富士フイルムメディカルが「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2018 エクセレントカンファレンス」を開催
2018-7-18
東京会場の様子
富士フイルムメディカル(株)は2018年7月16日(月・祝),デジタルマンモグラフィのカンファレンスイベント「FUJIFILM MEDICAL SEMINAR 2018 エクセレントカンファレンス」を開催した。本イベントは,東京〔TKPガーデンシティPREMIUM京橋(東京都中央区)〕と大阪〔ブリーゼプラザ小ホール(大阪市北区)〕の2か所のメイン会場と,全国のサテライト会場・聴講会場をテレビ中継システムでつないで同時進行でカンファレンスを行うもので,昨2017年に続き2回目の開催となる。今回はメイン会場が2会場,メイン会場と映像・音声による双方向通信が可能なサテライト会場が10会場(札幌,仙台,新潟,横浜,名古屋,岡山,広島,福岡,宮崎,沖縄),映像・音声での聴講が可能な聴講会場が8会場(旭川,沼津,静岡,浜松,高松,松山,熊本,鹿児島)の計20会場が設けられ,650名を超える医師,診療放射線技師が集まった。
冒頭,取締役常務執行役員営業本部部長の川原芳博氏が開会の挨拶に立った。川原氏は,始めに西日本豪雨災害の犠牲者への哀悼の意を表し,被災者へのお見舞いを述べた上で,富士フイルムメディカルが現地に災害対策本部を設けて,被災した医療機関の再建支援を行っていることを報告した。そして,「画像のデジタル化,フィルムレス化が進行する中,医療の質の向上に貢献する新しいカンファレンスの方法として,昨年,第1回のエクセレントカンファレンスを全国11会場をつないで開催し,好評をいただいた。今回,20会場へと拡大して開催するカンファレンスが,先生方の明日からの診療に役立つことを祈念する」と挨拶した。
|
エクセレントカンファレンスは,全国の会場で同時に進行することに加え,全員参加型を特徴とするイベントである。登録した参加者は,事前に配布された15症例の画像を読影した上で当日のカンファレンスに臨み,自身の読影結果と答え合わせをしながら症例解説を聴講することができる。今回は,メイン会場では参加者にiPadが配布され,実際に症例画像を手元で操作・参照しながら聴講する方法がとられた。
カンファレンスの進行は大阪会場にいる大貫幸二氏(岩手県立中央病院乳腺・内分泌外科長)が務めた。また,東京会場では,画像診断オブザーバーとして遠藤登喜子氏(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院放射線科診療部長・乳腺科診療医長)と,病理診断オブザーバーとして森谷鈴子氏(滋賀医科大学附属病院病理診断科副科長)が登壇した。講師として,東京会場から植野 映氏(つくば国際ブレストクリニック院長),大阪会場から結縁幸子氏(社会医療法人神鋼記念会神鋼記念病院乳腺科医長),藤光律子氏(糸島医師会病院放射線診断部長)の3名が登壇し,5症例ずつ解説を行った。カンファレンスでは2Dマンモグラフィだけではなく,植野氏からは超音波画像(エラストグラフィ),結縁氏からは造影マンモグラフィ,藤光氏からはトモシンセシスなど最新機能の紹介もあり,事前読影(乳房の構成とカテゴリー)の集計結果の紹介,他モダリティ画像や病理結果も含めた解説が行われた。
近年,マンモグラフィ検査においては高濃度乳房(dense breast)問題が注目され,2017年3月には日本乳癌検診学会,日本乳癌学会,日本乳がん検診精度管理中央機構(精中機構)の3団体名で「対策型乳がん検診における『高濃度乳房』問題の対応に関する提言」が公表された。提言では,被検者への乳房の構成の通知については,体制整備や対象者への対応が明示できるなど環境を整えた上で実施されることが望ましいとされており,将来的な通知実施に向けて,精中機構では乳房の構成の精度管理の検討を進めている。今回のカンファレンスの事前読影では乳房の構成についても回答を求めたが,乳腺散在と不均一高濃度で分かれる症例も多く,判断が難しいことがうかがえた。これに対して精中機構では,大胸筋の濃度よりも高濃度な乳腺の部分が半分以上となる場合は不均一高濃度とするといった基準案の検討を進めていることが紹介された。
また,adenosisの中にDCIS(非浸潤性乳管癌)が進展している症例の病理解説をした森谷氏は,CNB(針生検)では浸潤性乳管癌と誤診される可能性があるため,病理医が筋上皮の免疫染色を行って正確に診断するために,画像情報でDCISメインであると判断できる場合は,その情報を病理医に伝えてほしいと強調した。
カンファレンスは,各症例の解説が終わるごとに,メイン会場と双方向通信が可能なサテライト会場から質疑やコメントを募って進められた。「トモシンセシス画像で濃度を見る」ことについての質問に対して遠藤氏は,「トモシンセシスはごく薄い断面ではなく,断面の上下の情報も含まれている。そのため,上下に隣接する脂肪の情報が重なってくることと,腫瘤中の脂肪の有無の両方を考える必要がある。辺縁に粗造が認められる場合には,腫瘤の硬い部分の辺縁なのか,軟らかいために薄くなり,そこに脂肪が重なったための粗造なのかを,大きさや全体的な状況,上下の状況も併せて,総合的に判断することがトモシンセシスには必要だろう」とコメントした。
|
|
|
|
|
|
閉会にあたりオブザーバーの遠藤氏は,「エクセレントカンファレンスは,貴重な症例を全国の先生方と共有することによって,概念や診断法をグレードアップできる貴重な機会。診断を勉強したり共有する機会は十分とは言えないのが実情で,このようなカンファレンスで画像と病理を重ねるようにして学ぶことを通して,確実な診断ができるようになると考えている」と挨拶し,関係者・参加者の協力と熱意に感謝と敬意を表し,カンファレンスを締めくくった。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル(株)
営業本部マーケティング部
TEL 03-6419-8033
http://fms.fujifilm.co.jp/