オリンパスがAI搭載の内視鏡画像診断支援ソフトウエアを発表
2019-2-26
EndoBRAINとEndocyto,
EVIS LUSERA ELITEを組み合わせたシステム
オリンパス(株)は,人工知能(AI)搭載の内視鏡画像診断支援ソフトウエア「EndoBRAIN」の国内販売を3月8日(金)から開始する。価格は450万円を予定しており,最大520倍の光学拡大機能を有する大腸用超拡大内視鏡「Endocyto」と内視鏡ビデオスコープシステム「EVIS LUSERA ELITE」と組み合わせて使用する。検査中,Endocytoが映し出す拡大内視鏡画像からリアルタイムに腫瘍性・非腫瘍性ポリープを自動的に判別し,腫瘍・非腫瘍の確率を数値で表示して医師の診断を支援する。また,NBI観察と染色観察の2種類の観察モードに対応している。
今回発表されたEndoBRAINは,製造販売承認を受けた内視鏡関連のAI搭載製品としては,国内初のソフトウエアとなる。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の研究事業に採択され,同機構の支援を受けて,昭和大学横浜市北部病院,名古屋大学大学院,サイバネットシステム(株)が研究開発を行い,サイバネットシステムが2018年12月6日に薬機法の製造販売承認を取得した。機械学習の手法には,サポート・ベクタ・マシン(SVM)を用いており,製造販売承認に当たって6万9142件の学習データを使用している。なお,その後もデータ数を追加し,2月21日までにデータ件数は9万6670件に増加。現在,独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に一部変更申請を行い,審査中となっている。AIの精度については,国内多施設の後ろ向き性能評価研究において,感度が96.9%,正診率98%という好成績を収めた。
オリンパスでは,EndoBRAIN販売台数について,今後3年間で約260台をめざすとしている。また,周辺機器を含めた売り上げ規模として,約30億円を見込んでいる。
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2月25日(月)には,ベルサール八重洲(東京都中央区)において製品発表会が行われた。製品発表会には,AMED研究事業の研究代表者である工藤進英氏(昭和大学横浜市北部病院消化器センター長),画像認識技術の開発を行った森 健策氏(名古屋大学大学院情報学研究科知能システム学専攻教授),後ろ向き・前向き性能評価試験を行った森 悠一氏(昭和大学横浜市北部病院消化器センター講師)が出席。工藤氏からは,大腸内視鏡は大腸がんの検出に有用である一方,腫瘍性・非腫瘍性ポリープの鑑別が非専門医には困難であることから,AI活用の研究を行ったという開発経緯が報告された。また,森 健策氏は,機械学習を用いた超拡大内視鏡の画像認識技術について説明した。さらに,森 悠一氏は,後ろ向き性能評価試験の結果を報告し,正診率についてAIがNBI観察96%,染色観察98%で,非専門医のNBI観察70%,染色観察69%と比較し有意に優れた結果を示したと述べた。新製品発表会には,このほか,オリンパスの繁森孝夫氏(医療国内マーケティング本部内視鏡営業企画部),サイバネットシステムの安江令子氏(代表取締役副社長執行役員)が出席した。
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●問い合わせ先
オリンパス(株)
https://www.olympus.co.jp/