MRI画像を用いて変形性頸椎症を予測するAIモデル(2025/4/26)
2025-6-2

変形性頸椎症(DCM)は,高齢者に広く見られる疾患であり,頸椎の骨や椎間板の変性によって脊髄や神経根が圧迫され,さまざまな神経症状を引き起こす。韓国の研究チームは,矢状断T2強調MRI画像を用いてDCMを予測する深層学習モデルを開発し,その成果をSkeletal Radiologyに発表した。先行研究は,数十人から数百人程度の小規模なコホートに基づいており,その結果の一般化には限界があったが,今回はその5倍から10倍の規模のコホートを確立し,モデルのパフォーマンス向上を目指した。
研究チームは,2007年から2022年までに撮影されたDCM患者7,645名の矢状断T2強調MRI画像を,トレーニングセット(6,880名)とテストセット(765名)にランダムに分類した。ResNet50,VGG16,MobileNetV3,EfficientNetV2などの事前にトレーニングされた畳み込みニューラルネットワークに転移学習を応用し,アンサンブルモデルを構築した。その結果,本モデルはAUC0.96,正答率0.875,感度0.885,特異度0.861,陽性的中率0.893,陰性的中率0.851と,優れたパフォーマンスを示した。さらに,Grad-CAM分析により,椎間板の膨隆や脊髄のT2信号強度の増強など,DCMが示唆される所見が特定され,本モデルの高い病変検出能力が示された。
研究チームは「本研究におけるサンプルは三次医療機関から収集されている。選択バイアスによる偽陽性を避けるため,今後は大規模多施設でのモデルトレーニングが必要である」と述べている。
【参照論文】
Deep learning-based prediction of cervical canal stenosis from mid-sagittal T2-weighted MRI