スミス・アンド・ネフュー,次世代型ロボット支援手術システム「CORI」の発売に合わせプレスセミナーを開催
2021-10-11
オンラインでのセミナーの様子
スミス・アンド・ネフュー(株)は2021年10月,最新型医療用ハンディ・ロボティクス「CORI(Core of Real Intelligence)サージカルシステム」(以下,CORI)を発売する。CORIは,人工膝関節置換術に用いられる同社の「NAVIOロボット支援手術システム」の次世代機で,赤外線カメラでハンドピースの位置を認識し,ロボット支援により骨切除の位置や切除量を制御する。安全かつ正確な骨切除で,前十字靭帯を温存する人工膝関節置換術にも対応する。10月7日(木)には,CORIの発売に合わせてプレスセミナーがAP浜松町(東京都港区)ならびにオンラインで開催され,「ロボット支援下人工膝関節置換術」をテーマとした講演やCORIの機能紹介などが行われた。
CORIは赤外線カメラを用いた三次元位置計測技術を搭載,ハンドピースの動きを常にトラッキングする。また,ロボット支援による骨掘削制御技術により,あらかじめ設定された切除エリア外にハンドピースが移動すると切除が自動的に停止するため,より安全かつ正確な骨切除が可能になった。従来製品であるNAVIOロボット支援手術システムと比較して,骨切除のスピードやドリル制御能力,赤外線カメラの反応速度が向上し,本体重量も約1/3以下と小型化を実現した。また,手術開始時に解剖学的指標などを認識して術後の靭帯バランスを予測,インプラントのサイズや設置計画のプランニングを行い,正確な骨掘削で前十字靭帯の温存を支援する。
プレスセミナーでは,同社マーケティング部の三上 諭氏が人工膝関節置換術の概要やニーズ,ロボット支援手術などについて解説した後,東京大学医学部附属病院整形外科・人工関節センター長の乾 洋氏が,「前十字靭帯を残せる人工膝関節置換術 その臨床成績と課題」と題して招待講演を行った。乾氏は,変形性膝関節症の国内のX線での有病者数は2530万人に上るとされ,治療選択肢の一つである人工膝関節全置換術は整形外科領域で最も成功した手術の一つであるとした。半面,前十字靭帯の切除により膝の安定性が低下し,膝関節機能の完全な再現が困難なことなどから患者満足度は必ずしも高くはなく,一方で前十字靭帯を温存する人工膝関節単顆置換術や両十字靭帯温存人工膝関節手術は患者満足度やQOL向上が期待されるものの,非常に高度な技術が求められることが課題であると述べた。そして,その課題を解決しうる一つの可能性として手術支援ロボットを挙げた。乾氏は,「前十字靭帯温存型人工膝関節置換術は,ロボットやコンピュータの支援なしに行うのは難しい。また,ロボット制御によりハンドピースの動きに迷いが生じないため,手術時間も短縮される」と述べ,手術支援ロボットの活用に期待を示した。
続いて,同社マーケティング部の大土井信介氏が,CORIに機能について映像を交えて紹介した。大土井氏は,CORIは安全かつ正確な骨掘削が行え,形状がより精密な前十字靭帯温存型インプラントに対応可能であるとした上で,CORIの活用を通じて,前十字靭帯温存型人工膝関節置換術の普及に貢献したいとした。なお,同社では年内に10数台,来年以降は20台以上の販売を目標としている。
●問い合わせ先
スミス・アンド・ネフュー(株) オーソペディックス事業部
https://www.smith-nephew.com/japan/
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