JIRAがAIをテーマにした創立50周年記念画像医療システム産業研究会を開催
2017-12-19
注目を集めるAIがテーマとなり会場は満席
一般社団法人日本画像医療システム工業会(JIRA)は2017年12月13日(水),全電通労働会館多目的ホール(東京都千代田区)を会場に,創立50周年記念の画像医療システム産業研究会を開催した。JIRAは,1967(昭和42)年に日本放射線機器工業会として,97社が参加し発足。その後会員企業数を増やしつつ,放射線医学の進歩と画像医療システム産業の発展に伴い,規模を拡大してきた。2017年には創立50周年を迎えて,会員企業数も193社に上っている(2017年11月17日現在)。JIRAでは,事業活動の一環として,2011年からJIRA画像医療システム産業研究会を毎年開催している。今回は創立50周年記念として行われることとなり,参加費を無料とした。
当日は,開会に当たり小松研一JIRA会長が挨拶に立った。小松会長は,50周年記念行事の締めくくりとして研究会を開催すると述べた上で,今回のテーマを「AIを用いた医用画像診断」としたことについて説明した。AIは画像医療システムの技術革新に大きなインパクトを与えると述べたほか,医療への応用が過大な期待となっている可能性もあると指摘。今回の研究会を,AIをどのように画像診断に活用して,医療の質の向上や安全性の確保を図るかを考える機会にしたいとまとめた。
この後,JIRA理事で政策企画会議議長の和迩秀信氏が座長を務め,基調講演も含め3題の講演が行われた。最初に行われた基調講演では,厚生労働省大臣官房厚生科学課医療イノベーション企画官の伯野春彦氏が登壇。「厚生労働省の保健医療分野におけるAI活用推進について」をテーマに講演した。伯野氏は,超高齢社会,少子化による労働力人口の減少といった現状を解説した上で,2016年4月に開催された政府の未来投資会議において医療へのAI活用が言及され,その後,人工知能技術戦略会議が設置されたことなどを説明した。さらに,伯野氏は,厚生労働省が開催した「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」の概要についても紹介し,画像診断支援などAIの早期実用化が期待される領域についても解説した。
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次いで,国内におけるAI研究の動向について,「人工知能研究の最前線(がんセンターとの共同研究の概要も交えて)」と題し,国立研究開発法人産業技術総合研究所人工知能研究センター機械学習研究チーム長の瀬々 潤氏が講演した。瀬々氏は,まずAIの定義など基本的な技術を解説した上で,画像診断支援やゲノム医療など,活用が期待される領域の説明をした。さらに,医療分野でのAI活用の実例として,一般社団法人日本病理学会などが取り組む病理画像のデータベース化による診断支援などを紹介。また,学習内容のブラックボックス化といったAIの問題点も指摘した。このほか,瀬々氏は,国立がん研究センターなどと共同で行っている研究事例も取り上げ,ディープラーニングを活用した大腸がんおよび前がん病変発見のためのリアルタイム内視鏡診断サポートシステムの開発についても解説した。
休憩を挟んだ後,海外におけるAI研究の動向として,岐阜大学工学部電気電子・情報工学科教授の藤田広志氏が「放射線医学領域におけるAI応用(RSNA2017の報告)」をテーマに講演した。藤田氏は,コンピュータ支援検出(CADe),コンピュータ支援診断(CADx)といったCADの技術開発の歩みを整理し,畳み込みニューラルネットワークによる臓器の自動セグメンテーションなどを紹介した。さらに,RSNA 2017におけるAI関連の発表やTechnical Exhibits会場に設けられたMachine Learning Showcaseの出展企業について詳述した。
すべての講演を終えた後,JIRA副会長で中小企業・IT産業振興委員会委員長の佐藤公悦氏が挨拶し,盛況のうちに閉会した。
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●問い合わせ先
一般社団法人日本画像医療システム工業会
TEL 03-3816-3450
http://www.jira-net.or.jp