キヤノンメディカルシステムズ,「画論31st The Best Image」を開催
2023-12-19
CT,MR,超音波部門でThe Best Imageを選出
キヤノンメディカルシステムズ(株)は,2023年12月17日(日),「画論31st The Best Image」をJPタワーホール&カンファレンス(東京都千代田区)を会場として開催した。会場では,最終審査プレゼンテーション(CT,MR,超音波),特別講演,最終審査発表式が行われ,その模様はオンラインのWeb中継もされた。「画論 The Best Image」は,キヤノンメディカルシステムズのユーザーを対象に診断や治療に貢献する画像のクオリティや画像取得のためのテクニック,現場での創意工夫を総合的に判断し,審査過程におけるディスカッション(画論)を含めて,その有用性を広く臨床の現場にフィードバックすることを目的に開催されている。今回は全国のユーザーから437件の応募があり,その中の40件の優秀画像が最終審査に進んだ。
発表会の最後に挨拶に立った同社代表取締役社長の瀧口登志夫氏は,「当社の経営スローガンである『Made for Life』には,創業以来受け継がれてきた4つのDNAが息づいている。すべての患者のQOLの向上を願う思い,それを実現するために多くのユーザーとの共創を通じて得られた知恵やノウハウ,それを製品として形にする高い技術力,最後に国内外の医療機関や学術機関と培ってきたパートナーシップである。画論は,参加施設とのパートナーシップの下,臨床の最前線での知見やノウハウを共有して,それを製品やサービスにフィードバックする貴重な場となっている。最終的にその製品を活用いただくことが,患者の命を守る医療に貢献することにつながると考えている。この画論でお示しいただいた臨床応用の知見を広く世界に伝えて,画像医学の発展に寄与していきたいと考えている」と述べた。
最終審査の間に行われた特別講演では,五月女康作氏(福島県立医科大学 保健科学部診療放射線科学科 准教授)が,「ラジエーションハウスが魅せたかった画論の世界」と題して登壇した。五月女氏は,北海道大学医療技術短期大学部卒業後,筑波メディカルセンター病院に勤務,筑波大学サイバニクス研究センター(山海嘉之研究室)などを経て,2021年から福島県立医科大学保健科学部診療放射線科学科の准教授を務めている。漫画,テレビドラマ,映画となった「ラジエーションハウス」の監修者として,診療放射線技師を主人公としたドラマを描こうとしたきっかけや,自身の研究テーマなどについて講演した。ラジエーションハウスは,五月女氏が技師に対する世間のイメージとのギャップを埋めたいという思いから,高校の同級生だった集英社の編集者に漫画化をアピールするところからスタートした。当初はうまくいかったものの,五月女氏の研究者ならではの視点からのアプローチと熱意が編集者を動かし,原作者の横幕智裕氏や漫画家のモリタイシ氏らとともに2015年からグランドジャンプ誌で連載がスタート。結果的に大きな反響を呼び,漫画からテレビドラマ,映画公開へと拡大していった。五月女氏は最後に,「1枚の画像をめぐってさまざまな議論を交わす,この画論はラジエーションハウスの主人公である五十嵐唯織が画像を武器に患者に貢献する姿と通ずる部分があると感じている」と述べて講演を締めくくった。なお,キヤノンメディカルシステムズは,CTやMRI,超音波診断装置など各種画像診断機器の提供で撮影協力を行った。
特別講演後の発表式では,CT,MR,超音波の各部門で審査員から各賞が発表され,瀧口社長から記念品が授与された。今年はCTでは,1~160列,1~160列(心血管),Aquilion ONE,Aquilion ONE(心血管),Aquilion Precisionの5部門,MRでは,1.5テスラ以下(脳神経),1.5テスラ以下,3テスラ(脳神経),3テスラの4部門,超音波では,血管,乳腺・甲状腺・表在,腹部,心臓の4部門が設けられた。CT部門では,立位CTを用いた撮影(特別賞を受賞)やAquilion Serveの3D Landmark画像をマスク画像に用いた撮影方法〔1~160列(心血管)部門最優秀賞を受賞〕など,新技術を用いた作品も目についた。各部門の審査員と受賞施設は以下の通り。
【受賞施設】
〈CT部門〉
●1~160列部門
【最優秀賞】
伊万里有田共立病院
「X線陰性胆石検出を目的とした差分画像」
【テクニカル賞】
一般財団法人 平成紫川会 小倉記念病院
「急性虚血性脳卒中における還流評価補助画像」
福岡リハビリテーション病院
「SilverBeam Filterを利用した手指伸筋腱の描出」
【優秀賞】
順天堂大学医学部附属浦安病院
「超急性期脳梗塞」
●1~160列(心血管)部門
【最優秀賞】
植月医院
「下肢閉塞性動脈硬化症疑い」
【テクニカル賞】
植月医院
「下肢閉塞性動脈硬化症疑い」
【優秀賞】
独立行政法人 国立病院機構 関門医療センター
「LCXの慢性完全閉塞病変」
医療法人豊田会刈谷豊田総合病院
「単純CTにおけるBrain LCDを用いた体幹部STAT画像への適応」
●Aquilion ONE部門
【テクニカル賞】
水戸済生会総合病院
「便潜血陽性での大腸スクリーニング検査」
【優秀賞】
水戸済生会総合病院
「便潜血陽性での大腸スクリーニング検査」
浜松医科大学医学部附属病院
「EVAR後のエンドリーク」
●Aquilion ONE(心血管)部門
【テクニカル賞】
公立大学法人和歌山県立医科大学附属病院
「EVAR術後のEndoleak評価」
【優秀賞】
順天堂大学医学部附属順天堂医院
「CABG前の内胸動脈の同定 (造影剤量20mLで音声ROIを使用した胸部CTA)」
自治医科大学附属さいたま医療センター
「左室のoozing ruptureにspectral解析が有用であった症例」
●Aquilion Precision部門
【最優秀賞】
藤田医科大学病院
「Woven EndoBridge Deviceによる動脈瘤治療後のデバイス内造影剤流入の鑑別」
【テクニカル賞】
藤田医科大学病院
「高精細CTガイド下BPAが奏効した、重症の末梢型慢性血栓塞栓性肺高血圧症」
【優秀賞】
藤田医科大学病院
「高精細CTガイド下BPAが奏効した、重症の末梢型慢性血栓塞栓性肺高血圧症」
愛知医科大学病院
「大脳鎌テント移行部硬膜動静脈瘻 (Falcotentorial dAVF) の術前評価」
公益社団法人 日本海員掖済会 小樽掖済会病院
「横行結腸癌」
【特別賞】
藤田医科大学病院
「立位CTを用いた荷重下膝関節CTのエッセンスと未来への展望」
〈MR部門〉
●1.5テスラ以下(脳神経)部門
【テクニカル賞】
自治医科大学附属さいたま医療センター
「内頸動脈狭窄」
【優秀賞】
藤田医科大学ばんたね病院
「MCA動脈瘤」
●1.5テスラ以下部門
【最優秀賞】
自治医科大学附属さいたま医療センター
「分枝膵管型IPMN」
【テクニカル賞】
医療法人顕正会蓮田病院
「血行障害性疼痛」
【優秀賞】
日本医科大学付属病院
「IR併用FFE3D QuickStar(非同期)による胸部大動脈の血栓評価」
東邦大学医療センター大森病院
「子宮筋腫合併妊娠患者に対する息止めFASE撮像」
●3テスラ(脳神経)部門
【テクニカル賞】
藤田医科大学病院
「迷走神経刺激療法術前評価としての頸部MRI-3DCTA fusionによる迷走神経の可視化」
●3テスラ部門
【最優秀賞】
杏林大学医学部付属病院
「前立腺がん疑いにおける1mm thin slice T2WIの有用性」
【優秀賞】
帝京大学医学部附属病院
「遺残胎盤」
【Clinical Update賞】
自治医科大学附属さいたま医療センター
「左内頸動脈解離」
杏林大学医学部付属病院
「脳動静脈奇形」
〈超音波部門〉
●血管部門
●優秀賞
公益財団法人 大原記念倉敷中央医療機構 倉敷中央病院
「腹部大動脈人工血管置換術後に生じた吻合部仮性動脈瘤-下大静脈瘻孔」
淀川キリスト教病院
「腎動脈瘤との鑑別に超音波検査が有用であった腎動静脈瘻の1例」
岸和田徳洲会病院
「胸部大動脈瘤」
●乳腺・甲状腺・表在部門
【最優秀賞】
羽島市民病院
「機能的喉頭超音波検査が音声障害診断の一助となった声帯粘膜下腫瘍の1例」
【優秀賞】
奈良県立医科大学附属病院
「腹部CTでみつかった精巣病変」
●腹部部門
【最優秀賞】
飯塚市立病院
「超音波検査による門脈ガス血症症例の責任病変同定および手術適応診断」
【優秀賞】
医療法人社団水色の木もれ陽 肝臓クリニック札幌
「ソナゾイド®造影(後期相)におけるMFI(Micro Flow Imaging)の新手法」
浅ノ川総合病院
「孤立性上腸間膜動脈解離」
神戸大学医学部附属病院
「急性膵炎の原因検索目的に施行した超音波で指摘できた膵胆管合流異常症の一例」
●心臓部門
【最優秀賞】
国立循環器病研究センター
「心臓腫瘍内の血流を心エコーで評価できた症例」
【優秀賞】
近畿大学奈良病院
「左室と左房の往復をFireball signで確認できた肺静脈経由の腫瘤」
北海道大学/北海道大学病院
「経胸壁三次元心エコー法による三尖弁逆流の重症度評価が治療効果判定に有用であった1例」
●問い合わせ先
「画論 ザ・ベストイメージ」事務局
メールアドレス:thebestimage@medical.canon
https://thebestimage.medical.canon/