巻頭言 
MODERATOR 
内藤博昭 国立循環器病研究センター病院 院長

2014-11-25


内藤博昭 国立循環器病研究センター病院 院長

シーメンス・ジャパンはこれまで,5回に渡り「Definition Symposium」を開催してきたが,このたびの高性能新機種の登場を受けて,今回から名称を「SOMATOM Symposium」と変更して開催する。Dual Source CTやSOMATOM Definitionシリーズの最新知見が報告されるイベントとして評価されてきたDefinition Symposiumが,シーメンス社のCT全般について診断から治療まで,より多岐にわたるテーマを取り上げるSOMATOM Symposiumへと発展した最初の回となる。

X線CTは1972年に発表され, 79年には開発者であるHounsfieldとCormackがノーベル医学生理学賞を受賞している。X線CTはおそらく,20世紀の医学分野における発明のなかで最大の功績のひとつと言えよう。

X線CTは形態診断機器として急速に進歩し,時間・空間・コントラスト分解能やカバレージの向上を達成してきた。一方,X線CTには,X線の減弱を計測し生体構成成分を分析する測定器としての側面もある。複数のエネルギーによる解析を行うことができるDual Energy Imagingはその代表的な技術であり,SOMATOM Definitionシリーズは臨床で着実な成果を上げている。また最近では,低被ばくと臨床的有用性を両立させるRight Doseコンセプトのもと,さらなる被ばく低減に向けた技術開発も進められている。

2014年4月,シーメンスは国内において,新開発のX線管VECTRONを搭載し,低侵襲CT検査(低被ばく,低造影剤量)を実現する期待のDual Source CT「SOMATOM Force」の発売を開始した。今回は,世界第1号機を導入したマンハイム大学病院のHenzler先生より,SOMATOM Forceの臨床応用の成果が発表される。そのほか,前回に引き続き2回目となる,CT Image Contest 2014の受賞作品の発表も行われる。世界最先端の報告から,実臨床で役立つ撮影技術に至るまで,X線CTの魅力を網羅したシンポジウムとなることが期待され,私自身も非常に楽しみにしている。


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