石毛博行 理事長

独立行政法人日本貿易振興機構（JETRO）は2017年2月16日（木），JETRO本部（東京都港区）にて日本のサービス産業の海外展開をテーマに理事長記者会見を行った。会見では，JETROの石毛博行理事長が，この日公開された「第4回サービス産業の海外展開実態調査 」の結果を報告するとともに，外食を中心としたサービス産業，ならびにメディカル分野に対するJETROの取り組みについて説明した。

このうちメディカル分野については，今後，特に注力していく分野であると述べ，2017年度は，高齢化や生活習慣病などの課題に直面しているアジア（主に中国，ASEAN）向けの健康長寿分野や，バイオ医薬品関連・医療機器などの海外展開支援を強化していくとしている。
医療機器などの海外展開については，2016年6月2日に閣議決定された「日本再興戦略2016」において，JETROや一般社団法人メディカル・エクセレンス・ジャパンを活用して，日本式医療拠点の設立支援や人材育成・制度整備をパッケージ化した医療・介護サービスや，医療機器・医薬品などの販路開拓の支援を行っていくことが示された。JETROでは，これに基づき，海外の有力展示会に資源を集中し，良質な商談機会を拡充することや，「新輸出大国コンソーシアム 」などの専門家による商談支援を強化していく。JETROが事務局を務める新輸出大国コンソーシアムは，海外展開をめざす中堅・中小企業を対象に，ニーズに合わせて総合的な支援を行う枠組みで，現在，約3500社（うち医療関連企業は約60社）が登録している。海外ビジネスに精通した専門家を擁しており，海外展開計画の作成支援から，販路開拓，立ち上げ，操業支援まで，従来よりも一歩踏み込んだ一貫した支援を行っている。
メディカル分野における課題としては，中堅・中小企業が，信頼性・安全性・使い勝手の良さをめざして国内の医師と協力して開発している製品を海外の医師にしっかりと届けていくことと，大型展示会を中心に出展を行い，現地の病院や保健省へのアピールも併せて露出を増やしていくことを挙げている。JETROでは，2017年度に世界各地で開催される医療機器・バイオ医薬品関連の展示会へ出展を予定しており，その成果が期待される。