GEヘルスケア・ジャパンが第12回ヘルシーマジネーション・カレッジを開催
『「乳癌診療ガイドライン」改訂から探る乳がん検診の現状と課題』をテーマに,今後の乳がん検診の方向性を講演
2015-10-2
会場風景
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2015年9月30日(水),赤坂パークビル(東京都港区)にて「第12回ヘルシーマジネーション・カレッジ」を開催した。
ヘルシーマジネーション・カレッジは,世の中の関心の高い医療テーマについて,現場に携わる専門家が現状や取り組みについて講演するメディア向けセミナー。12回目となる今回は,2015年7月に「乳癌診療ガイドライン」が改定し,マンモグラフィ検診の転換点を迎えようとしていることや,広く乳がんへの関心が高まったことを受け「『乳癌診療ガイドライン』改訂から探る乳がん検診の現状と課題」をテーマに,乳癌診療ガイドライン委員会に所属するさがらブレストピアヘルスケアグループ乳腺科部長の戸﨑光宏氏が講演した。
セミナーでは,まず開会に先立ち同社チーフ・マーケティング・オフィサーである伊藤久美氏が登壇し,GEヘルスケア・ジャパンの女性医療の取り組みについて説明した。伊藤氏は,乳がん検診における重要な課題でありアジア人女性の8割が該当すると言われるデンスブレスト(高濃度乳腺)が,日本ではほとんど認知されていないデータを示し,デンスブレストの可能性が高い日本女性の認知度がもっと高まるべきであるとして,米国のNPO法人Are you dense?の活動を紹介した。また,遺伝的リスクも含めた上で全員が同じ検診を受けるのではなく,個別のリスクに応じた個別化検診が必要であると訴えた。
続いて,戸﨑氏が登壇し,さまざまな臨床画像やエビデンスを供覧しながら,乳癌診療ガイドラインの改訂の意義と現在の乳がん検診についてを講演した。戸﨑氏は,はじめに乳癌診療ガイドラインでマンモグラフィ検診の推奨グレードがAからBに下がったことを挙げ,このダウングレードの理由であり,マンモグラフィ検診における問題となっている「過剰診断」と「デンスブレスト」について説明した。特に実際のデンスブレストの画像でいかに乳がんが診断しづらくなるかを説明し,Are you dense?の活動やNPO法人乳がん画像診断ネットワークの活動報告も交えて,乳がん検診においてデンスブレストを知っておくことの重要性を強調した。次に,デンスブレストの乳房に有効な検査方法として期待されている超音波検診について,「乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験(J-START)」の取り組みを提示した。一方で,J-STARTで超音波検査の有効性が証明された場合でも,超音波検査には「施行者依存性」という課題があることを述べた。この課題の解決策として,超音波検診の対象を高濃度乳腺を持つ女性に限定して対応することや,「乳腺自動超音波装置」の技術を紹介し,施行者依存性の少ない装置への期待を語った。また,マンモグラフィについても,乳房トモシンセシス技術により,従来よりも検出能は上がると思われるが,日本人でのデータがないため今後のエビデンスの蓄積に期待を示した。最後に,遺伝性の乳がんとMRI検査について触れ,遺伝的に乳がんの発症率が高いハイリスク女性は高精度で乳がんを検出できるMRI検査が推奨されるとした上で,MRI検査にはMRIガイド下生検ができることが必須であり,MRIガイド下生検を普及するための活動を紹介した。
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