GEヘルスケア・ジャパンが「Centricity LIVE Tokyo 2017」を開催
2017-7-18
ユーザーを中心に約200名が参加
GEヘルスケア・ジャパン(株)は2017年7月15日(土),東京コンファレンスセンター・有明(東京都江東区)において,「Centricity LIVE Tokyo 2017」を開催した。「GEヘルスケアITリーダーシップ・ミーティング」として2015年からスタートしたCentricity LIVE Tokyoは,年1回のペースで開催され,2017年で3回目となる。今回は「医療におけるデジタル活用の今とこれから」をテーマに,午前の部「Thought Leadershipセッション デジタル変革時代における医療」,お昼の部「パートナーセッション」,午後の部「事例セッション」の3部構成でプログラムが組まれた。
最初に,GEヘルスケアアジア・パシフィック社長兼CEOのショーン・バーク氏とGEヘルスケア・ジャパン代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏が登壇し,「GEヘルスケアの戦略,日本における取組み」をテーマに挨拶をした。先に挨拶したバーク氏は,日本の医療はすばらしいが,多くの課題を抱えていると指摘。ハードウエア,ソフトウエアを組み合わせたソリューションを提供し,ユーザーのニーズを応えて,日本の医療に役立ちたいと述べた。
次いで多田氏は,日本における医療の課題について,3つの視点から解説した。まず多田氏は,患者・国民の課題として,寝たきり・要介護への不安,高齢者に多い併存疾患,働き盛りを襲う疾病について言及。また,医療機関では,人材の偏在,医療の質と生産性,医業収益の改善が課題であると指摘した。さらに,多田氏は,政府・自治体の課題として,健康寿命の延伸,診療科・施設・職種連携,医療・健康データの利活用,医療・介護の産業育成を挙げた。そして,これらの課題を解決するために,“ケアエリア2”“製品+サービス”“デジタル×IT連携”というキーワードを挙げて,領域やモダリティなどの単一・単独ではなく,製品やサービスを組み合わせた複合的な取り組みをしていくと説明。限られた医療資源を有効利用し,データを活用して医療の質やコストの改善を図るために,「“人”“モノ”“情報”をつなぎ,得られた示唆をアクションにつなげる」ソリューションを提供すると述べた。その上で,多田氏は,同社日野工場が,GEのワールドワイドにおける生産性向上の見本である“Brilliant Factory”となっており,可視化による業務改善を図っていることを紹介。これを医療分野にも応用してサービスを提供すると述べた。最後に多田氏は,GEは画像診断技術とICT基盤で,ユーザーの夢に寄り添っていくと述べ,挨拶をまとめた。
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続いて,GEヘルスケア エンタープライズ・イメージング&ケアエリア・ソリューションズシニアバイスプレジデント兼ジェネラルマネージャのデイビッド・ヘイル氏とGEヘルスケア・ジャパン ヘルスケア・デジタル事業本部本部長の松葉香子氏が登壇。「GEヘルスケアのデジタル戦略」と題したプレゼンテーションを行った。この中で,最良の技術を提供する“Best-in-Class Technologies”,多様な分析アプリケーションを提供する“Analytics and Intelligence”,専門チームのプロフェッショナルサービスとコンサルティングによる課題解決支援を提供する“Services & Solutions”により,顧客の生産性・経営的なアウトカムの実現を支援することが紹介された。さらに,ヘイル氏らは,具体的なソリューションとして,部門,病院全体,複数施設,地域の4つのカテゴリに分けて,製品・サービスを説明。部門における読影品質と生産性向上のために3D機能を統合した「Centricity Universal Viewer」,病院全体としてケアパスウェイ向上のために画像やドキュメントを統合管理する「Centricity Clinical Archive」,複数施設で効率的な診療情報の共有を図る製品として,施設間で画像を共有できる「Cross Enterprise Display(XED)」について解説を行った。さらに,このXEDの事例として,オーストリアのヴァルトフィアテル地域,米国アドベンチストヘルスにおける,施設間で異なるPACSのデータをシームレスに連携したケースを取り上げた。また,地域におけるケアネットワークを促進するために,連携を強化するアプリケーションとして,可搬媒体に置き換わる画像共有ソリューションである「Centricity 360」も説明。さらに,生産性・経営的なアウトカムの実現を支援する医療医データ分析サービス「Applied Intelligence」,人工知能技術である「GE Learning Factory Platform」による画像診断支援についても紹介。
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この後,基調講演1が行われた。座長を九州大学大学院医学研究院臨床放射線科学分野教授の本田 浩氏が務め,慶應義塾大学医学部放射線科学教室 教授の陣崎 雅弘氏が「放射線診断の過去,現在,未来〜更なる人体の可視化を目指して〜」をテーマに講演した。陣崎氏は,レントゲン氏によるX線の発見から,CT,MRI,超音波,核医学,造影剤などの放射線医学における技術進歩の歴史を振り返り,画像病理対比により,診断技術が向上した経緯を紹介。2000年以降,CTの多列化などにより3D画像での画像診断が普及し,造影X線検査がCTAに置き換わったといった近年の変遷について解説した。さらに,今後は末梢神経系やリンパ系など従来画像診断が困難だった領域も,可視化に挑戦していくべきだと述べた。また,2010年以降から4D画像の取得が可能になり,形態情報だけではなく,機能情報による診断を行えるようになったと説明した。このほか,人工知能についても言及し,放射線科医の読影支援を担う存在になるとの見方を示した上で,放射線科医が研究的要素を高めることができ,研究への応用も期待されるとまとめた。
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次に設けられた基調講演2では,厚生労働省医政局総務課保健医療技術調整官/医政局地域医療計画課の木下栄作氏が登壇。「これからの医療提供体制の構築に向けて」と題し,地域医療構想を中心に,施策の解説を行った。木下氏は少子高齢化の動向を説明した上で,地域の実態に応じた医療機関の機能分化と連携により,効率的な医療提供体制を構築するという地域医療構想の概要を紹介。那智勝浦町立温泉病院,熊本市民病院などの地域医療構想に基づく,医療提供体制の見直し事例を解説した。
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この後,お昼の部であるプラチナ・ゴールドスポンサー7社がプレゼンテーションを行うランチセッション,機器展示会場でのコーヒーブレークを経て,午後の部「事例セッション」へと進んだ。セッション1は「デジタル変革時代におけるデータ・マネジメントの最先端」が行われた。まず,GEヘルスケア・ジャパン ヘルスケア・デジタル事業本部戦略企画部部長の大越 厚氏が,「部門システムデータ管理の新たな潮流『VNA』(Vendor Neutral Archive)」と題して,ベンダーロックインの回避などのVNAのメリットについて説明した。続いて,京都大学医学部附属病院医療情報企画部副部長の岡本和也氏が,情報管理者の立場から,京都大学医学部附属病院で構築したVNAについて講演した。同院では,DICOM画像などを蓄積するVNAと他社システムが利用できる公開用データベースにより,ベンダーロックインにならない環境を実現。時間をかけてデータを移行しつつ,「Image Lifecycle Management(ILM)」により病院側がデータの圧縮を設定することで,保守コストを抑えた運用を行っている。また,GEのリモート管理により,安定稼働を実現している。岡本氏は,このシステムのコンセプトと構築の経緯を紹介した。次いで,放射線科医の立場から,京都大学医学部附属病院先制医療・生活習慣病研究センターの八上全弘氏が講演した。八上氏は,同院のPACSに求められる機能として,膨大なデータの管理,多数のPACS端末からのデータ利用,サブシステムへのデータ提供を要件に挙げ,それを実現するために取り入れたOpen Connect Database(OCDB)の仕組みについて解説。症例ごとにビューワを使い分けることが可能であったり,どのシステムからも高速アクセスできたりする点を評価した。さらに八上氏は,医療のビッグデータ活用には,OCDBのような仕組みが重要であるとの認識を示した。
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続くセッション2では,「地域医療連携システムが電子カルテを超える!〜Cloudテクノロジーの衝撃〜」と題して,鳥取大学医学部附属病院医療情報部部長・教授/鳥取大学総合メディア基盤センター米子サブセンター長の近藤博史氏が講演した。近藤氏はシンクライアント端末を採用したサーバベースコンピューティング環境において,ストレージにSSDを採用することで,院外からでも高速に診療情報にアクセスできる仕組みを構築したことなどを説明。さらに,クラウド環境でのデータ管理やサーバ導入計画について解説を行った。次に,GEヘルスケア・ジャパン ヘルスケア・デジタル事業本部統合ソリューション担当部長の山口剛史氏が登壇し,「GEが提供する地域医療連携VNAソリューションCentricity Clinical Archive(CCA)」と題したプレゼンテーションを行った。山口氏は,VNAの技術要件として“接続性”“標準化”“安全性”の3点について説明し,さらにGEのVNAは世界ナンバーワンの実績があることを強調した。
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セッション3では,「マルチシステム統合へのチャレンジ,更なる読影効率向上に必要な条件」をテーマに,広島市立広島市民病院放射線技術部主任技師医療画像情報管理担当の竹本弘一氏,放射線診断科主任部長の浦島正喜氏の講演が行われた。先に,竹本氏が「当院の検査を支えるCentricity PACS System」をテーマに講演した。同院は2005年からCentricity PACSを導入し,2015年には市立病院3施設間でのPACS統合化を図った。さらに,2016年システム更新では,Centricity Universal Viewerを導入している。竹本氏はこの経緯を解説し,クラウド化や読影センターでのXEDによる読影の効率化にも言及した。続く浦島氏の講演「Centricity Universal Viewerを使用した現状と将来への期待」では,読影業務を効率化する視点からCentricity Universal Viewerを導入し,大幅な改善が見られたことや,その結果,遠隔読影の依頼件数が減少し,病院経営にも貢献していることなどが報告された。
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次のセッション4では,先にGEヘルスケア・ジャパン執行役員/サービス本部長の藤谷京子氏が「Brilliant Hospitalデータ分析が切り開くデジタルサービスの世界」テーマにプレゼンテーションした。藤谷氏は,Brilliant Hospitalの「プラットフォームサービス」「プロフェッショナル&アナリティクスサービス」「ソリューションサービス」を紹介した。さらに,ベルランド総合病院放射線室技師長の鈴木賢昭氏が,本イベントで先行案内開始となったApplied Intelligence医療データ分析サービスのパイロット導入事例として「放射線関連データと医療データの可視化から拡がる運営戦略」と題して,最適な人員配置と検査時間の短縮を図るために,データに基づくアセスメントからkey performance indicator(KPI)での可視化,改善に向けた継続的な取り組みを解説した。
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最後に国際医療福祉大学大学院医療福祉学研究科医療福祉国際協力学分野准教授/(株)Mediaccel代表取締役/HoloEyes(株)取締役の杉本真樹氏による特別講演「Virtual Augmented Imaging:VR仮想現実,AR拡張現実,MR複合現実,ホログラム」が行われた。杉本氏は従来,画像診断などで用いられてきた3D画像は平面のモニタに表示されており,空間認識が欠如すると指摘。VRゴーグルを用いたVR,AR,MRにより,人体の構造が立体的に把握できるようになるとし,手術支援や医師のトレーニング,医学教育,患者説明にも有用であると説明した。
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当日は,約200名が参加し,GEのデジタル技術への取り組みやその最新導入事例が紹介されるなど,多岐にわたるセッションが設けられ,会場内は最後まで盛況であった。
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●展示企業
GEヘルスケア・ジャパン株式会社
インテル株式会社
シュナイダーエレクトリック株式会社
Dell EMC
日本ヒューレット・パッカード株式会社
株式会社ファインデックス
レノボ・ジャパン株式会社
株式会社インナービジョン
株式会社根本杏林堂
バイエル薬品株式会社
バルコ株式会社
菱洋エレクトロ株式会社
HoloEyes株式会社
●問い合わせ先
GEヘルスケア・ジャパン(株)
コミュニケーション本部
TEL 0120-202-021
www.gehealthcare.co.jp