ユーザー訪問
洋光台中央整形外科・せぼねクリニック
コンパクトなAIRIS Lightで迅速な検査・診断を可能とし専門医による確かな診療を提供
MRIを導入した分院の開業で地域ニーズに対応
2017-9-25
洋光台中央整形外科・せぼねクリニックは,医療法人社団智里会やそだ整形外科リウマチクリニックの分院として,2017年4月に開業した。開院と同時に日立製作所社製永久磁石型0.25TオープンMRI「AIRIS Light」を導入し,脊椎領域を中心とした整形外科の診断に活用している。コンパクトなガントリと横配置テーブルにより,狭い検査室にも配置可能なAIRIS Lightが,同クリニックの理念である“患者第一”の医療にどのように貢献しているかについて,本院院長である八十田貴久理事長,石田 航院長,熊谷 誠技師にお話をうかがった。
地域住民のニーズに応える脊椎中心のクリニックを開院
本院のやそだ整形外科リウマチクリニックは,JR根岸線・洋光台駅が開業した2年後の1972年に,内科・小児科の医院として開業した。2013年に八十田理事長が加わってリニューアルオープンし,現在は整形外科,リウマチ,内科を中心に診療を行っている。八十田理事長は,分院となる洋光台中央整形外科・せぼねクリニック開院の理由を次のように話す。
「洋光台駅前にあった整形外科クリニックが閉院し,そこの患者さんが本院を受診するようになったのですが,本院は洋光台駅から1kmほど南にあるため,特に駅北側の患者さんから『遠くて通いきれない』,あるいは,地域の先生方からも『紹介したいが遠くて難しい』という声がたくさんありました。そこで,デイケアを中心としたクリニックを駅周辺につくれないかと考えました」
2015年夏に洋光台駅から徒歩3分の現在地に分院開業が決まった。八十田理事長は,クリニックのコンセプトを検討しつつ,院長候補を探す中で,大学病院に勤務する旧知の石田院長と再会。話し合いを経て院長に迎えることとなった。
就任が決まった石田院長は,脊椎領域が専門の整形外科専門医であることから,脊椎を中心としたクリニックとする方針が固まり,開業準備が進められた。
|
|
|
限られたスペースに設置可能なAIRIS Lightを採用
分院へのMRI導入については,石田院長の就任が決まる前から検討していた。本院にはMRIがないため検査を外注していたが,分院で検査ができれば,遠方の紹介先に行く患者の負担を軽減できると考えてのことだ。
石田院長もMRI導入を強く希望した。その理由について石田院長は,「脊椎領域では,一般撮影の次はMRIが選択となります。膝関節の半月板などMRIでなければ見えない部位もあるため,整形外科の診療ではMRIは不可欠です」と説明する。
装置選定では,設置場所や導入・維持コストの点から,コンパクトなオープンMRIであるAIRIS Lightが第一候補となった。検討の過程で八十田理事長は,ヘルスケアショールーム・日立メディカルフォーラム柏も訪れた。
「実機を使って自分の手首を撮像したところ,とてもクリアな画像を得られました。もちろん,実際に使用する石田院長に納得してもらう必要があるので,データを複数取り寄せて検討してもらいました」
これまで超電導MRIを使って診療してきた石田院長は,オープンMRIの画質に不安もあったと言うが,実際の画像を見て,「予想に反してとても見やすい画像になっていました。撮像方法を工夫すれば,MRIでは難しい椎間孔なども描出できるとのことで,AIRIS Lightで診療できると判断しました」と話す。
AIRIS Lightは,日立オープンMRIの中でも最小のガントリと,横配置テーブルの採用による省スペース設計が大きな特長である。同クリニックの3.6m×3.3mと非常に限られたMRI室にも,AIRIS Lightは問題なく設置できた。
|
各種機器の活用とリハビリで徹底した保存療法を実践
洋光台中央整形外科・せぼねクリニックには,脊椎を中心に,膝,肩の疾患,外傷などの患者が来院する。画像診断機器はMRIに加え,一般撮影装置,X線透視システム,超音波診断装置などがそろう。石田院長は診療方針を次のように述べる。
「当院では“患者第一”を考えて,投薬やブロック注射も含めた治療と,物理療法,理学療法士によるリハビリを組み合わせ,徹底した保存療法を心掛けています。MRIがあるため,手術の直前までの診療が可能です」
開院から3か月が経過し,1日の来院者数は80〜100名と順調に伸びている。八十田理事長は,「いいスタートが切れている理由の一つは,MRIがあることだと思います」と,AIRIS Lightが経営に貢献していると見ている。
MRI検査は,1検査約40分,1日あたり4件ほど実施している。最も検査数が多い腰椎では,T2強調画像,T1強調画像,STIRを,3方向で撮像している。熊谷技師は,「明瞭で正確な画像を提供するため,少し時間はかかりますが,薄いスライス厚で撮像するようにしています。いまはプロトコールや撮像法を検討している段階ですが,今後は内容を絞って1検査30分程度に短縮し,1日10件ほどの検査を行えるようにする予定です」と説明する。
MRIにより“次の一手”をすぐに提供できるという強み
AIRIS Lightの横配置テーブルは,フローティング機構により前後左右に容易に動かせるため,セッティングのしやすさも特長となっている。操作性や患者の反応について熊谷技師は,「テーブルは動きがスムーズですし,撮像中心を示すレーザーガイドがあることで,とてもポジショニングをしやすいです。検査を不安に思う患者さんでも,実際に装置を見てもらって撮像音が静かなことを説明すると,ほぼ検査が可能です。縦配置テーブルと比べるとテーブルの移動距離が短く,腰椎の検査などではガントリの外に顔が出るため,心理的な負担が少ないようです」と話す。
AIRIS Lightの診療における有用性について,石田院長は次のように述べる。
「整形外科領域では,MRIは確認に使う場面が多いのですが,MRIの画像は患者さんにとってもわかりやすいため,診断や治療方針を納得してもらうのに役に立ちます。一方で,早期の骨壊死や腫瘍はMRIでなければわかりません。このような重篤な疾患は早期治療が重要ですので,臨床症状と一般撮影の所見がかけ離れている場合に,すぐにMRI検査を行えることは有効です」
これを受けて八十田理事長も,「強い痛みを抱える患者さんは,とにかく次の一手を希望されます。原因がはっきりせず,痛み止めの処方だけで終えるのと,MRIという次の一手をすぐに提供できることは大違いだと痛感しています」と述べている。
■症例1:頸椎症性脊髄症
■症例2:腰部脊柱管狭窄症(L3変性すべり)
スピードと高い専門性で地域を元気にする医療を提供
石田院長はAIRIS Lightを活用した診療について,「病院にいた頃と比べ,現在は,すぐに検査・診断して治療を開始でき,スピード感がまったく異なります。MRIがあることは,使う立場にとっては診療スピードに対して良い意味でプレッシャーとなりますし,それこそが開業医に求められていることだと思います」と話す。
最後に八十田理事長は,今後の展望を次のように述べた。
「洋光台地区は高齢化率が高いエリアですが,整形外科とリハビリで地域を元気にしたいと考えています。整形外科専門医である石田院長が,AIRIS Lightを活用し,分院での診療を担ってくれていることで,地域の患者さんに適切な整形外科医療を提供していけると思います」
分院では現在,遠隔読影を利用して他院からの検査紹介を受けられるように準備を進めており,AIRIS Lightが今後,地域医療にいっそう貢献することだろう。
(2017年7月27日取材)
〒235-0045
神奈川県横浜市磯子区洋光台3-1-37
TEL 045-350-3237
http://ycos-clinic.com
診療科目:整形外科,リハビリテーション科
- 【関連コンテンツ】