ITEM2025 シーメンスヘルスケア 取材速報 
1.5TヘリウムフリーMRI「MAGNETOM Flow」や最新のフォトンカウンティングCTなど,環境や将来性を見据えた先駆的な製品を発表


2025-4-12

シーメンスヘルスケア


シーメンスヘルスケアブース

シーメンスヘルスケアブース

シーメンスヘルスケアは,これまでにも既存製品とはひと味違った先駆的な製品を多数発表してきたが,今回のITEMでも,さまざまなモダリティで環境や将来性を見据えた先進性の光る製品が見られた。MRI,CT,デジタルヘルス & イメージングITなどで新製品が発表されたほか,超音波やマンモグラフィなども実機が展示され,ブースは常に多くの来場者で賑わっていた。

特に注目されたのが,2024年11月に販売を開始した1.5TヘリウムフリーMRI「MAGNETOM Flow」である。サスティナブルで効率的な病院経営を支えることをコンセプトに開発されたMAGNETOM Flowは,「DryCool Technology」によって,わずか0.7Lの液体ヘリウムを完全に密封した冷却装置を実現し,装置の稼働に伴う液体ヘリウムの再充填が不要なヘリウムフリー構造となっている。従来の超伝導磁石の冷却に必要とされていた最大1500Lの液体ヘリウム使用量を極限まで削減していることに加え,クエンチ発生時にもヘリウムが外部排気されることはなくなり,クエンチパイプが不要となったことで設置の自由度が向上した。また,スキャン操作の自動化などワークフローを効率化する技術や画像再構成に人工知能(AI)が活用されており,シンプルな操作性による短時間の撮像と高画質を両立している。

1.5TヘリウムフリーMRI「MAGNETOM Flow」

1.5TヘリウムフリーMRI「MAGNETOM Flow」

 

CTは,日本においては薬機法未承認であるものの,RSNA 2024で発表されたフォトンカウンティングCTの新製品「NAEOTOM Alpha Prime」が展示され,注目を浴びた。世界初のフォトンカウンティングCTである「NAEOTOM Alpha」はDual Sourceの装置であるが,NAEOTOM Alpha Primeの最大の特徴はSingle Sourceの装置となっていることである。これは,2040年までに,シーメンスのすべてのCTをフォトンカウンティングCTにするというビジョンに基づいたものであり,その第1弾として開発された。CTコーナーにはフォトンカウンティングCTの開発の歴史がパネルで紹介され,全CTをフォトンカウンティングCTにするという目標が明記された。

Single SourceのフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」(薬機法未承認)

Single SourceのフォトンカウンティングCT「NAEOTOM Alpha」(薬機法未承認)

 

フォトンカウンティングCTの開発の歴史を紹介するパネル

フォトンカウンティングCTの開発の歴史を紹介するパネル

 

大画面モニタで,2040年までに同社のすべてのCTをフォトンカウンティングCTにするというビジョンを紹介

大画面モニタで,2040年までに同社のすべてのCTをフォトンカウンティングCTにするというビジョンを紹介

 

デジタルヘルス & イメージングITのコーナーでは,前回のITEMで紹介され,今年3月に販売を開始した統合型医療情報プラットフォーム「Syngo Carbon」が紹介された。DICOM画像はもとより,非DICOMの臨床検査データや動画,テキストデータなど,複数診療科のあらゆる医療情報データを一元的に管理できるため,さまざまなデータへのアクセスや閲覧が容易となり,データ処理や管理の効率化が図れる。豊富なAIアプリケーションを使用して,高精度な画像解析処理や読影支援,レポートの自動作成なども可能である。また,検査支援ソリューション「syngo Virtual Cockpit」とも連携しているため,遠隔でのコンソール操作やチャットなどにより,遠隔での撮影のサポートなども簡単に行うことができる。

統合型医療情報プラットフォーム「Syngo Carbon」では非DICOM画像も表示可能

統合型医療情報プラットフォーム「Syngo Carbon」では非DICOM画像も表示可能

 

超音波のコーナーでは,AIアシスト機能を搭載し,心エコー検査に特化した「ACUSON Origin」,同じくAIによって検査の効率化が可能な汎用機の「ACUSON Sequoia」,コンパクトかつケーブルレスで超音波ガイド下インターベンションなどに活用できる「ACUSON Freestyle」が展示された。これらのうちACUSON Originは,リアルタイムに心臓の構造を認識するアシスト機能を搭載し,さまざまな計測も自動で行えるため,心エコー検査のワークフロー向上に寄与する装置となっている。今回のITEMでは,ACUSON Origin と併せて,2024年12月に発売されたリアルタイム3Dに対応した心腔内エコーカテーテル「AcuNav Lumos 4D ICE」が紹介された。経食道心エコーと同等の診断精度や画質が得られるほか,全身麻酔ではなく局所麻酔下での検査が可能なため,より侵襲性の低い検査が可能となる。

心エコー検査に特化した「ACUSON Origin」と心腔内エコーカテーテル「AcuNav Lumos 4D ICE」

心エコー検査に特化した「ACUSON Origin」と
心腔内エコーカテーテル「AcuNav Lumos 4D ICE」

 

マンモグラフィは,前回のITEMで新製品として紹介された「MAMMOMAT B.brilliant」が展示された。令和6年度診療報酬改定において,「乳房撮影(一連につき)」に乳房トモシンセシス加算が新設されたことで,デジタル乳房トモシンセシス(3Dマンモグラフィ)が注目されているが,MAMMOMAT B.brilliantは,業界最大(同社調べ)の振り角50°の広角のトモシンセシス撮影を短時間で実施できる装置となっている。撮影時間が同社従来装置の1/5となる5秒にまで短縮し,より高画質な画像が取得できるようになった。

トモシンセシス撮影を短時間で実施可能な「MAMMOMAT B.brilliant」

トモシンセシス撮影を短時間で実施可能な「MAMMOMAT B.brilliant」

 

これらのほか,同社と共同ブースで展示を行ったバリアンの放射線治療関連の製品として,体表面モニタリングシステム「IDENTIFY」,高画質なcone beam CT(CBCT)画像を高速に取得可能なイメージングソリューション「HyperSight」が紹介された。

 

●お問い合わせ先
社名:シーメンスヘルスケア株式会社
住所:東京都品川区大崎1-11-1ゲートシティ大崎ウエストタワー
TEL:03-3493-7500
URL:https://www.siemens-healthineers.com/jp

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