富士通,大規模がん教育を実施
国内従業員7万人を対象に,講義とe-Learningで構成
2020-1-17
講義に先立って行われた記者説明会には,
多くの報道陣が出席した
富士通(株)は,健康的な職場環境づくりの一環として,同社の国内グループの従業員7万人を対象とした健康教育を開始する。初回となる2019年度は,就労者における発症者数が増加しているがんを取り上げ,「がん予防と,治療と仕事の両立支援」をテーマとした講義とe-Learningを2020年1月より実施する。がん専門医で,がん検診受診率向上とがんになっても働き続けられる社会の構築をめざす「がん対策企業推進アクション」のアドバイザリーボード議長を務める東京大学医学部附属病院放射線科の中川恵一氏が,講師や教材の監修者として協力する。
富士通では,企業内健康診断で胃がんや大腸がん,肺がん検診を必須項目とするほか,同社クリニックにCTやMRIを導入するなど,早期からがん対策に取り組んできた。また,休暇の取得やフレックス勤務,テレワーク勤務などを柔軟に適用し,仕事と治療の両立を支援する制度を整備しており,「がん対策推進企業アクション」にも推進パートナーとして参画している。しかし,従業員の年齢上昇や,60歳以上または女性の従業員増加などにより従業員のがん発生が増加しつつあることを受け,制度やサポート体制の拡充と同時に,健康リテラシーや健康意識の向上による従業員の行動変革を図るため,従業員に対するがん教育に取り組むことになった。
今回の大規模がん教育は,国内グループの従業員7万人を対象とし,がんや,仕事と治療の両立支援に関する正しい知識の習得と,生活習慣の改善やがん検診受診率向上を目的とする。中川氏による1時間の講義と,所要時間約30分間のe-Learningで構成される。講義のテーマは「知っておきたい『がん講座』 リスクを減らす行動学」で,2020年1月15日(水)に同社の本社会議室(東京都港区)で行われ,同時に,国内全事業所へもリアルタイムで映像が配信された。また,中川氏が監修したe-Learningは,がんの基礎知識やがん検診の重要性,仕事とがん治療の両立支援などに関する内容で,2020年1〜3月の期間中に全従業員が受講する。なお,今回使用するe-Learning教材は,「がん対策推進企業アクション」への提供や,Webを通じた公開が計画されている。さらに,社内でリテラシーテストを実施し,リテラシーとがん検診受診行動,検診結果などの関係について調査を行う予定である。
中川氏による講義に先立ち,同会場で記者説明会が開催され,富士通の健康推進本部健康事業推進統括部統括部長の東 泰弘氏が,今回の大規模がん教育に至る経緯や概要などを説明した。東氏は,大規模がん教育への期待を示すとともに,今後も健康教育を年1回実施し,第2回目のテーマは「片頭痛」を予定していることなどを紹介した。続いて,講義やe-Learning制作に協力した中川氏が登壇し,女性の社会進出や定年延長などにより働く世代でがんが増加し,「がん社会」が到来すると述べ,企業におけるがん対策が急務であると指摘した。さらに,今回の富士通での大規模教育を皮切りに,各企業に同様の取り組みが広がることを期待したいと述べた。
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●問い合わせ先
富士通(株)
健康推進本部健康事業推進統括部
TEL 044-738-3105