フィリップス・ジャパンが2020年度の事業戦略を発表
—— value based careにビジネスモデルを転換し,ヘルスケア統合システムビジネスを基盤に事業ドメインを拡大

2019-11-28

フィリップス・ジャパン


完成したヘルスケアモビリティの車両前でのフォトセッション

完成したヘルスケアモビリティの
車両前でのフォトセッション

(株)フィリップス・ジャパンは2019年11月26日(火),帝国ホテル(東京都千代田区)にて2020年度の事業戦略発表会を行った。発表会は2部構成で行われ,第一部では代表取締役社長の堤 浩幸氏が2019年の事業の振り返りと2020年の事業戦略についてプレゼンテーションを行い,第二部では「ヘルスケアモビリティ分野におけるパートナーシップ」と題して,長野県伊那市市長の白鳥 孝氏とMONET Technologies(株)代表取締役社長兼CEOの宮川潤一氏が登壇し,2019年12月に開始するヘルスケアモビリティの実証事業への期待や展望について語った。

フィリップスは,「2030年までに年間30億人の人々の生活を向上させる」をビジョンに掲げ,一連のヘルスケアプロセスに対してヘルステックで一気通貫にソリューションを提供し,健康なコミュニティの創造をめざしている。2019年には,自治体や大学,企業とのパートナーシップを通じたエコシステムの構築や日本発イノベーションの開発,戦略的投資を戦略の要とし事業を展開してきた。第一部で堤氏は,2019年の事業戦略とその成果を振り返り,エコシステム構築においては,パートナーが昨2018年の60から104(既存の医療機器などのパートナー52を除く)まで増加したことを紹介。また,国立循環器病研究センターとのAIモデル開発や,イノベーション拠点として仙台市に開設したCo-Creation Centerの状況,ケアストリームのヘルスケアIT部門の買収などの成果を報告した。
そして2020年の戦略について,ヘルスケアの質とコストの課題が顕在化していることを踏まえ,ビジネスモデルをこれまでの数量ベースから,患者中心の価値ベースのヘルスケア(value based care)に抜本的に転換する必要があることを強調した。めざすべき価値として,「患者アウトカムの向上」「患者体験の向上」「医療従事者の満足度向上」「ケアコスト低減」の4つを挙げ,それらを連鎖させるヘルスケアソリューションの提供に取り組むと述べた。そのためにフィリップスは,2020年は2019年の戦略を引き続き深化・加速していくことに加え,シームレス・インターオペラビリティ(相互運用性)を実現する基盤(ヘルスケア統合システム)ビジネスを展開し,それをベースとした事業ドメインを積極的に拡大していく。堤氏は具体例として,スポーツ・ヘルス,ヘルスケアモビリティ,マザー&チャイルドケア,そして11月に発表したトータル・ホスピタル・マネジメント・ソリューション「Tasy」を紹介。Tasyについてはこの日,日本IBM(株)との協業合意も発表された。また,マザー&チャイルドケアについては,モバイル育児アプリ“マタニティ+”(マタニティ・プラス)を12月から,グローバルに展開している育児用品ブランド「AVENT」の日本展開を2020年夏から開始することを発表した。

value based careでめざす4つの価値

value based careでめざす4つの価値

 

フィリップスがめざすシームレス・インターオペラビリティ基盤

フィリップスがめざすシームレス・インターオペラビリティ基盤

 

基盤ビジネスをベースに事業ドメインを拡大

基盤ビジネスをベースに事業ドメインを拡大

 

第二部のヘルスケアモビリティ分野のパートナーシップでは,伊那市,MONETとの協業により完成したヘルスケアモビリティと,12月12日から開始する実証事業について発表が行われた。フィリップスのヘルスケアモビリティ構想は,クラウドとモビリティを活用して医療機関と患者宅をつなげることで,高齢化や医療資源の偏在,医療費の増大など,自治体が直面するヘルスケア領域の課題解決をめざすもので,2019年4月に参入を発表し,取り組みを進めてきた。ヘルスケアモビリティは,健康な生活・予防から診断・治療,ホームケアまで幅広く利用することを想定しており,各領域で事業化できる標準モデルの構築を進めていく。堤氏は,「市場創造・有効性の証明から,事業の確立・拡大,最終的にはモビリティ起点の“まちづくり”へと発展させていく」と,事業のねらいを説明した。
第一弾として行われる伊那市での実証事業では,2021年3月までの短期目標として,心電図モニタや血糖値測定器,AEDなどを搭載したヘルスケアモビリティの車両で,看護師が患者宅を訪問し,医師によるオンライン診療,クラウドでの情報共有,服薬指導を行うモデルの市場創造や有効性を証明する。中長期的には,各内容を高度化し,伊那市発のヘルスケアモビリティ事業を確立,国内外に展開することを目標としている。
第二部で登壇した白鳥氏は,伊那市ではスローガンである「伊那に生きる,ここに暮らし続ける」を実現するため,官民協働型コンソーシアムを組織し,自動運転バスやAIタクシーといったモビリティ(MaaS)の実証事業に取り組んでいることを紹介。そして,医療型MaaSとして行う今回の実証事業への期待を示した。続いて登壇した宮川氏は,全国約400の自治体へのヒアリングから,ヘルスケアモビリティへのニーズの高さが認められたとし,今回の取り組みが過疎地であっても地域で暮らし続けるためのMaaSとして社会にインパクトを与えるだろうと述べた。

堤 浩幸 氏(代表取締役社長)

堤 浩幸 氏
(代表取締役社長)

白鳥 孝 氏(伊那市市長)

白鳥 孝
(伊那市市長)

宮川潤一 氏(MONET Technologies)

宮川潤一 氏
(MONET Technologies)

 

●問い合わせ先
(株)フィリップス・ジャパン
ブランドコミュニケーション部
TEL 03-3740-5896
www.philips.co.jp/healthcare

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