FileMakerカンファレンス2016,J-SUMMITSと共催したメディカルセッションを開催
2016-11-21
iPadによるカスタムAppの紹介コーナー
FileMakerのユーザーやディベロッパーが集合する国内最大のイベントであるFileMakerカンファレンス2016が,2016年11月9日(水)〜11日(金)の3日間,東京都千代田区のKITTE内のJPタワーホール & カンファレンスで開催された。今年は“カスタム App(FileMakerで構築した業務アプリケーション)を作成し,未来をデザインしよう”をテーマに,ユーザーによる開発・導入事例,開発テクニックの紹介,スキル向上のためのワークショップ,FBA(FileMaker Business Alliance)や協賛企業による展示(ショウケース)などが行われた。
初日には,ファイルメーカー社のビル・エプリング社長による日本における事業報告や,FileMakerを利用した事例紹介,米国FileMaker,Inc.のシニアプロダクトマネージャーのアナンド・ベッゲラ氏による今後のFileMakerの最新技術動向を紹介するオープニングセッションが行われた。エプリング社長は,FileMakerではMacOS,Windows,iOSのマルチプラットフォームのカスタムAppが作成でき,iPhoneやiPadを利用したモバイルアクセスが容易なソリューションを提供できることがアドバンテージだと述べた。
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11日(金)には,J-SUMMITS(日本ユーザーメード医療IT研究会)との共催によるメディカルトラックが設けられ,ランチョンセミナーを含めて5つのセッションが行われた。セッションの冒頭に挨拶したJSUMMITS代表の吉田茂氏(医療法人葵鐘会副理事長,CMIO)は,「J-SUMMITSの“ユーザーメード”は,医師とシステム開発の“二足のわらじ”だと言ってきたが,今ならば日本ハムの大谷翔平選手の“二刀流”である。大谷選手は,投手と野手の両方に取り組むのは無謀だと批判されてきたが,今年の優勝という結果で跳ね返した。批判にめげず信念を持って続けることは大事だと改めて感じている。しかし,システム開発に時間を取られすぎては本末転倒であり,それをサポートする環境を提供してくれるプラットフォームがFileMakerだ。このセッションがユーザーやベンダーの融合の場となることを期待している」と述べた。
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最初のセッションは,小田陽平氏(新潟大学大学院医歯学総合研究科)による「FileMakerでゼロから開発〜歯科臨床実習におけるweb公開型電子ポートフォリオ」。歯科教育の現場では,学生が行う臨床実習の感想や教員の指導内容などを“ポートフォリオ”に記録している。従来は紙で運用されてきたが,かさばる,なくす,時系列での並べ替えや検索ができないなどの問題があった。これをFileMaker ServerとFileMaker WebDirectを使ってデータベース化とWeb化を図った。ブラウザベースのため学生も教員もソフトウエアの購入などの金銭的な負担がなく,どこからでも容易にアクセスして記入が可能になった。これによって,実習内容の振り返り学習や適切なタイミングでのフィードバック,進捗状況の管理などが行え,実習による学生の臨床能力などこれまで漠然としていた判断を可視化して,客観的な評価が可能になったことを発表した。
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続いて,「透析支援システム UI を考えたカスタムAppの作成」を田代庸平氏(泉南新家クリニック透析センター)が講演した。田代氏は,透析業務支援システム「dottoHD」を開発し,透析センターの業務支援を行っているが,その開発の経験をベースにカスタムAppを作成する際に必要なUI(ユーザーインターフェイス)/UX(ユーザーエクスペリエンス)の考え方について説明した。システム開発の際に知っておくべきレイアウトデザインの知識点について,最初にスティーブ・ジョブズの“デザインとはどのように見えるかではなく,どう機能するかだ”という言葉を紹介し,デザインの概念(パターン,シグニファイア,メタファー)やレイアウトの4原則(整列,近接,対比,反復)など,基本に沿って注意すべき点を説明した。さらに,dottoHDのシステム開発を行ったトップオフィスシステムの池田栄司氏が登壇し,問診票の作成を例にFileMakerでの具体的なUI作成について実演した。
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ランチョンセミナー「チームで取組む電子カルテ構築プロジェクト」を挟んで,午後のセッションは斉藤隆氏(介護老人保健施設サンライフゆもと)の「介護現場でのiPadとFileMakerを導入後5年の軌跡」でスタートした。斉藤氏は,最初にサンライフゆもとで2012年からFileMakerを使って構築し運用を進めてきた“利用者管理システム”について概要を紹介した。介護事業では多職種連携が前提となるが,各職種の多種多様で膨大な書類の情報をFileMakerで管理し,入力した情報を各職種で共有しながら,制度の改定にも迅速に対応できていることを説明した。さらに,笹島みつ子氏が登壇し,利用者管理システムに入力された情報を利用し,動画なども取り込んでiPadで利用できる「在宅復帰支援シミュレーター」について,患者の家族への説明場面を再現しながらデモを行った。
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最後のセッションとして,松重好男 氏(医療法人三九会三九朗病院)が,「平成28年度診療点数改訂に伴うリハビリテーション部門の対応」を講演した。松重氏は,同院で運用されているリハビリ部門のFileMakerによる情報管理システム(カスタムApp)を紹介した。リハビリ部門のカスタムAppでは,リハビリスタッフによる評価,ADL(FIM評価)の入力が簡単にできるように工夫されているほか,同院のこれまでのデータから計算した退院時のADLを予測する機能などを提供している。その上で,2016年の診療報酬の改定で新たに必要となった「リハビリテーション総合実施計画書」の実績指数の報告,目標設定等支援・管理シートの作成について,FileMakerのカスタムAppで行った工夫を中心に説明した。
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最後に閉会挨拶としてJ-SUMMITS副代表の松波和寿氏(松波総合病院 院長)が登壇し,今後の活動予定について紹介したほか,会場の参加者からセッションに対するコメントを集めて終了した。
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会場の展示コーナー(ショウケース)では,iPadによる訪問看護システム,電子カルテ「ANNYYS_Developer版」,「Yes!診療予約システム」などの医療向けソリューションも紹介された。出展企業は次の通り。iウェア(株),あっとクリエーション(株),(株)イエスウィキャン,(株)インフォトレック,(株)ウィズダム,(株)エミック,(株)エムシス,(株)寿商会,(株)サポータス,(株)ジェネコム,(株)ジュッポーワークス,(株)スプラッシュ,(株)平プロモート,(株)テクニカル・ユニオン,(株)Too,トップオフィスシステム(株),ネビュラ(有),HULFT,(株)バルーンヘルプ,(有)バンザイクリエイティブ,(株)ぴーぷる,BIN KOREA,(株)マジェスティック,(株)U-NEXUS。
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●問い合わせ先
(株)コンベンションリンケージ内
FileMaker カンファレンス 2016 事務局
TEL 03-3263-8695