冠動脈造影に基づく経皮的冠動脈インターベンションの成功予測を行うAI(2025/8/4)

2025-10-1


冠動脈造影に基づく経皮的冠動脈インターベンションの成功予測を行うAI(2025/8/4)

経皮的冠動脈インターベンション(PCI)において,冠動脈に中等度から重度の石灰化病変(MSCAC)がある場合,治療の成功率が低下する傾向がある。冠動脈造影(CAG)によって,PCI手技の難易度を評価することは重要であるが,CAGの結果に基づいてPCIの成功率を予測した研究は少数である。中国の研究チームは,機械学習技術を用いて,MSCACを有する患者のCAGの特徴からPCIの結果を予測する研究をJournal of Medical Internet Researchに発表した。
本論文によると,研究チームは2017年から2018年の間にPCIを受けたMSCACを有する患者3,271名と,冠動脈石灰化がないまたは軽度の患者17,998名を対象とした。CAGの特徴に基づいてPCIの成功を予測するために,内部検証コホートにおいて6つの機械学習モデルが検証された。その結果,XGBoostが最も優れたパフォーマンスを示し(AUC0.984,平均適合率0.986,F1スコア0.970,幾何平均 0.979),最も効果的なモデルとなった。また,SHapley Additive exPlanations分析によると,PCI成功予測に最も寄与するCAGの特徴として,病変の長さ,最小血管内腔径,TIMI分類(Thrombolysis in Myocardial Infarction grade)による血流評価,慢性完全閉塞,対照血管径(病変前後の健康な血管径),広範囲病変の6つの特徴量が特定された。
研究者たちは,「この機械学習モデルを用いることで,患者のPCI成功率が低いと予測された場合,医師は患者およびその家族に対して,PCIに伴うリスクを事前に説明することができる」と述べている。今後は,畳み込みニューラルネットワークなどの深層学習技術を活用することで,CAGのさらなる多様な特徴を分析できるようになることが期待される。

【参照論文】
Prediction of Percutaneous Coronary Intervention Success in Patients With Moderate to Severe Coronary Artery Calcification Using Machine Learning Based on Coronary Angiography: Prospective Cohort Study


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