キヤノンメディカルシステムズ,スポーツ医療の最前線を紹介する「Global Sports Medicine Forum」を開催
2019-10-30
スポーツ医療の最前線が紹介された
キヤノンメディカルシステムズは2019年10月26日(土),虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で「Global Sports Medicine Forum」を開催した。FCバルセロナ(スペイン)の「Barca Innovation Hub」に所属するスポーツドクターらを招聘し,スポーツ医療・整形外科領域の最前線を紹介するもの。Barca Innovation Hubは,サッカーやバスケットボールなど5つのプロチームや11のアマチュアチームに所属する2400人以上のアスリートのケアを行っている。15名所属するスポーツドクターのうち外科医は1名のみで,不要な手術を避け,イメージングに基づいた確実な診断や治療を重視している。また,日常のケアと同時に,新たな治療法の検証など,多数の研究を行っている。フォーラムでは,Educational SessionsやLive Demonstrationsなどで最新の治療や知見が紹介されたほか,終了後には現在開催中のラグビーワールドカップ2019のライブビューイング(準決勝イングランド対ニュージーランド戦)が行われた。なお,FCバルセロナとキヤノンメディカルシステムズは2015年から医用機器を対象とした協賛契約を結び,公式パートナーとなっている。
午前中に行われたEducational Sessionsでは,イントロダクションとして,早稲田大学スポーツ科学部の熊井 司氏が「Introduction-epidemiology and histopathology of tendinopathy in sports」と題して講演を行った。熊井氏は,今回のフォーラムの趣旨を紹介したほか,腱障害の組織病理学などについて解説し,付着部の組織構造に対する解剖学的な理解が重要であるとした。
続いて,Barca Innovation Hubのメディカルディレクターを務めるGil Rodas氏が「Overview of muscle injuries: from genomics to “return to play”」と題して講演を行った。Rodas氏は,アスリートの負傷について,筋や腱の損傷が多く,特にプロサッカーでは試合日程の密度が高くなり,今後も損傷の増加が推測されると述べた。また,「muscle injury」分類の統一の必要性を指摘したほか,遺伝子多型に基づいた治療反応性の違いや障害のリスク予測などに関する研究について解説した。さらに,スポーツ医療の現場では,「return to play」の判断が最も重要であるとし,Barca Innovation Hubでは,チームドクターの適切な判断の基盤となる「Muscle Injury Guide」を作成,公開していることを紹介した。Rodas氏は,研究の結果,遺伝子多型や代謝マーカーなど,アスリートの体に関するより多くの情報が得られるようになったとした上で,プロスポーツの世界では,ケアと研究を同時に行うことが重要だと述べた。
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続いて,ワトフォードFC(英国)のコンサルタントなどを務めるRamon Balius氏が,最新の研究を交えて筋損傷の定義や解剖について解説し,適切な治療やreturn to playにつなげるには正確な診断が必要であると述べた。4番目に登壇した,FCバルセロナメディカルセンターの放射線科医であるSandra Mecho氏は,「Emerging MRI techniques for the assessment of muscle in sports」と題して講演し,同センターで行う日常のケアについて紹介したほか,“Muscular T2 Mapping”や“MR/US fusion”,人工知能(AI)を用いたSNR向上再構成技術である“Deep Learning Reconstruction(DLR)”など,診断のための最新技術を紹介した。
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最後に,Gil Rodas氏が再度登壇し,「Latest treatment for tendinopathy」と題して講演した。Rodas氏は,運動療法などのノンレスポンダーに対する多血小板血漿(PRP)などの生物学的治療の必要性について言及,研究の重要性を改めて強調し,セッションを締めくくった。
午後の部では,国内外の専門家によるLive Demonstrationsが行われたほか,会場内では診断装置などの紹介・展示が行われた。
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●問い合わせ先
キヤノンメディカルシステムズ(株)
広報室
TEL 0287-26-5100
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