CT技術のトレンドを学ぶ第22回CTサミットが開催される
2018-7-19
595人が参加した第22回CTサミット
第22回CTサミット(主催:CTサミット,協力:インナービジョン)が2018年7月14日(土),北九州国際会議場(福岡県北九州市)を会場に開催された。小川正人氏(産業医科大学若松病院放射線部)が当番世話人を務め,テーマには「Trends of CT technology〜未来へ繋ぐCT技術〜」が掲げられた。CTサミットは,1997年に第1回全国X線CT技術サミットが開催され,以降,CTにかかわる診療放射線技師や研究者,技術者を中心に,CT技術に関する発表や議論を通じて情報交換する場として回を重ねてきた。今回は2011年の第15回以来の九州での開催となり,事前登録者は約450人に上った。冒頭,挨拶に立った小川氏は,まず6月28日〜7月8日にかけて発生した「平成30年7月豪雨」の被災者にお見舞いを述べるとともに,犠牲者への哀悼の意を表した。そして,CT技術の進歩について触れた上で,第22回CTサミットでは,その技術の現状を一から学ぶ機会となるよう,プログラムを構成したとテーマについて説明した。
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そのプログラムは,午前中に教育講演が3演題用意され,午後には基調講演,特別講演,シンポジウムが設けられた。また,午前と午後のプログラムの間には,ランチョンセミナーと機器展示のショートプレゼンテーションも行われた。
最初の教育講演1では,村上克彦氏(福島県立医科大学病院放射線部)が座長を務め,後藤光範氏(宮城県立がんセンター診療放射線技術部)が「未来へ繋ぐCTの画像評価技術」をテーマに掲げて登壇した。後藤氏は,物理評価について,CT measureといったソフトウエアにより簡便に行えるようになった一方,逐次近似再構成,dual energy CTなどの非線形挙動を示す画像では,視覚評価の結果と一致しないという問題を指摘。その上で,非線形挙動の画像に対するタスクベース評価のメリットや課題について解説した。また,後藤氏は,非線形挙動の画像におけるSNRの評価の問題点なども説明した。
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続いて行われた教育講演2では,梁川範幸氏(つくば国際大学医療保健学部)が座長を務めた。小山修司氏(名古屋大学脳とこころの研究センター)が登壇し,「未来へ繋ぐCTの線量評価技術」をテーマに講演した。小山氏は,まず空中線量測定を取り上げ,IEC 60601-2-44 Ed.3.0改正1.2について説明した上で,CTチェンバなどの測定における問題点などを指摘した。また,小山氏は,ファントム内での実測にも言及し,課題や今後の研究開発の方向性を整理した。さらに,線量のシミュレーションに関して,シミュレーションコードの検証の重要性などを解説した。
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次いで,教育講演3が行われた。座長を石風呂 実氏(広島大学病院診療支援部画像診断部門)が務め,原田耕平氏(札幌医科大学附属病院放射線部)が登壇。「未来へ繋ぐ造影CT技術」と題して,腹部造影CTと画像再構成について講演した。原田氏は術前のCT検査は,安全で正確な手技を支援する解剖情報を提供するものであり,被検者の人生を左右し,手術の責任の一端を担うと述べた。また,術前シミュレーションは,術後の肝不全や合併症を予防する役割があるとし,腹部造影CTのプロトコールを説明。さらに,手術支援のための3D画像の作成のポイントを,症例画像を交えながら解説した。
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教育講演終了後には,ランチョンセミナーが行われた。宮下宗治氏(耳鼻咽喉科麻生病院診療支援部)と近藤雅敏氏(九州大学病院医療技術部放射線部門)が座長を務め,GEヘルスケア・ジャパン(株)とキヤノンメディカルシステムズ(株)と(株)フィリップス・ジャパンの3社が自社のCT技術について解説した。さらにこの後には,機器展示が行われているイベントホールにおいて,大沢一彰氏(済生会中和病院放射線科)と鷹尾祐一氏(福岡徳洲会病院放射線科)を座長に,出展企業7社のショートプレゼンテーションの時間が設けられた。
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続いて,休憩を挟み福井利佳氏(東京女子医科大学東医療センター放射線科)による基調講演「進化する画像後処理技術」が行われた。座長は,辻岡勝美氏(藤田保健衛生大学医療科学部)が務めた。福井氏は,出力後のCT画像に対して逐次近似再構成を行うMedic Vision社の“SafeCT”〔長瀬産業(株)販売〕の使用経験を報告した。SafeCTは,非線形三次元IRアルゴリズムを用いて反復処理を行い,CT画像からノイズと信号を切り分ける。このため,4スライス以上のCTならば機種を問わずにノイズ低減が可能である。福井氏は,FBP法やIR法との比較を交えて物理評価と臨床応用の結果を示し,IR法との併用が可能なことなどのメリットを示した。
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次に,五島 聡氏(岐阜大学医学部附属病院放射線部)の特別講演へと進んだ。講演のテーマは,「造影CTにおける造影剤減量のピットホール」。平野 透氏(札幌医科大学病院放射線部)が座長を務めた。五島氏は,CT画像のコントラストや画質に影響を与える要素として,CT,造影剤,被検者の3点を挙げてそのポイントを説明した後,肝臓の造影CTにおける適切な画像について,門脈相のCT値が50HU以上上昇していることを条件として上げた。さらに,管電圧120kVPでの造影CT撮影における造影剤濃度・量,注入速度,撮影タイミングについて解説を行い,造影剤量は600mgl/kg程度必要であると述べた。また,近年のハードウエアの進歩により,120kVpよりも高いコントラストを得られる低電圧撮影が可能となったとし,80kVPでは300mgl/kg程度の造影剤量で適切な画像が得られると説明。さらに,dual energy CTの仮想単色X線画像や物質弁別画像により,造影剤量の低減が可能になったことなども言及した。
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この後,第22回CTサミットの最後のセッションとなるシンポジウム「未来へ繋ぐDual Energy CT技術」が行われた。このシンポジウムでは,船間芳憲氏(熊本大学大学院生命科学研究部)と小川氏が座長を務め,中国・九州地方の5施設でそれぞれ導入されている5つのdual energy CT技術について,技術的特徴の解説が行われたほか,GAMMEX社の「Multi-Energy CT Phantom」〔東洋メディック(株)販売〕を用いた物理評価や,各施設での使用経験が報告された。“Fast KV Switching”(GEヘルスケア・ジャパン)については,黒木英郁氏(久留米大学病院画像診断センター)が報告。また,“Dual Source”〔シーメンスヘルスケア(株)〕の使用経験などを久冨庄平氏(山口大学医学部附属病院放射線部)が発表し,同じくシーメンスヘルスケアの“Split Filter”について,南出哲也氏(九州がんセンター放射線技術部門)が解説した。また,本田恵一氏(熊本中央病院放射線部)が“Spectral Detector”(フィリップス・ジャパン),城生朋顕氏(大分大学医学部附属病院医療技術部放射線部門)が“Dual Spin”(キヤノンメディカルシステムズ)の使用経験を説明した。
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すべてのセッション終了後には,一般演題(ポスター発表)の表彰式が行われた。区分A(国際発表)では,坂部大介氏(熊本大学医学部附属病院医療技術部)らの“Four-dimensional image tracking method for computed tomography derived fractional flow reserve:Influence of different cardiac phase durations on the computed tomography derived fractional flow reserve analysis”がMagna Cum Laudeを受賞した。また,区分B(国内発表)のMagna Cum Laudeは,森 一生氏(東北大学)らの「逐次近似再構成によるCT画像のSSP:低CNR条件での三種のIRの挙動実態」が受賞した。
この後,代表世話人で,次回当番世話人を務める辻岡氏が挨拶し,今回は595人が参加するなど,用意したランチョンセミナーの弁当が不足するほど盛況であったと講評を述べ,小川氏ほか実行委員への感謝の言葉を伝えた。次回第23回CTサミットは,2019年7月13日(土)に刈谷市総合文化センターアイリス(愛知県)で開催される予定である。
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●共催企業(順不同)
・セッション共催企業
第一三共株式会社,長瀬産業株式会社
・機器展示企業
アクロバイオ株式会社,アミン株式会社/ザイオソフト株式会社,株式会社AZE,株式会社アゼモトメディカル,キヤノンメディカルシステムズ株式会社,GEヘルスケア・ジャパン株式会社,株式会社日立製作所,株式会社インテグラル,メディキット株式会社,長瀬産業株式会社,株式会社根本杏林堂,株式会社フィリップス・ジャパン,シーメンスヘルスケア株式会社,東洋メディック株式会社,横河医療ソリューションズ株式会社
・広告掲載企業一覧
アミン株式会社/ザイオソフト株式会社,キヤノンメディカルシステムズ株式会社,株式会社日立製作所,株式会社根本杏林堂,東洋メディック株式会社,バイエル薬品株式会社,第一三共株式会社,エーザイ株式会社,富士製薬工業株式会社,コニカミノルタジャパン株式会社
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●一般発表(ポスター)表彰
A(国際発表)
Magna Cum Laude
“Four-dimensional image tracking method for computed tomography derived fractional flow reserve:Influence of different cardiac phase durations on the computed tomography derived fractional flow reserve analysis”
坂部大介氏(熊本大学医学部附属病院)ほか
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Cum Laude
Low Radiation Dose and Low Contrast Medium Dose in Triple-rule-out CT with 256-detector CT:Techniques and clinical applications
佐藤英幸 氏(江戸川病院)ほか
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Certificate of Merit
The evaluation of the brain surface lesions using 3DCT-BSI(brain surface image)
石風呂 実 氏(広島大学病院)ほか
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B(国内発表)
Magna Cum Laude
逐次近似再構成によるCT画像のSSP:低CNR条件での三種のIRの挙動実態
森 一生 氏(東北大学)ほか
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Cum Laude
cCTAにおける新たな造影法の検討〜失敗しない検査を目指して〜
坂本和翔 氏(福岡山王病院)
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Certificate of Merit
Time Enhancement Curveを用いたType II Endoleakの瘤径増大予測に関する検討
三井宏太 氏(佐賀医療センター好生館)ほか
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●問い合わせ先
第22回CTサミット
http://ctsummit.jp
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