キヤノンITSメディカル,京都大学医学部附属病院と共同開発した医療カンファレンス支援システム「メディカル カンファレンス ポータル」を発表
2016-11-16
メディカル カンファレンス ポータルの
カンファレンス画面イメージ
キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITSメディカル(株)は,2016年11月16日(水)に京都大学医学部附属病院と共同開発した医療カンファレンス支援システム「メディカル カンファレンス ポータル」を発表した。同システムは,病院を対象に11月下旬から提供が開始される。発表に先立ち,9日には報道機関向けの内覧会がキヤノンマーケティングジャパン(株)品川本社(東京都港区)で行われた。内覧会では,第一事業部営業部部長の中村智生氏が,キヤノンマーケティングジャパングループの経営計画や同システムを開発した背景について述べた後,製品説明とデモンストレーションが行われた。
キヤノンITSメディカルは,電子カルテシステムやレセプトコンピュータなどの販売・サポート,システム基盤構築など,医療ITソリューション事業を展開している。キヤノンマーケティングジャパングループは,2016年から開始している5か年計画「長期経営構想フェーズⅢ」の中で医療ITソリューション分野を独自成長領域として重点を置いており,今後は「医画像ビジネス」「電子カルテビジネス」「ヘルスケアビジネス」を統合し,クラウド化も含めたソリューションビジネスとして展開していくとしている。
今回発表したメディカル カンファレンス ポータルは,医療従事者の業務負担軽減とカンファレンス業務の標準化をめざし,京都大学医学部附属病院医療情報企画部教授の黒田知宏氏とともに共同開発された。同院では,2016年4月からシステムが稼働しており,糖尿病・内分泌・栄養内科,泌尿器科,がん診療部,放射線治療科,肝胆すい移植外科,腎臓内科の6診療科に導入され,評価が行われている。
病院では入退院や手術,がん治療など,日々さまざまなカンファレンスが行われているが,その準備では対象患者のデータを電子カルテや各部門システムから集めるなど,多くの時間と手間がかかり,医療従事者の負担となっている。また,経験や個人差によりカンファレンスの資料や説明にバラツキがあることも課題の一つとなっていた。
メディカル カンファレンス ポータルは,電子カルテ,PACS,レポート管理システムなど,カンファレンスに必要な情報を格納している院内の各システムと連携し,設定に基づいて事前に情報を自動抽出しておくことで,カンファレンスでは専用のWebビューワでさまざまな情報を参照可能にする。データの抽出条件は,カンファレンス(ユニット)ごとに開催サイクルやデータ抽出タイミング,患者抽出条件(入退院イベント,手術・放射線治療オーダ,画像や検体検査の内容などの対象患者条件)や資料抽出条件(カルテ記事,サマリー,画像,レポート,検体検査,薬歴などカンファレンスで参照する情報)を任意に設定できる。特定のテンプレートによる抽出も可能で,「来週のカンファ対象」などを登録しておき,カンファレンス申し込みとして使用することもできる。設定を一度行えば,次回以降の事前準備は不要となる。データ抽出のタイミングも2回まで設定できるため,事前に一度抽出して概要を把握しておき,カンファレンス直前に最新情報を抽出して検討することも可能だ。
抽出された情報は,患者ごとの画面にリスト一覧またはマトリックスで示される。1画面は4面まで分割可能で,カルテやレポート,画像など必要な情報を同時に表示することができる。過去カンファレンスの内容参照や議事メモの登録機能,ワンボタンで次の検討症例を表示できるなど,効率的にカンファレンスを進めるための工夫が施されている。
メディカル カンファレンス ポータルは,院内にサーバを設置してクライアントで参照するシステムであるが,将来的には,キヤノンマーケティングジャパンが運営するクラウドサービス基盤を活用した医用画像クラウドサービス基盤「Medical Image Place」のサービスの一つとしても提供していくことを計画している。
対象施設は中〜大規模病院で,価格は300万円〜(税別,ソフトウエアのみ)。販売目標は5年間で30施設としている。
●問い合わせ先
キヤノンITSメディカル(株)
第一事業部営業部
TEL 03-6701-3613
http://www.canon-itsmedi.co.jp/solution/karte/mcp.html