GEヘルスケア・ジャパン「アベノミクスと医療改革」をテーマにプレス向けセミナーを開催
2014-2-13
会場風景
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2014年2月12日(水),赤坂パークビル(東京都港区)にてプレス向けセミナー「第8回ヘルシーマジネーション・カレッジ」を開催した。
社会保障・税一体改革では,医療提供体制の検討が進められているが,なかでも地域医療の財政問題については,内閣府規制改革会議において地域複数病院のホールディングカンパニー化に向けた規制改革が提案されている。セミナーでは,規制改革の提案を行った,内閣府規制改革会議健康・医療ワーキンググループ専門委員を務める一般財団法人キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の松山幸弘氏が,「アベノミクスと医療改革」と題して,わが国の医療改革の方向性について講演した。
はじめに,GEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOの川上 潤氏が挨拶に立った。川上氏は,アベノミクスの「超高齢化などの日本の課題を前向きにとらえて,医療を成長産業と位置づける」という戦略が,GEヘルスケア・ジャパンが掲げている“Silver to Gold”戦略に合致しているとし,同社ではテクノロジーを医療現場に投入して生産性を高めることで,医療費の抑制や医療アクセスの向上に貢献し,課題解決にいっそう努めていくと述べた。また,医療を成長産業とするためには,医療輸出といった視点よりも国内の課題解決が先決であり,内閣府の戦略を理解した上で,国・医療機関・企業がそれぞれの立場で戦略を考えて実行していくことが,アベノミクスの3本目の矢(成長戦略)のカギになるだろうと語った。
続いて,松山幸弘氏が「アベノミクスと医療改革」をテーマに講演した。松山氏は,1月の世界経済フォーラム年次会議(ダボス会議)の冒頭演説において,安倍首相が「ホールディングカンパニー型の大規模医療事業体を作ることを成長戦略の柱のひとつにする」と宣言したことを受け,国内外の事例を紹介しながらホールディングカンパニー制の医療事業体について解説し,医療制度改革の方向性について語った。
松山氏はまず,アベノミクスの成長戦略の目玉である「日本版NIH」で重要なことは,NIHの組織そのものよりも,臨床部門となる大学などの医療事業体の機能を高めることであり,そのためには大規模医療事業体IHN(Integrated Healthcare Network)を,成長を促進するために非営利法人で作ることが必要であると説明した。IHNとは,地域コミュニティに対して予防から医療,介護,さらには医療保険まで,異なる機能を垂直統合した医療事業体であり,松山氏は,IHNにより地域包括ケアのミスマッチを極小化し,収益の安定・増加を図ることができるとした。そして,IHNの経営形態の分類を説明した上で,国内外の事例を紹介し,日本においては,JA長野厚生連や社会福祉法人聖隷福祉事業団が,急性期から在宅まですべての機能を担うことや,事業体内で重複投資を避けることで黒字経営を実現していることなどを説明。地域医療崩壊の原因は,診療・介護報酬の水準ではなく,医療提供体制のガバナンスに問題があることだと指摘した。また,非営利ホールディングカンパニー機能を持ったIHNは,国や自治体よりも強固なセーフティネット事業体になるとともに,医療IT投資を成功に導くことができるとし,各地で運用の始まっているICTを利用した医療連携ネットワークについて,情報提供病院の核である大学附属病院,国公立病院を経営統合してIHNをめざすことが,有効に機能させるための打開策となるだろうと述べた。
そして松山氏は,非営利と営利のホールディングカンパニーを比較した上で,非営利型のIHNの考え方や事業構造,米国の事例を解説し,日本がめざすべき非営利IHNを中心とした医療・介護・福祉改革の方向性を示した。
また,米国をはじめ諸外国では,医療データベースを基にしたPopulation Health(予防による地域住民健康向上と医療費節約)に向けて医療改革が行われており,日本国内においてもナショナルデータベースを利用したPopulation Health活用の検討が始まることを明らかにした。ただし,保険者と医療機関の経済的損得が正反対であることがPopulation Health実現の障壁となることから,保険者と連結経営できる垂直統合した大規模医療事業体の存在が不可欠であることをあらためて強調。先進的な事例として,米国の医療系事業複合体「Sentara Healthcare」のICTを活用したPopulation Health事例や,GE社のIHNへの貢献などを紹介した。
|
|
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp