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とちぎスポーツ整形外科クリニック 
画質・操作性・快適性を兼ね備えた0.3Tオープン型MRIを活用し幅広いニーズに応える診療を提供 
スポーツ整形外科で求められる迅速な診断・治療を実現

2025-8-22


とちぎスポーツ整形外科クリニック 

とちぎスポーツ整形外科クリニック(栃木県下野市)は,栃木県内でも数少ないスポーツ整形外科を標榜するクリニックとして,2025年4月18日に開院した。開院に当たっては,スポーツ整形外科で求められる迅速な診断・治療の実現に向け,画像診断装置は一般撮影装置や超音波診断装置に加えてMRIの導入を決断。富士フイルム社製の0.3Tオープン型MRI「AIRIS Vento Plus」を選定した。スポーツ整形外科におけるMRIの重要性や,AIRIS Vento Plus選定の理由,初期使用経験について,飯島裕生院長と診療放射線技師の中妻道貴氏に取材した。

飯島裕生 院長

飯島裕生 院長

中妻道貴 技師

中妻道貴 技師

 

MRIなど充実した医療設備を活用し運動器の健康維持への貢献をめざす

飯島院長は,自治医科大学や船橋整形外科スポーツ医学・関節センター,石橋総合病院などにおいて,長年にわたり肩と肘を専門とした整形外科診療に取り組んできた。日本スポーツ協会公認スポーツドクターであり,NPO法人野球医療サポート栃木(MSBP栃木)の理事長(現在は理事)や栃木県サッカー協会医事なども務め,プロ・アマ問わず多くのスポーツ選手の健康を支えている。 MSBP栃木では,成長期野球選手のスポーツ障害の予防や早期発見に力を入れており,栃木県高等学校野球連盟と連携して県内の野球少年・少女を対象とした野球肘検診を10年以上にわたり実施している。飯島院長はこのような運動器検診や社会活動に長期に尽力している。
こうした背景のもと,開院したクリニックは理念として,「運動器から心と身体と社会を豊かにする」を掲げる。飯島院長は,そのねらいについて,「スポーツ医学では,不調のある部位だけでなく,全身の診察を通して不調の原因を探っていきます。このような考え方は,スポーツ選手はもとより,一般整形外科の診療においても非常に有効です。整形外科が対象とする疾患は命にかかわらないと考えられがちですが,健康寿命という観点で考えると,人々の生活の質向上に直結しますので,これまでのスポーツ医学の経験を生かし,地域の方の運動器の健康維持のために貢献していきたい」と述べている。
また,飯島院長は,理念の実現のためには医療設備の充実が必要であると考え,画像診断装置としてMRI,一般撮影装置,骨密度測定装置,超音波診断装置を導入したほか,衝撃破や超音波,低周波を用いた各種治療器を取りそろえ,リハビリ室やトレーニングエリアなども設けている。これらの機器のうち,MRIは特に高額なため,通常,クリニックが導入するにはハードルが高い。しかし,飯島院長は,「スポーツ整形外科の診療において,MRIは非常に有用です。また,スポーツ選手の場合,1日でも早く治療方針を決めて,治療計画を立てることが求められます。受診当日に診断から治療までをある程度完結させるためにも,MRIは必要であると判断しました」と語る。

価格・画質・操作性のバランスに優れたAIRIS Vento Plusを導入

MRIの選定に当たって,飯島院長は各社の装置を比較検討し,AIRIS Vento Plusの導入に至った。AIRIS Vento Plusは,コンパクト設計と永久磁石の採用によってイニシャルコスト・ランニングコストを抑えられることが大きな特長である。0.3Tと低磁場でありながら,安定した良好な画像が得られるほか,操作性や快適性も追求している。飯島院長は,同社の工場にも直接出向き,実機を見学して装置のサイズ感や撮像音,画質などを確認した。その上で,最終的にAIRIS Vento Plusを選定した理由について次のように話す。
「超電導型の1.5T MRIなども検討しましたが,AIRIS Vento Plusはコストや画質,操作性などのバランスが良かったことが決め手となりました。10年ほど前の富士フイルム社製0.3Tオープン型の永久磁石式全身MRI装置の画質は,スポーツ整形外科の診断に不十分という印象でしたが,AIRIS Vento Plusは画質がかなり向上しており,スポーツ整形外科で多く診察する疲労骨折や肉離れ,筋損傷,肩や肘といった非過重関節の軟部組織の評価は十分に可能であると考えています」
飯島院長は,大学などでの勤務時には1.5T以上のMRIを使用していたが,AIRIS Vento Plusの画質は,それらと比べて診断の質が大きく落ちることはないと確信できたことも選定の大きな理由となった。

コンソールは操作性に優れ,パラメータの調整も直感的に可能

コンソールは操作性に優れ,パラメータの調整も直感的に可能

 

国産ならではの優れた操作性と快適性・安全性を高く評価

同クリニックでは現在,医師と診療放射線技師各1名を含む計15名のスタッフで,1日に平均90〜100名の患者の診療やリハビリなどを行っている。患者の約6割は高齢者であるが,夕方以降は10〜20歳代の若年層が大半を占める。また,県内にスポーツ整形外科を標榜する医療機関が少ないこともあって,地元の下野市内はもとより,那須烏山市,佐野市,足利市,茨城県筑西市などからも患者が受診している。
MRIの撮像件数は1日平均5,6件と,撮像枠にはまだ余裕があるため,受診当日の撮像が可能である。撮像部位は肩,腰,膝の順に多く,この3か所で約半数を占め,次いで,足首や大腿部の撮像が多い。撮像シーケンスはT1強調画像,T2強調画像,STIRを基本とし,膝の撮像ではプロトン密度強調画像を追加している。AIRIS Vento Plusの操作性について,中妻技師は,「私はMRIの操作経験が10年以上あり,これまで他社製品を使用していましたが,AIRIS Vento Plusの操作にはすぐに慣れることができました。国産ならではの細やかな配慮がなされており,パラメータの調整が非常に行いやすくなっています。なかでも,IP-RAPIDは,強度の選択なども含めて直感的な操作が可能と感じています」と評価している。
また,中妻技師は,AIRIS Vento Plusの外観や,撮像音の静かさ,ガントリがオープンであること,ガントリ内で左右に10cmの横移動が可能な「ラテラルスライドテーブル」について,以下のように話す。
「まず,見た目が非常に優しいですね。狭いところが苦手な患者さんでも問題なく撮像できています。狭さが原因で検査が中断するといったケースがなく,オープン型MRIの良さを感じています。撮像音が静かなため,慣れている方は撮像中に寝られますし,横から患者さんの表情を見て撮像を追加するかどうかの判断もできます。また,寝台が横移動するため,患者さんにだいたいの位置に寝ていただければポジショニングを調整できます。痛みのある患者さんに,位置調整のために何度も動いていただかなくてすむ利点は大きいと考えています」
これらのほか,中妻技師は,5ガウスラインが狭いことで,磁性体への配慮という点でも安心感が大きいと述べている。

■症例1:右肩腱板損傷

a:T2WI アキシャル,2D DE FSE,TR/TE=3805/100,スライス厚:4.5mm,FOV:180,マトリックス:256×192,撮像時間:4:08 b:T2WI コロナル,2D DE FSE,TR/TE=3805/100,スライス厚:4.5mm,FOV:180,マトリックス:256×192,撮像時間:4:08 c:STIR コロナル,2D DE FSE,TR/TE=3500/25,スライス厚:4.5mm,FOV:180,マトリックス:192×160,撮像時間:4:58

a:T2WI アキシャル,2D DE FSE,TR/TE=3805/100,スライス厚:4.5mm,FOV:180,
マトリックス:256×192,撮像時間:4:08
b:T2WI コロナル,2D DE FSE,TR/TE=3805/100,スライス厚:4.5mm,FOV:180,
マトリックス:256×192,撮像時間:4:08
c:STIR コロナル,2D DE FSE,TR/TE=3500/25,スライス厚:4.5mm,FOV:180,
マトリックス:192×160,撮像時間:4:58

 

迅速な診断・治療の実現にAIRIS Vento Plusが貢献

同クリニックがAIRIS Vento Plusを導入してからまだ間がないため,現在も一部,画質の調整が続けられている。飯島院長は,「外側ヘルニアの症例など,腰のアキシャルのT2強調画像は,撮像条件を調整し,画質が改善されています。そのほかの部位でも,患者が十分に静止できていれば,比較的良好な画像が得られていると感じています」と語る。また,中妻技師は,「膝のコロナルのT1強調画像は撮像条件を調整した結果,画質を担保して撮像時間を短縮することができていると思います」と述べる。
同クリニックでは現在,撮像時間を1シーケンスあたり4分前後で収め,より高画質を求める場合は5分以内を目安としている。中妻技師の検査経験が豊富であることや,院内の動線の工夫などもあるものの,同クリニックでは,飯島院長がMRI検査をオーダしてから,手元に患者のファイルが戻るまで30分以内であり,飯島院長がめざす迅速な診断・治療の実現にAIRIS Vento Plusが貢献している。
なお,画質の調整が必要な画像について,飯島院長は,超音波と一般撮影を相補的に用いることで,MRI単独では診断が難しい疾患でも十分な診断が行えていると話す。
被ばくのないMRIは,繰り返しの検査にも問題なく使用できるメリットが大きく,特に若年のスポーツ選手の検査に有用である。稼働を開始したばかりのAIRIS Vento Plusが,そのポテンシャルを最大限に引き出すことができれば,運動器のけがや不調に泣く多くの人が,人生の豊かさを取り戻すための大きな手助けとなるに違いない。

(2025年6月26日取材)

※AIRIS Vento Plusは AIRIS VentoのシステムソフトウェアバージョンV7を搭載したモデルの呼称です。販売名 : MRイメージング装置 AIRIS Vento 認証番号 : 221ABBZX00062000

 

とちぎスポーツ整形外科クリニック

とちぎスポーツ整形外科クリニック
〒329-0518
栃木県下野市花の木2-5-20
TEL 0285-39-6100
https://tochi-spo-clinic.jp/
診療科目:整形外科,リハビリテーション科

 

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