ITEM2024 東洋メディック ブースレポート
温度計と気圧計を内蔵しオールインワンの仕様となった自社開発のリファレンス線量計「RAMTEC Pro」を中心に,初出展の製品や新機能を多数紹介
- INFORMATION
- 取材速報
- report
2024-4-30
東洋メディックブース
東洋メディックは例年,同社が取り扱う放射線治療の精度管理や,放射線診断・治療の安全・正確な実施に寄与する幅広い製品を展示し,来場者の期待に応えているが,今回も新製品や新機能,初披露の製品を多数そろえて展示を構成した。それらの中で,同社が開発,製造,販売を手がける新製品として,リファレンス線量計「RAMTECシリーズ」の第5世代機「RAMTEC Pro」がアピールされた。従来機種と同様に独立したアンプを2台搭載し,2ch同時測定に対応しつつ,デザインを一新し,従来よりも軽量・コンパクトな製品となっている。新たな仕様として,温度気圧計を内蔵したオールインワンのシステムとなり,より使い勝手が向上した。また,超音波骨密度測定装置「EchoSシステム」は,骨粗鬆症の診断において,ガイドラインが推奨する腰椎および大腿骨の測定を超音波を用いて行うことができる。さらに,新たに超音波検査オプションが登場したことで,汎用型超音波診断装置としても使用可能となった。これらのほか,放射線治療関連では,デジタルSRS/SBRT用QAソリューション「myQA SRS」(IBA Dosimetry社製),放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」(Sun Nuclear社製),初出展の放射線治療用患者固定プラットフォーム「TotalRT」(CIVCO Radiotherapy社製),またCT関連ではPearltecシリーズ「CTテーブルカバー」(Pearl Technology社製)などが紹介された。
●リファレンス線量計の新製品として,温度気圧計を搭載したオールインワンシステム「RAMTEC Pro」を発表
リファレンス線量計は,主に放射線治療装置からの高エネルギー放射線の出力変動の補正を目的とした製品である。RAMTECシリーズは,これまでも電位計に求められるニーズに応えて改良が重ねられており,精度や機能,操作性,視認性に優れた製品としてユーザーの期待に応え続けてきた。こうした中,新たに販売が開始された「RAMTEC Pro」は,「進化をカタチに」というコンセプトのもと,温度気圧計を内蔵したオールインワンのシステムとして登場した。従来機種では,オプションで温度気圧計を別途提供していたが,RAMTEC Pro を導入すれば,電位計としての計測結果と,温度,気圧の値を1台で取得することができる。RAMTECシリーズのうち,独立したアンプを2台搭載して2ch同時測定に対応する機種では,放射線の水吸収線量計測において外部モニタ電離箱を用いながらの相互校正を1台で行えるという特長を有する。RAMTEC Proもこの特長を継承していることに加え,「ガジェット感覚で使える無駄のないシンプルなデザイン」をコンセプトにデザインを一新。さらなる軽量化とコンパクト化が図られ,持ち運びしやすく,より省スペースでの設置が可能となった。表示部にはTFTカラー液晶タッチパネルを採用したほか,角度調整機構を搭載。設置場所に応じて角度を調整できるため,視認性や操作性に優れている。放射線治療用チェンバーは複数用意されており,大きいものはリファレンス用,小さいものは位置精度などピンポイントの測定用と使い分けることができる。RAMTEC Proは,拡張性にも優れている。専用のアドインソフトウエア「RAMTEC Link Pro」を用いることで,Windows PCを使用し,Excelファイル上で線量計の操作や測定データを取り込めるため,そのままデータ管理をすることができる。また,外部インターフェイスは,従来のUSBに加え,Ethernet,無線LAN,Bluetooth(USBドングル使用)にも対応するなど,使い勝手の良いシステムとなっている。
●超音波オプション「EchoSK」を搭載することで汎用超音波診断装置としての使用も可能な超音波骨密度測定装置「EchoSシステム」
EchoSシステムは,超音波を用いてガイドラインが推奨する腰椎および大腿骨の測定が可能な超音波骨密度測定装置。スタンドに搭載して院内で使用するパネルPCタイプの「EchoStation」と,専用カートに収納し持ち運びも可能なモバイルタイプの「EchoS」,EchoStationとEchoSを組み合わせた「EchoStationモバイルハイブリッド」の3タイプがラインアップされている。測定方法は非常に簡単で,専用のコンベックスプローブを用い,腰椎は約80秒,大腿骨は約40秒走査するだけで骨密度を測定することができる。X線被ばくのリスクがないことが最大の利点であり,管理区域のない施設にも設置できるほか,訪問診療やベッドサイドでの使用も可能で,X線検査を避けたい妊婦やアスリートのスクリーニング,健診などにも用いることができる。また,医師や診療放射線技師だけでなく,臨床検査技師や看護師が検査を行えることも大きな利点である。
超音波骨密度診断装置は通常,定量的超音波測定法(QUS法)を用いてかかとを測定するものが一般的であるが,測定結果の再現性が不十分なため診断には使用できないことが課題であった。一方,EchoSシステムではREMS(radiofrequency echographic multi-spectrometry)法を採用。骨粗鬆症診断のゴールドスタンダードであるDXA(dual energy X-ray absorptiometry)法との相関性が高く,信頼製の高い測定結果を得ることができる。このため,診療報酬の骨塩定量検査の項目においては,REMS法がDXA法の次に位置づけられているほか,今年改訂される予定の「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン」でもREMS法が掲載されるとのことである。
さらに,EchoSシステムでは新たに,超音波検査オプション「EchoSK」の搭載が可能となった。専用ソフトウエアを追加することで,骨密度測定装置としてだけではなく,超音波診断装置としての使用も可能となる。Bモードでの簡易的なスクリーニングが可能であり,胸腹部,下肢血管,頭頸部,四肢,体表,末梢血管において診療報酬を算定できる。プローブは,骨密度の測定に使用するコンベックス型プローブのほか,リニア型プローブ2種類をオプションで追加可能となった。
●CyberKnifeに対応したデジタルSRS/SBRT用QAソリューション「myQA SRS」や,初出展の放射線治療用患者固定プラットフォーム「TotalRT」も展示
RAMTEC ProやEchoSシステムのほか,初出展の製品や新機能なども多数紹介された。デジタルSRS/SBRT用QAソリューションmyQA SRSは,SRS/SBRTの患者プラン検証をフィルムレスで高精度に実施可能なソリューションであるが,新たにCyberKnife対応バージョンが紹介された。また,初出展の放射線治療用患者固定プラットフォームTotalRTは,患者固定具を治療ニーズに合わせて手早くセットアップ可能なオールインワンプラットフォーム。カウチ上に固定し,患者ごとに異なる固定具をシームレスに組み替えることができる。
これらのほか,放射線治療関連では,Sun Nuclear社製の放射線治療用モーションQAツール「エンハンスド ダイナミック プラットフォーム」,放射線治療用および画像診断用CT性能評価ファントム「IQphan」,放射線治療用3D水ファントム「SunSCAN 3D」が,また,CT関連製品としてCTテーブルカバーなどが展示された。
●お問い合わせ先
社名:東洋メディック株式会社
住所:〒102-0072 東京都千代田区飯田橋3-8-5
TEL:03-6825-1645
URL:https://www.toyo-medic.co.jp/