iOSとAndroidのスマートフォン，
タブレットで使用できるVscan Air

GEヘルスケア・ジャパン（株）は2021年6月1日（火），ポケットサイズ超音波診断装置の新製品「Vscan Air」を発表した。国内累計約8000台の販売実績を誇るVscanシリーズの最新装置。本体とプローブを一体化し，専用アプリケーションをインストールしたiOS，Androidのスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスと，Wi-FiまたはBluetooth通信で接続して使用する。

本体は，131mm（縦）×64mm（横）×31mm（厚さ），重量205gという小型・軽量化を実現した。その本体の両端にコンベックスとリニアプローブを搭載したデュアルプローブ仕様で，浅部から深部まで幅広い領域の検査に対応する。また，バッテリー駆動により約50分の連続使用が可能。バッテリーはQi規格のワイヤレス充電に対応した。小型・軽量という特長に加えて，救急や災害医療，新型コロナウイルス感染症（COVID-19）などの感染症医療といった厳しい環境でのフレキシブルな使用も想定しており，IP67の防塵・防水規格をクリアし，1.2mからの落下衝撃にも耐える米国国防総省のMIL-STD-810Gにも準拠。メーカー保証期間も3年間とした。さらに，画質も妥協することなく，“SignalMaxテクノロジー”，128ch駆動のプローブにより，汎用超音波診断装置に匹敵する画像を取得できる。

メーカー希望小売価格は79万8000円（税込み87万7000円）で，受注開始は7月初旬を予定。初年度1000台の出荷を見込んでいる。

同日には，WITH HARAJUKU HALL（東京都渋谷区）において，記者発表会が開催され，ゲストスピーカーによる講演やパネルディスカッション，Vscan Airのデモンストレーションが行われた。記者発表会の冒頭，挨拶に立った代表取締役社長兼CEOの多田荘一郎氏は，2010年に国内で発表した「Vscan」が多くのユーザーに評価され，2014年に「Vscan Dual Probe」，2017年に「Vscan Extend」，そしてVscan Airへと着実に進化してきたと述べた。その上で，Vscan Airについて，スマートフォンやタブレットにアプリケーションを提供することで，さらなる拡張が期待されると力を込めて語った。

Vscan Airの出来映えに自信を見せる
多田荘一郎代表取締役社長兼CEO

また，ゲストスピーカーとして登壇した医療法人社団悠翔会理事長/診療部長の佐々木　淳氏は，Vscan Airなどのポケットサイズの超音波診断装置は，容易に持ち歩きができ，すぐに非侵襲の検査を行え，多くの情報を得られるなど，在宅医療の聴診器と言える存在だと述べた。同じくゲストスピーカーとしてリモートで参加した自治医科大学臨床検査医学講師/救急医学講座（兼任）の亀田　徹氏は，ポケットサイズ超音波診断装置は，COVID-19診療でも有用であると述べた。その上で，遠隔地にいる医師が，検査や診断をサポートできるVscan Airのメリットを説明し，自治医科大学が構築した遠隔超音波教育システムについてデモンストレーションを交えて解説。学生などの教育にも活用できると述べた。

在宅医療におけるポケットサイズ超音波診断装置のメリットを話す佐々木　淳氏

Vscan Airによる遠隔医療や遠隔教育への活用を説明する亀田　徹氏

最後に行われたパネルディスカッションでは，2019年に舌がんの手術を受け，現在もリハビリテーションに励むタレントの堀　ちえみ氏が参加した。堀氏は，超音波検査でがんが見つかった経験に触れ，すばらしい技術であるとした上で，Vscan Airのような装置は移動が困難な人と家族の負担を軽減できると述べた。さらに，堀氏は，がん患者と家族に向けて，告知を受けたときはショックだが，医療は日々進歩しているので希望を持って乗り越えましょうとエールを送った。

Vscan Airは移動が困難な患者と家族の負担軽減にもなると話す堀　ちえみ氏	亀田氏による遠隔超音波教育のデモンストレーション
Vscan Airのデモンストレーションを行う佐々木氏	堀氏らが参加したパネルディスカッション
会場外には歴代のVscanシリーズを展示