日本シグマックス,地域医療におけるポケットエコーの在り方に関するオンラインプレスセミナーを開催
2020-11-26
ポケットエコーが拓く地域医療の未来を展望する
セミナーを開催
日本シグマックス(株)は2020年11月24日(火),オンラインプレスセミナー「地域医療の明日を考える」を開催した。「すべての医療従事者が扱えるメディカルデバイスが拓く地域医療の未来」をテーマに,地域医療における携帯型超音波診断装置(ポケットエコー)の在り方や実際の取り組みについて2題の講演が行われた。
日本シグマックスは,携帯性とコストパフォーマンスに優れる携帯型超音波診断装置「ポケットエコーmiruco」を2016年に発売し,高い携帯性から在宅医療や訪問看護の現場などで活用されている。
セミナーでは,最初に総論としてポケットエコーの第一人者である弘前大学医学部附属病院総合診療部学内講師の小林 只氏が,「メディカルデバイスの大衆化が拓く地域医療の未来—近未来の医療環境を見据えたモノづくり・コトづくり」と題して講演した。小林氏は,へき地医療の経験から得た「医療は社会インフラの一つである」という地域医療への認識を述べた上で,医療のニーズとシーズは時代とともに変化し,またメディカルデバイスの技術も集約化・分散化・個別化へと変遷してきたことを,血圧計などを例に説明した。そして,この専門技術の個別化(大衆化)は,精度に課題があることに加え,不安のマッチポンプにつながりかねないことから,医療者は不安の軽減に誠実に向き合い,医療者自身が主体性をもって質の良い軽装備として上品に使いこなすことが大切だと指摘した。エコーもポケットエコーの登場により多職種が利用する個別化が進んでいる中,不安のマッチポンプという悪循環を断ち切ることが必要だとして,小林氏は看護師によるエコー検査の質を担保するため,2012年から取り組んできたポケットエコーの教育システムの開発(ポケットエコーやトレーニングファントムの開発,テキスト執筆,講習会開催など)について紹介した。
続いて,公益社団法人地域医療振興協会十勝いけだ地域医療センター総合診療科・地域ケア科の並木宏文氏が,「看護師エコーを通じた地域医療への取り組み」と題し,沖縄県や北海道でのへき地医療の経験を踏まえて,地域医療の課題や看護師エコーの実際について紹介した。沖縄県与那国島に赴任した際には,限られた医療資源の中で“目の前の人に対応すること”が求められたと述べた並木氏は,ポケットエコーが看護師の職能向上や労務軽減などつながり,「島の人のためになりたい」と願う看護師の力になっていたと振り返った。また,北海道池田町では看護師向けのエコー講習会や訪問看護へのエコー導入に取り組んだことを紹介し,看護師がエコーを使うことに医師が理解を示してくれたことで看護師エコーが普及したと述べた。そして,誤嚥性肺炎を例に挙げ,訪問看護師によるポケットエコーの活用の実際を報告した。
最後に,小林氏がセミナーを総括した。小林氏は,社会情勢や価値観の変化により,医療は少しでも良い治療に高いコストを投入するというものから,安全性や低コストを重視する方向へと転換しつつあると指摘。そして,大きなコストをかけられない地域医療においては,「安全・安心・簡単・軽量・安価」がポイントであるとし,大衆層への一般医療という新領域の一例であるポケットエコーを活用して,地に足のついた活動を支えていきたいと締めくくった。
●問い合わせ先
日本シグマックス(株)
http://www.sigmax.co.jp/