AMDDと臨薬協が“健康経営”に関するメディアセミナーを実施
2017-11-6
超少子・高齢社会を乗り切る切り札とされる健康経営がテーマ
一般社団法人米国医療機器・IVD工業会(AMDD)と一般社団法人日本臨床検査薬協会(臨薬協)は2017年11月1日(水),JAカンファレンス(東京都千代田区)において,第7回メディアセミナーを開催した。今回のテーマは,「経営戦略としての健康経営—『予防』への投資の重要性—」。経済産業省が2014年に「『健康投資』ガイドブック」を公表したほか,東京証券取引所と共同で「健康経営銘柄」を選定するなど,近年,企業経営において,従業員の健康管理が注目を集めている。そこで,メディアセミナーでは,九州大学名誉教授の尾形裕也氏が健康経営の重要性や国内外の動向などについて講演した。
|
AMDD医療技術政策研究所所長の田村 誠氏の挨拶に続き登壇した尾形氏は,健康経営について,欧米諸国の企業ではすでに取り入れられている概念であるが,日本ではアベノミクス以降知られるようになったと述べた。その上で,一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)などの経済界,公益社団法人日本医師会などの医学界が委員となっている日本健康会議が策定した「健康なまち・職場づくり宣言2020」の内容について紹介した。また,尾形氏は,欧米諸国における健康経営の動向も解説した。欧米企業では,従業員の医療や健康をコスト面からとらえるのではなく,“人的資本”への“投資”と考えるようになっていると説明。健康と生産性を同時に管理する健康経営に取り組むなど,企業にとっては重要な経営問題として位置づけられていると言及した。そして,尾形氏は,日本でもこのような欧米企業の考え方を取り入れ,保険者とその母体組織によるコラボヘルスや,レセプトの電子化によるデータヘルス計画を基にした健康経営への展開が始まっていると述べた。
日本において健康経営が注目をされている理由として,人口の減少が挙げられる。尾形氏は,超少子・高齢社会,人口減少社会において医療・介護のあり方は重要なポイントであり,健康経営はこれからの時代を乗り切るための切り札の一つだと説明。さらに,健康経営に関する行政の施策として,健康経営銘柄や健康経営優良法人,「健康経営ハンドブック」,健康経営アドバイザー制度などを紹介した。
また,尾形氏は,欧米諸国における先行研究について解説した。医療費のかかる疾病はがんで,生産性が低下する疾病が肩こりであるといった違いや,健康リスクが高まるほど労働生産性の損失割合が上昇するなどの研究成果を説明。健康経営に熱心な企業は長期的な業績も良好であるというデータを示した。さらに,尾形氏は,東京大学政策ビジョン研究センター健康経営研究ユニットでの実証実験の結果を示し,健康リスクが高いほど医療費が高くなり,生産性が低下すると解説した。
講演の最後に尾形氏は,健康経営について,“雇用の安定性”“人事の柔軟性”“従業員の会社一体感の育成”といった従来の日本的経営を見直し,再構築するものであると述べた。そして,企業にとって人は資産であるとし,今後は健康経営アドバイザーなど外部資源を活用して,中小企業にも健康経営を広めていくことが重要だとまとめた。
なお,講演後には,臨薬協会長の寺本哲也氏が閉会の挨拶を行った。
|
|
●問い合わせ先
一般社団法人米国医療機器・IVD工業会/一般社団法人日本臨床検査薬協会共催メディアセミナー事務局
コスモ・ピーアール内
TEL 03-5561-2915
E-mail amdd@cosmopr.co.jp