日本放射線科専門医会・医会(JCR)が創立50周年記念式典を開催
2023-11-9
JCRが創立50周年記念式典
一般社団法人日本放射線科専門医会・医会(JCR)は2023年11月3日(金・祝),東京アメリカンクラブ(東京都港区)にて創立50周年記念式典を開催した。
JCRは,1973年に発足した放射線科専門医の会に始まる。83年に発足した日本放射線科医会と2001年に合併し,現在の日本放射線科専門医会・医会が誕生した。JCRは目的に「放射線医療の啓蒙と発展ならびに放射線科医の地位向上を推進し,会員間の情報交換を行い,もってわが国の医療の発展を通して国民の福祉に貢献すること」を掲げ,その達成のためにセミナーや講習会の開催,学術雑誌の発行,各委員会活動など,さまざまな事業に取り組んできた。現在は,4600名を超える正会員と1000名以上の準会員および15社の賛助会員で構成される。2021年7月からは山田 惠氏(京都府立医科大学放射線医学教室教授)が理事長を務めており,具体的な活動目標として,1)生涯教育の推進,2)多様性の推進,3)働き方改革,4)向社会的活動の充実,5)日本放射線科医師連盟の設立,6)国際交流,7)人工知能研究に関するイニシアチブの7つを掲げて活動を展開している。
式典では,開会に先立って桂三四郎氏による落語「まほう病」(麻酔科・放射線科・病理科を題材にした創作落語)が披露されたあと,山田理事長による開会挨拶が行われた。山田理事長は,放射線科はインダストリーと共に歩むことで発展してきたと述べ,医療は最後に残されたフロンティア,成長可能な領域であるとし,経済低迷から脱却するためにも医療業界が力を尽くさなければならないとの思いを語った。また,放射線科は人工知能や遠隔医療をいち早く取り入れるなど医療のイノベーションを推進し,今後もさらに広げていくことができると述べた。そして,医療側とインダストリー側がパートナーとして歩んでいくことが重要であるとし,今回の式典が両者の情報交換や懇親の機会となり,新しいコラボレーションが生まれることに期待を示した。
続いて,日本医師会の松本吉郎会長の代理として同会常任理事の城守国斗氏と,全日本病院協会の猪口雄二会長が登壇し,祝辞を述べた。城守氏が代読した祝辞で松本会長は,50年の歴史は,組織が理念に基づいて使命を果たし,長い間にわたって社会に貢献してきたことの証であるとし,これからも医療の進歩や社会の変化に対応しながら,国民のために人間性豊かな医療の提供に取り組んでほしいとのメッセージを送った。また,猪口会長は,放射線医学の発展がわが国の医療水準の高度化に大きく寄与していると述べて,放射線科医は病院にとって欠くことのできない存在であるとして敬意を表するとともに,医療AIの臨床への適用において放射線科医が大きな役割を果たしていくことへの期待を示した。
続いて,全国公私病院連盟会長や地域医療・介護研究会JAPAN会長などを務める邉見公雄氏が「生命(いのち)輝かそう放射線科の仲間達」と題して講演を行った。邉見氏は赤穂市民病院病院長を務めていた2005年に,中央社会保険医療協議会(中医協)の診療側委員に初めての病院代表として選出され,チーム医療や技術の評価,地方や病院医療を重視した診療報酬改定に取り組むなど医療改革に尽力し,現在は地域が主体となる医療・介護の提供の実現をめざした活動に取り組んでいる。講演では,その経験を振り返ったほか,医療を取り巻くさまざまな課題についての考えを述べた。中でも医師の需給・偏在の解消が一丁目一番地であるとし,医師の4大偏在(地域,診療科,病診,総合診療医の偏在)の現況と,その解消に向けた提言を示した。
講演後には,JCRの活動内容や関係者のインタビューをまとめたVTRの上映を挟み,式典に臨席した医師であり参議院議員の自見はなこ氏(内閣府特命担当大臣),古川俊治氏,秋野公造氏が登壇して挨拶した。
●問い合わせ先
日本放射線科専門医会・医会
https://jcr.or.jp