フィリップス・ジャパン,MRシステム「Ingenia」を最新装置へアップグレードする“SmartPathソリューション”の提供を開始
─装置寿命を延長させ,ワークフロー改善や画質向上を実現
2021-11-30
フィリップス・ジャパンは2021年9月,「Ingenia 1.5T/3.0T」を最新の「Ingenia 1.5T/3.0T Evolution」にアップグレードする“SmartPath to Ingenia Evolution”と,「Ingenia 3.0T」を最新かつ最上位機種の「Ingenia Elition X」にアップグレードする“SmartPath to Ingenia Elition X”の提供を開始した。SmartPathソリューションにより既存のIngeniaを最新システムにアップグレードすることで,新規購入よりも高い投資効果が得られるとともに,ダウンタイムも大幅に削減でき,TCO(総保有コスト)を改善することができる。
■ワークフローを効率化するSmartPath to Ingenia Evolution
最大の特長は,効率化された検査環境を実現する“SmartWorkflowソリューション”の搭載である。ガントリ前面に搭載されたタッチスクリーン“VitalScreen”では,検査に必要な情報の確認・設定が可能で,ガイダンス機能も充実。セットアップ完了後は,“SmartTouch”により,ライトバイザーを使わずにアイソセンターまで自動的にテーブルが移動する。また,検査室ドアを閉めると同時に位置決め撮像がスタートする“SmartStart”が実装され,検査効率を改善する。加えて,赤外線カメラと人工知能(AI)により高精度な呼吸同期撮像を可能にする“VitalEye”も搭載される。カメラによるモニタリングのため,骨盤や関節領域にも適用可能だ。操作室のワークフローも改善され,AIを活用した“SmartExam”では位置決めやMPR作成を完全に自動化できる。SmartStartと組み合わせることで,撮像開始から完了までクリック操作が不要なZero Click Examを実現する。
また,Speed/Comfort/Confidenceも改善される。全身領域で使用可能な“Compressed SENSE”では,画質を担保したまま最大50%以上の高速化を実現。ルーチン検査の88%で使用することができる。Comfortにおいては,ドイツの寝具メーカーと共同開発した低反発マットレス“ComfortPlus Mattress”や,映像・音楽による不安解消と視覚による検査ガイダンスを可能にする“Ambient Experience In-bore solution”を利用できる。さらに,静磁場制御最適化により静磁場均一性が向上し,安定的な脂肪抑制や広範囲撮像などの歪み抑制により,確信の持てる診断に寄与する。また,送信系もフルデジタルの制御システム“dSync”プラットフォームとなり,最新ソフトウエアにも対応可能になる。
■Vegaグラジエントを搭載したSmartPath to Ingenia Elition X
SmartPath to Ingenia Elition Xは,SmartWorkflowソリューションやCompressed SENSEなどに加え,最大スリューレート220mT/m/msのVegaグラジエントを搭載する。Vegaグラジエントシステムは,新たな製造プロセスと緻密に計算されたコイルデザインにより発熱や渦電流を抑制することで,シグナルロスの軽減,短時間撮像,高空間分解能化を実現する。拡散強調画像では時間の延長なく高SNRを得られ,3D MRCPやT2強調,Inflow MRAや関節撮像でも高分解能画像を短時間で取得できる。
■オンラインで製品発表イベントを開催
10月7日(木)〜9日(土)には,SmartPathソリューションを紹介するオンラインイベントが開催された。オープニングでは,オランダ本社MRビジネスマネージャーのNikhil Samar氏によるビデオメッセージが紹介された。Samar氏は,Ingeniaを最新プラットフォームに移行することで装置寿命を延ばし,ワークフロー改善などの多くのメリットを得られることに加えて,患者中心の検査を実現できることを強調した。
続いて,MRプロダクトマネージャーの諏訪 亨氏が,プログラムの特徴を臨床画像と併せて紹介した。Compressed SENSEの応用例として,3D MRCPでCSファクタを12倍速まで上げることで1回の息止め(18秒)で撮像できることなどを紹介した。また,VitalEyeを用いたMRCPや肩関節撮像では,動きの影響を最小限に抑えられることなどをアピールした。
最後に,病院内に設置されている装置を使ったデモンストレーションが行われ,Zero Click Examによりコンソールにまったく触れずに後処理も含めて自動で撮像が完了する様子などが紹介された。
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