DOC TOKYOが開業医の働き方改革をテーマにした「CPAカンファレンス2019」を開催

2019-6-24

ヘルスケアIT


基調講演2演題,特別講演6演題,11社のプレゼンテーションセミナーが行われたセミナー会場

基調講演2演題,特別講演6演題,
11社のプレゼンテーションセミナーが
行われたセミナー会場

一般社団法人DOC TOKYOは,2019年6月16日(日),日本橋ライフサイエンスハブ(東京都中央区)において,「CPAカンファレンス2019」を開催した。DOC TOKYOは診療所経営を支援するための無料ラウンジを運営している。今回は,「クリニック業務のオートメーション化が院長を救う」をテーマに,開業医の働き方改革や,患者待ち時間の短縮・解消,スタッフの省力化につながるICTの活用に関する講演と企業展示が行われた。なお,CPAはclinic process automationを意味する。開会に先立ち挨拶したDOC TOKYO代表理事の高山豊明氏は,医師は医師である前に一人の人間であるが,患者が増加する中,危機的な状況にあると指摘。その上で,オートメーション化によって,医師が診療に集中できる環境づくりをめざして,今回のカンファレンスを企画したと述べた。

DOC TOKYO代表理事:高山豊明 氏

DOC TOKYO代表理事:
高山豊明 氏

   

 

講演は,基調講演が2演題,特別講演が6演題用意されたほか,11社が出展社プレゼンテーションセミナーを行った。
最初に基調講演(1)として,増原知宏氏(総務省情報流通行政局情報流通高度化推進室課長補佐)が登壇。「総務省の実証事業から見る,医療ICT化の有効性と業務効率化の可能性」をテーマに講演した。総務省では,医療・介護・健康分野のICT利活用に関する施策について,ネットワーク化による情報の共有・活用のための実証事業と,先進的なICT利活用の研究開発に向けて国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の補助事業を展開している。2019年度には,「医療・介護・健康データ利活用基盤高度化事業」に8.8億円の予算を確保して,ネットワーク化や先進的なICT利活用の研究を推進していく。これらを説明した上で,増原氏は,2018年度に行った「医療等分野におけるネットワーク基盤利活用モデルに関する調査研究」の4事業,(1)医療・介護連携(青森県八戸地域,山形県鶴岡地域)(2)レセプトデータを活用した保険者・医療機関連携(香川県高松地域)(3)調剤情報を活用した薬局連携(山形県酒田地域)(4)EHR-PHR連携(沖縄地域)について,概要と評価を報告した。また,増原氏は,同じく2018年度に取り組んだ「オンライン診療の普及促進に向けたモデル構築にかかる調査研究」も紹介した。この調査研究では,(1)都市型実証(福岡県福岡市)(2)DtoPwithN(Doctor to Patient with Nurse)モデル型実証(茨城県つくば市)(3)職域連携型実証(愛知県名古屋市)(4)施設型実証(神奈川県藤沢市)の4事業が行われており,増原氏はその成果を報告した。

増原知宏 氏(総務省)

増原知宏 氏
(総務省)

   

 

基調講演2では,足立伸也氏(公益財団法人日本生産性本部グローバルマネジメントセンター経営開発ユニットプロデューサー)が,「クリニックにおける生産性向上の定義〜経営力向上の具体的アプローチ〜」をテーマに講演した。足立氏は,「生産性」とは「産出量(アウトプット)/投入量(インプット)」であり,労働生産性は物的労働生産性と付加価値労働生産性に大別されると説明した。そして,日本の生産性は先進国の中でも低く,特にサービス業は低水準であると,各種調査結果を示して解説した。なかでも,医療分野は,サービスの質は高いものの生産性が低いと指摘。患者は医師などのスタッフからサービスを受けることを望んでおり,ICT導入だけでは,労働生産性向上の十分な成果を得られないと述べた。その上で,足立氏は,医療機関は,「付加価値(額)/労働投入量」で表される付加価値労働生産性の向上に取り組むべきだとまとめた。

足立伸也 氏(日本生産性本部)

足立伸也 氏
(日本生産性本部)

   

 

このほか,特別講演(1)では,大西大輔氏〔MICTコンサルティング(株)〕が,「クリニック業務のオートメーション化が院長を救う」をテーマに講演した。大西氏は,自動精算機や問診システムによる省力化など,受付業務のオートメーション化について解説したほか,患者を集めるためのホームページ作成のポイント,オンライン診療・服薬指導の動向,医師をサポートする医療クラークの活用について説明した。さらに生産性向上のポイントとして,(1)医師をはじめとした特定のヒトに業務を集中させないようにすること,(2)ICTを活用して業務の効率化・生産性向上を図ること,(3)現場の意見を取り入れやすい環境をつくること,の3点を挙げて講演を締めくくった。なお,大西氏は,企業展示のブースツアーの案内役も務めた。

大西大輔 氏(MICTコンサルティング)

大西大輔 氏
(MICTコンサルティング)

   

 

その企業展示には,次の17社が出展した。

・IQVIAサービシーズ ジャパン(株)
・(株)アイソル
・(株)アルメックス
・ウェルス・コンサルティング(株)
・(株)エクセル・クリエイツ
・(株)シェアメディカル
・(株)GENOVA
・セコム医療システム(株)
・(株)セントラル科学貿易
・ソニー生命保険(株)
・大新技研(株)
・中央ビジコム(株)
・(株)寺岡精工
・(株)東計電算
・(株)HealtheeOne
・(株)メディアコンテンツファクトリー
・ライフサイエンス コンピューティング (株)

当日は開業医など約150名が参加。企業展示には企業の説明員の話に熱心に耳を傾ける参加者の姿も見られ,改めて開業医の働き方改革,労働生産性向上への関心の高さがうかがえたカンファレンスであった。

自動精算機や問診システムを提供する企業など17社が出展

自動精算機や問診システムを提供する企業など
17社が出展

出展社プレゼンテーションセミナー(エクセル・クリエイツ)

出展社プレゼンテーションセミナー
(エクセル・クリエイツ)

 

●問い合わせ先
株式会社エグゼメディカル
TEL 03-3524-7212
https://doctokyo.jp/cpa2019/

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