検像システム「iRad-QA」・放射線情報システム「iRad-RS」(インフォコム)
検像業務とSTAT画像報告

2025-6-30

インフォコム

診療支援


検像とは,医師の診断・読影を支援する目的で,診療放射線技師が画像の確定前に当該画像を確認し,必要に応じて修正や不要な画像の削除を行う行為である(「画像情報の確定に関するガイドライン」より)。確定前に,オーダに応じた撮影がされていること,画像付帯情報が正しく登録されていることなどを確認する。検像時には「読影のしやすさ」という観点での修正も必要で,そのためには画像の理解が必要なのは言うまでもない。また,患者の救命率向上に寄与するという観点から,重要所見発見時には放射線科医や依頼医などへの報告(STAT画像報告)も重要なポイントである。検像の目的は「医師の診断・読影を支援する」ことであるが,STAT画像報告は広い意味で検像業務の一部であるとも言えるのではないだろうか。しかしながら,医療従事者の働き方改革という観点も無視はできない。昨今,取り組みを始める施設が出始めた技師によるSTAT画像報告の業務負担増についての声も多く,AI技術をはじめとしたデジタル技術の活用が期待されている。そこで,今回は検像システムを中心に,STAT画像報告業務をサポートする機能についてご紹介する。

AI画像解析機能の活用(図1)

最新バージョンの「iRad-QA」は,画像を受信すると同時にAI画像解析を実施し,解析結果を同一検査の別シリーズとして付加することが可能となった。胸部XP検査の肋骨減弱およびCTR算出処理が自動で実施され,さらに解析ステータスを表示することができる。多くのAI解析機能を持つ製品とは異なり,検像システム単独でAI画像解析が実施されるため,技師が検像業務の中で解析画像を確認することができる。解析画像を医師の読影支援だけでなく技師のSTAT画像報告業務に活用することができ,医師のみならず技師の見落とし防止や働き方改革にも寄与するものと考えられる。

図1 「iRad-QA」での胸部XPのAI画像解析機能

図1 「iRad-QA」での胸部XPのAI画像解析機能

 

RISへのコメント登録(図2)

「iRad-RS」(RIS)には検像リスト表示機能があり,その画面から直接iRad-QAを起動することができる。検像中にSTAT画像報告が必要であると判断された場合や,挿入されたマーカー間違い・撮影忘れなどの内容を,呼び出し元のRIS画面からコメント入力することができる。STAT画像報告をする場合は,検像リスト画面に表示される担当医の内線番号に電話をするなどで口頭での報告を行った後に,そのままコメント欄に報告内容を記載することが可能である。また,検像時の指摘事項をコメントに残すことで,自院で発生数の多い撮影に関する指摘事項を分析し,今後の業務に生かすことが可能となるだろう。検像時の指摘事項が少なくなれば,技師の業務負担はかなり減少すると考えられる。特に再撮影は,技師の業務負担が増えるばかりでなく,患者の被ばく量が増加するので可能なかぎり避けるべきである。このような仕組みで得られるデータは,経験の少ない技師への指導ポイントを明確にし,効率的に撮影・STAT画像報告に関連したスキル向上を図ることも可能となるだろう。
検像システムは単独では画像を確認し修正を行うツールであるが,検像システムを中心として解析画像機能やRISのコメント記録機能を併せて活用することで,読影支援や業務改善の一端を担うことが可能である。このようなデジタル技術の活用は,効率的なスキルの取得や効率的な業務遂行をサポートし,医療従事者が実施すべき本来の業務に集中することをサポートするためにも活用することができるだろう。

図2 「iRad-RS」を活用したコメント登録とSTAT画像報告

図2 「iRad-RS」を活用したコメント登録とSTAT画像報告

 

●問い合わせ先
インフォコム株式会社 ヘルスケアサービス事業本部 放射線システム営業部
〒107-0052 東京都港区赤坂九丁目7番2号 ミッドタウン・イースト10階
TEL 03-6866-3790
URL https://service.infocom.co.jp/healthcare/

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