ITEM2015 島津製作所/島津メディカルシステムズ ブースレポート
国内で初めてX線テレビシステムとして骨密度測定が可能な「SONIALVISION G4」を中心に臨床価値の高い製品をアピール
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2015-4-30
島津製作所/島津メディカルシステムズブース
島津製作所/島津メディカルシステムズは,グローバルの展示テーマ「Passion for Details -Discovering new clinical values in diagnostic imaging」を掲げ,“臨床付加価値の創造”をめざして開発された最新のX線装置を中心にブースを構成した。島津製作所は2015年で創業140周年を迎え,これを記念して初代島津源蔵をモデルにしたゆるキャラ人形「GEN-san」を制作。日本で初めて有人軽気球の飛揚に成功したことにちなんで,人形は気球を手にしたデザインとなっており,科学技術で社会に貢献するという島津の思いを表している。
ブースでは,国内で初めてX線テレビシステムで骨密度測定が可能になった「SONIALVISION G4」や新製品の一般撮影装置「RADspeed Pro EDGE package」,血管撮影装置「Trinias series MiX package」,また,実機が初展示となった乳房専用PET装置「Elmammo」などを展示。SONIALVISION G4とElmammoは,実機を使ったプレゼンテーションステージも行いながら,来場者にアピールした。(4月18日取材)
●X線テレビシステム:X線テレビシステムとして国内で初めて骨密度測定を可能にした「SONIALVISION G4」
X線テレビシステムでは,ベスト・イン・クラスのFPD搭載装置「SONIALVISION G4」が展示され,骨密度測定機能”Smart BMD”が搭載可能となったことが大きくアピールされた。SONIALVISION G4は,フルフラットの天板や,天板端まで移動する映像系,17インチ×17インチの大視野FPDにより,消化器科から泌尿器科,整形外科まで,1台で幅広く対応可能な装置として好評を得ているが,今回,新しい機能として骨密度測定機能がオプションで追加可能となった。X線テレビシステムとして骨密度測定が可能になったのは,SONIALVISION G4が国内初。これにより,従来は専用の骨密度測定装置,検査室が必要であったものが,他の検査と合わせてこの1台に集約できる。骨粗鬆症の形態診断と定量検査,骨折の撮影と骨密度測定などを1台で実施できるようになる。骨密度測定は,デュアルエナジーで脊椎や大腿骨の骨密度を測定するDXA法で,約10秒のスキャンで正確な測定が可能。計測位置の位置決めは,従来の光照射野による確認だけでなく,透視でも行える。また,再現性高く撮影するため,脊椎,大腿骨用の姿勢保持アクセサリーも用意されている。なお,Smart BMDは既設装置にもバージョンアップで対応する。
このほかにもSONIALVISION G4は,金属アーチファクト低減や微小骨折などの描出能を向上させる“Tomosynthesis”,長尺撮影機能”Slot Advance”もオプションで搭載可能で,1台で多様な検査に対応し,検査効率,投資効果の高い装置となっている。
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●一般撮影装置:トモシンセシス撮影に対応した最高峰パッケージ「RADspeed Pro EDGE package」を初展示
4月に発売となった一般撮影装置の最上位のパッケージ「RADspeed Pro EDGE package」がお披露目された。トモシンセシス,デュアルエナジーサブトラクション,そして,進化した長尺撮影のアプリケーションにオプション対応し,臨床現場の一般撮影検査を強力にサポートする。トモシンセシス撮影に対応した一般撮影装置としては国内メーカー初であり,富士フイルムとの共同開発により製品化に至った。トモシンセシス用のFPDは,17インチ×17インチのフルサイズで,バッテリーを搭載しているためワイヤレスとして自由に使用できる。また,長尺撮影機能については,臥位テーブルのFPDのストロークを従来の1.5倍(120cm)としたことで,骨盤から足先,全脊椎など,より広範囲の長尺撮影が可能となった。日本国内と欧州で販売が始まっており,今後米国や他の地域でも展開していく予定だという。
なお,島津では一般撮影装置のコンセプトとして,ユーザーの要望に合わせてDRを組み合わせることができるDR “NEUTRAL” solutionを提唱しており,RADspeed Proシリーズでは,キヤノン,富士フイルムメディカル,コニカミノルタヘルスケアのFPDとの組み合わせ提案が可能となっている。
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●血管撮影装置:低侵襲をコンセプトとした新パッケージ「Trinias series MiX package」をアピール
血管撮影装置は,“低侵襲”をコンセプトに各種アプリケーションを強化した「Trinias series MiX package」が初展示となった。MiXとは,Minimally invasive eXperienceの略で,被ばく線量の低減や,画質・アプリケーション機能の向上により手技を支援することで,「低侵襲なインターベンションの実現」を目的に開発された。
低侵襲を実現する一つの要素は,昨2014年に発売された画像処理エンジン“SCORE PRO Advance”。透視において,フレームレートを従来の半分(15fpsから7.5fps)にしても残像のない画像を得られることから,線量を半減して患者・術者の被ばくを低減することができる。また,リアルタイムにステントを固定・強調するアプリケーション“SCORE StentView”が改良され,“SCORE StentView+Plus”として実装された。SCORE StentView+Plusは,従来の2マーカー検出に加え,複数マーカーにも対応。マーカーの検出能を向上させるとともに,直前の透視画像などでROIを設定する機能を追加し,検出エリアの絞り込みを可能とした。これにより,複数のマーカーがある症例でも,スムーズに手技を進めることができる。このほか,3Dアプリケーション“SCORE Navi+Plus”や,血管壁輪郭のみを自動抽出するトレースマッピング“SCORE MAP” など,治療支援アプリケーションの強化が図られている。
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●乳房専用PET装置:優しさと精度の高い検査を両立する「Elmammo」の実機を初展示
「Elmammo」は,独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究プログラムにより開発された乳房専用PET装置で,昨2014年に発売し,2015年3月から出荷が始まっている。被検者はベッドにうつぶせになり,乳房を検出器ホールに入れるだけで,乳房を圧迫されることなく検査を受けられる。うつぶせになりやすいように,顔が当たる部分はくぼんだ構造で,マットには軟らかい素材を採用。緊張感を和らげるための丸みのあるデザインで,“優しい検査”を提供する。乳房を検出器に近い位置にセッティングできるとともに,臨床用PET装置として世界で初めてDOI技術を採用したことで,全身用PETでの検査よりも感度が大幅に向上。また,小さい検出素子を搭載することで高解像度を実現した。全身用PETと比べ,感度が約10倍,解像度が約2倍となっている。検査は,片側あたり5〜7分,両側で15分ほどで完了する。
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●回診用X線撮影装置:組み合わせFPDの選択肢が増える新バージョンの「MobileDaRt Evolution EFX」
全世界ですでに2500台以上の導入実績を持つFPD搭載回診用X線撮影装置「MobileDaRt Evolution」が,各種性能を向上させた新バージョン「MobileDaRt Evolution EFX」としてリリースされた。起動時間の短縮(約1分),撮影後のプレビュー画像表示の時間短縮(約2秒)により,即時性とスループットの向上を果たし,病棟での検査だけでなく,救急や手術室,災害医療など,多様なシーンでより活用しやすくなった。コリメータにはLEDを採用して長寿命化を図るとともに,消費電力を抑え,明るい視野を確保する。現在は,キヤノンのFPDに対応しているが,近日中に富士フイルムメディカルの「CALNEO Smart」の組み合わせも発売予定である。
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●ヘルスケアIT:タブレットと組み合わせて在宅診療を支援する「SimCLINIC T3α」
在宅診療のニーズが高まるなか,訪問先でも容易に電子カルテの閲覧が可能となる無床診療所向け統合型電子カルテシステム「SimCLINIC T3α」をアピールした。SimCLINIC T3αは,診療所に必要な電子カルテ,レセプト,画像ファイリングの機能を一体化したシステムで,院内の業務効率を向上させることはもちろん,iPad専用のアプリケーションにより,リモート操作,またはデータをダウンロードする方法で,往診先でiPadを使った電子カルテの閲覧,また入力を可能にする。データをダウンロードすれば,オフラインで閲覧・入力することができるため,インターネットの接続が不安定な地域でも活用できる。
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●近赤外光イメージング装置:臨床使用に適したコンパクトな「SPEEDNIRS」を展示
島津では,安全かつ自然な状態で脳の活動状態を測定することができる近赤外光イメージング装置も扱っている。2012年に発売した近赤外光イメージング装置「SMARTNIRS」は,研究用に拡張性を持たせていたためユニットは回診車ほどの大きさであったが,2014年11月に臨床での使いやすさを優先したコンパクトな「SPEEDNIRS」を発売し,今回,ブースで実機が紹介された。SPEEDNIRSは,コンソール,ユニット,ヘッドセンサの3ユニットで構成されたコンパクトな装置で,ヘッドセンサも着脱しやすいため,精神科やリハビリテーション科など,臨床で使用しやすくなっている。リハビリによる効果判定や,鬱病の鑑別への活用が期待される。
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●お問い合わせ先
株式会社 島津製作所
住所:〒604-8511 京都市中京区西ノ京桑原町1
TEL:075-823-1271
URL:http://www.med.shimadzu.co.jp