日本医療機器産業連合会(医機連)が第6回メディアセミナーを開催
オールジャパンでのAI医療機器開発の現状などを報告
2018-6-4
渡部眞也 氏
(医機連会長)
一般社団法人日本医療機器産業連合会(医機連)は2018年6月1日(金),飯田橋スクエアビル(東京都新宿区)において,第6回医機連メディアセミナーを開催した。本セミナーは,日本の医療産業界としてのさまざまな取り組みを紹介する機会として,プレス向けに開催されている。今回は,医機連会長の渡部眞也氏と国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)産学連携部部長の高見牧人氏による2つのセッションが設けられ,オールジャパンでの人工知能(AI)の技術を採用した医療機器開発の現状や,設立から3年が経過したAMEDの取り組みなどが紹介された。
はじめに,渡部氏が,「革新的な医療機器の創出に向けて」と題して講演した。現在,わが国では,医療研究開発のスピードの加速をめざして2015年に設立されたAMEDを中心に,産業界も連携してオールジャパンでの医療機器開発プロジェクトが複数展開されている。渡部氏は,なかでも特に期待されるテーマとしてAI医療機器の創生を挙げ,2018年度には数社からAI医療機器の薬機法申請が予定されているとした。一方,米国では産業界も利用可能なAI学習用の公的公開データが潤沢にあり,2017年には米国食品医薬品局(FDA)がAIを用いた診断支援プログラム(CADx)を医療機器として初めて承認したのに対し,わが国では学会を中心にいくつかの領域でデータ構築が進んでいるものの,現状では研究向けの利用にとどまることを課題として挙げた。また,今後期待されるイノベーションの潮流としては,機器などの販売からソリューション・システムへと提供価値を拡大してくことが一つのポイントであると述べた。
次に,高見氏が,「AI解析,ビッグデータプラットフォームの構築に向けて〜医療ICT関連のAMEDの取り組み〜」と題して講演した。AMED設立の経緯や進行中の研究開発プロジェクトについて紹介したほか,海外の医療ICT関連の動向として,現在,ビッグデータ分析による医療技術の高度化など「医療×デジタル」の動きや,医療機器関連企業とICT企業のパートナリングが活発化していることを紹介した。その上で,AMEDにおける医療ICT関連の代表的な取り組み事例として,(1) 画像データベースの構築・AI開発,(2) 手術室のIoT化,(3) 医師の暗黙知のデジタル化,(4) PHRプラットフォームの構築,(5) ゲノム情報のデータベース構築の5つについて事業の具体的な内容や目的などを述べ,AIやビッグデータを活用することで各事業において実現可能な成果を展望した。高見氏は最後に,患者のためになり,かつ競争力を有する医療機器開発をオールジャパンで行っていくために,産業界とのいっそうの連携強化を図っていくと述べた。
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日本医療機器産業連合会
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