,モニター品質管理ソフトウェア 「RadiCS」については,日本画像医療システム工業会(JIRA)が2024年10月に策定した品質管理のためのガイドラインである「医用画像表示用ディスプレイの受入試験及び不変性試験(JIS T 62563-2)に関するガイドライン(JESRA TR-0049-2024)」に対応することをアナウンスしており,2025年6月から出荷を開始する予定である。

特定保守管理医療機器の画像診断用モニター「RadiForce RX370DD」

モニター品質管理ソフトウェア「RadiCS」はJESRA TR-0049-2024への対応を予定
●モニターの品質管理ソリューションやサービスをPR
画像診断用モニターの医療機器化を進める一方で,EIZOは品質管理のソリューションやユーザーへのサポートにも力を入れている。モニター品質管理ソリューションとしては,(1)モニター点検サービス,(2)「RadiNET Pro Guardian」によるセキュアな閉域ネットワークでのリモート監視,報告,分析に基づく運用提案などの品質管理トータルケア,(3)インターネット回線を利用した「RadiNET Pro Web Hosting」とモニター内蔵センサーを用いたリモート管理,(4)施設内にネットワーク品質管理ソフトウェア「RadiNET Pro」のサーバを設置したオンプレミスでのネットワーク品質管理,(5)個々のモニターにインストールして管理するRadiCSがある。ユーザーは自施設の運用や予算に応じて,ソリューションを選択できる。
それ以外のサポートとしては,モニターの管理運用に関する相談,ガイドラインや試験方法の勉強会,品質管理ツールの使い方への問い合わせ対応,モニター更新計画の提案などを行っている。品質管理相談コーナーを4卓設けて、現在医療施設で使用されているモニターに関する相談やコンサルティングを実施していた。

ユーザーのニーズに応じてモニターの品質管理をサポート
●画像観察環境の効率化と快適性を追求したサステナブルな30型医用画像表示モニター「RadiForce RX670」
新製品としては,30型医用画像表示モニターのRadiForce RX670も展示した。「RadiForce RX660」の後継機種となる6メガピクセルのモニターで,画像観察業務の効率化と快適性を追求している。新たにUSB Type-C入力端子を搭載。Type-Cのケーブル1本でモバイルワークステーションと接続して画像表示と94Wでの給電を行える。さらに,USB LANアダプタ機能を有するLAN端子があり有線ネットワーク接続が可能なほか,USBハブは合計4ポートを搭載し,使い慣れているキーボードやマウスなどを接続して利用可能。加えて,USB Type-Cケーブルでモニター同士をデイジーチェーン接続することによりシンプルな配線で2台のマルチモニター環境を構築できる。モニターの背面に間接照明を配置しており,暗い室内での読影業務での目への負担を軽減する。
また,自然環境にも配慮したサステナブルなモニターであることもRadiForce RX670の特長だ。外装素材には再生プラスティックを使用しているほか,プリント基板にはハロゲンフリー材を採用。さらに,梱包材には段ボールや新聞紙をリサイクルしたパルプ緩衝材を使用している。
EIZOはこのような環境保護への対応を積極的に推進している。世界的なNGO組織であるCDP(Carbon Disclosure Project)が行っている気候変動に関する調査プログラムにおいて「A」評価を受けており,今回のブースもシステム壁材,LED照明,カーペットはリユース品,什器はリサイクル品を使用している。JRC2025ではグリーンラジオロジーをテーマにした合同シンポジウムが設けられるなど,放射線診療においても環境保護への関心が高まっている。EIZOの取り組みはこうした動きにも合致し,放射線診療のサステナビリティへの貢献につながると言える。

画像観察環境の効率化と快適性を追求した「RadiForce RX670」

ブースでは環境への取り組みを紹介
●お問い合わせ先
社名:EIZO株式会社
住所:本社 〒924-8566 石川県白山市下柏野町153番地
TEL:ヘルスケア営業部 03-5764-3403
URL:https://www.eizo.co.jp