フィリップスが心肺停止からの社会復帰率世界一の実現をめざす「Heart safe city構想」を発表
2018-9-20
AEDの使用を促進し,社会復帰率の向上をめざす
(株)フィリップス・ジャパンは2018年9月18日(火),東京コンファレンスセンター・品川(東京都港区)にて記者発表会を行い,心肺停止からの社会復帰率“世界一”の実現をめざす「Heart safe city構想」の実現に向けた,新たな取り組みを開始することを発表した。このキャンペーンは,ヘルスケアにおいても日本が世界で最も安全で安心できる国となることをめざして,年間で約7万5000人が死亡している心原性心肺機能停止(突然死)にフォーカスし,生存率だけでなく,社会復帰率の向上を図る取り組み。心肺停止時には,迅速にAED(自動体外式除細動器)による電気ショックで除細動を行う必要があるが,約60万台のAEDがあるとされる日本国内において,心肺停止時のAED使用率は4.7%にとどまっている。AEDの使用率を上げることが,生存率,社会復帰率の向上に直結することから,フィリップスでは,AED使用に当たっての課題を解決するため,1)AEDの適正配置,2)継続可能な教育(ファーストレスポンダーの育成),3)行政・自治体との協働による体制づくりを,ヘルステック・エコシステムのパートナーである自治体や医療機関,企業と連携しながら進めていく。
記者発表会では,代表取締役社長の堤 浩幸氏がHeart safe city構想の概要を説明するとともに,国士舘大学救急システム研究科研究科長の田中秀治氏が「心肺蘇生に関する日本の実態について」と題して,救命救急の重要性について解説した。
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堤氏は,「心肺停止は,電気ショックが1分遅れるごとに救命率が10%下がるため,時間との勝負である。心肺停止からの社会復帰率は,AED使用が浸透しているシアトルやコペンハーゲンは60〜70%であるのに対し,日本は10%以下と低い。この背景には,初動対応の遅れやAED実施率の低さ,救急需要の増加があり,これをどのようにとらえ,どう調整していくかを,パートナーの自治体や企業と考えていく」とキャンペーンのコンセプトを説明した。具体的な取り組みとしては,自治体とのコラボレーションにより,新しい救急ソリューションの開発やAED講習の継続支援,AEDの適正配置の促進などを進めていくとし,「救命の連鎖」「自助×共助×公助」の最適化のための継続サポートを行っていくと述べた。
田中氏は始めに,日本では動脈硬化や心臓病,脳卒中により突然死を起こす確率が徐々に増えていると述べ,1日あたり約200人に上る心肺停止の原因の70〜80%が,心室細動などの致死性不整脈であると説明した。心肺停止の発生場所は75%が自宅であることから,公共の場所へのAED配備だけでなく,家庭内での対応も必要であることを指摘した上で,発見から5分以内にAEDを使用できる,一般市民による除細動“PAD(Public Access Defibrillation)”の重要性を強調した。救急要請の増加で救急車の現場到着までの平均時間が延長していることもあり,市民によるAEDを使った心肺蘇生が生存率を上昇させるカギであるとし,AEDの設置場所を示すサインボードや設置場所を検索できるアプリケーションの必要性,ファーストレスポンダーの育成や多くの市民の協力が必要であることを訴えた。
また田中氏は,一般市民が応急手当を躊躇する理由の一つに,法的責任への不安があることについて,「日本蘇生協議会のガイドライン2015では,市民がAEDを使って救急蘇生を行うことは,刑法上では緊急避難,民法上では緊急事務管理が成立し,基本的に免責されるとの解釈が示されている」と説明し,AED使用に対する正しい知識の浸透も重要であると指摘した。
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