フィリップスがプレスセミナーで2層検出器搭載「IQonスペクトラルCT」の有用性をPR
2017-7-24
IQonスペクトラルCT
(株)フィリップスエレクトロニクスジャパンは2017年7月19日(水),新丸ビルコンファレンススクエア(東京都千代田区)において,世界初の2層検出器“Spectral Detector”を搭載した「IQonスペクトラルCT」の臨床的有用性を報道関係者向けに紹介するプレスセミナーを開催した。2016年に日本国内で発表されたIQonスペクトラルCTは,上層にイットリウム系のYi,下層にガドリニウム系のGOSという2層構造のシンチレータを用いた検出器を採用。管電圧120kVpのエネルギーを分光してスペクトルデータを取得する。これにより,ルーチン検査において,1回のスキャンで位置ズレや位相ズレのないデュアルエネルギー画像を得ることが可能となる。従来,デュアルエネルギー画像は,それを目的とした撮影を行わなければならなかったが,不要となり,検査時間を大幅に短縮できる。また,40keVの低エネルギー領域でノイズを抑えた高画質画像を抽出でき,造影剤量の低減が図れるほか,高エネルギー領域のデータでアーチファクトの影響の少ない画像を得られる。さらに,1回の撮影でスペクトラルデータを取得できるため,撮影後に画像化したいエネルギーを選択して再構成を行え,通常のCT画像のほかに161種類の仮想単色X線画像,仮想単純画像,ヨード密度強調画像,実効原子番号画像,尿素画像など169種類の画像を得られる。
プレスセミナーでは,先に同社CTマーケティングの髙瀨英知氏が,IQonスペクトラルCTの商品説明を行い,2層検出器の原理などを解説した。その上で,IQonスペクトラルCTは従来のCTと同じ撮影時間とX線照射で169種類の画像を作成でき,しかも後から撮影を追加することなく必要な情報を得られると述べ,少ない検査で確実な診断につながるメリットを紹介した。そして,“Spectral is Always On”の装置であるとまとめた。
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次に,熊本中央病院放射線診断科の片平和博氏が,「“患者さんに優しい”IQonスペクトラルCT」をテーマに講演した。同院は,アジア2台目,国内1号機のIQonスペクトラルCTを2016年9月に導入。2017年7月までに5000例に及ぶ診断実績を有している。片平氏はその使用経験について報告し,IQonスペクトラルCTは,最大4倍の造影効果が得られ,造影剤量を1/4まで減少できると説明。慢性腎臓病患者への検査の適用が拡大したほか,注入速度の遅くしたり穿刺針を細くしたり,低侵襲な検査を行えていると述べた。また,片平氏は,急性期脳梗塞や急性腹症などの症例画像を提示し,救急領域でも有用性が高いと評価。さらに,実効原子番号画像,造影CTデータをベースにした仮想単純画像といった症例画像も供覧し,1回の撮影で多くの情報が得られるメリットを紹介した。片平氏は,最後に,IQonスペクトラルCTの有用性について,(1)すべての検査でスペクトラルイメージを取得可能で,(2)造影効果が抜群であり少量造影剤プロトコールの設定ができ,(3)目的に応じた画像コントラストを得られる,という3点を挙げ,講演を締めくくった。
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IQonスペクトラルCTは,これらの有用性が世界で評価されており,プレミアムクラスのCTであるにもかかわらず,2017年7月時点で全世界50台,日本国内6台が稼働している。同社では,早期に日本でのユーザー数を2けたにしたいと意気込んでいる。
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