富士フイルムメディカル,国内営業部門統合後の全ラインアップを披露する展示会を大阪で開催
2024-10-15
大阪市中心部で開催された
「EXPANDING SOLUTION EXHIBITION OSAKA」
富士フイルムメディカル(株)は,2024年7月に富士フイルムヘルスケア(株)の国内営業部門を統合,CTやMRI,マンモグラフィ,超音波診断装置などのほか,ヘルスケアITソリューション,臨床検査装置などの医療機器・システムをワンストップで提供する,約3000名規模の国内最大規模の医療機器販売会社となった。これを機に,医師や診療放射線技師,医療機器販売者などを対象に,同社が取り扱う全製品・サービスを紹介する展示会が開催された。展示会は,ITEMなど展示機会が多い首都圏以外での紹介を目的とし,福岡に続いて2024年10月4,5日(金・土)に「EXPANDING SOLUTION EXHIBITION OSAKA」がハービスOSAKA(大阪市北区)で開催された。
●2024年4月発売のゼロヘリウムMRI「ECHELON Smart ZeroHelium」の実臨床画像を紹介
大阪会場では約1000名が事前登録を行い,ITEM2024の富士フイルムグループブースとほぼ同規模の会場に,放射線領域をはじめ内視鏡や臨床検査,動物向けソリューションなど同社がカバーするすべての領域の製品・ソリューションが紹介された。その目玉となったのはITEM2024で初披露された1.5T MRI装置「ECHELON Smart ZeroHelium」である。ECHELON Smart ZeroHeliumは液体ヘリウムを一切使用しない超電導MRIで,1.5Tの安定したハードウエアと最新のAI技術に,クエンチ配管が不要なことによる設置性の良さや,吸着事故などのトラブル時に顧客自身が復旧作業が可能であるなどの運用上のメリットが加わっている。画質の評価も高く,会場では大阪の施設に導入された第1号機,第2号機による実臨床画像も紹介された。
また,富士フイルム製の最新装置である64列128スライスCT「FCT iStream」は,3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT Core」により再構成と同時に作成画像が自動送信が可能となり,検査の運用性が向上している。そのほかに,64列CT「SCENARIA View Plus」のモーションアーチファクト低減技術「Body StillShot」や「Cardio StillShot」なども紹介された。
●AI技術による検査・診断能力の向上をアピール
富士フイルムでは,2018年のAI技術ブランド「REiLI」発表以来,ほぼすべての領域の装置・ソフトウエアにAIを搭載している。デジタルマンモグラフィの最上位機種「AMULET SOPHINITY」は,AI技術を活用して開発したプロジェクション機能「Positioning MAP」を搭載,過去画像から抽出したラインや左右反転させた画像が撮影台上に投影され,ポジショニングをサポートするほか,受診者の痛みをより軽減するための改良が施されている。
超音波領域にもAI技術が続々と搭載されている。同社の最上位機種「ARIETTA 850 DeepInsight」では,Bモード画像内の周囲と輝度の特徴が異なる領域を強調表示する「eScreening」技術により,乳房超音波検査のスクリーニングの負担を軽減する。画像やフレームレートに影響なく使用できるのがメリットであり,新たに「ARIETTA 750 DeepInsight」でも搭載が可能になった。
●進化を続ける3D画像解析システム「SYNAPSE VINCENT」
3D画像解析システムSYNAPSE VINCENTは,2024年4月にVer7.0がリリースされた。SYNAPSE VINCENTは毎年2〜3の新たなアプリケーションが搭載され,現在の搭載数は約80に上る。最近では,肝臓を変形させながら血管走行などを観察できる「+肝臓変形機能」や術中と同じく脱気した状態の肺でシミュレーションが可能な「+肺脱気機能」などの新機能が搭載されており,従来にないシミュレーションを実現している。また,ソニー(株)が開発した空間再現ディスプレイ(SRD)と専用ラップトップクライアントを組み合わせた「SRDクライアント」(オプション)も展示された。
AIプラットフォーム「SYNAPSE SAI viewer」は,新たな読影レポートシステム「SYNAPSE SAI Report」との連携により,レポート作成の効率化やワークフローの向上が期待される。ビューワとしての使いやすさなどが評価され,特定機能病院の6〜7割の施設で導入されているが,今後も利便性などを重視した新機能の開発・搭載を進めていく。
内視鏡領域では,上部消化管領域の内視鏡診断支援機能として日本で初めて承認された内視鏡診断支援機能「CAD EYE」で,大腸内視鏡検査におけるポリープなどの病変検出,鑑別を支援するソフトウエアが2024年6月に診療報酬加算の適用となったほか,下部内視鏡検査作成支援ソフトウエア「AR-C1」に続き,2024年9月末に上部内視鏡検査を対象にした「AR-G1」が承認されるなど,多くの機能・ソフトウエアの実臨床への導入が進んでいる。AR-G1は,日本消化器がん検診学会のガイドラインなどに則った判定基準を基に適切な静止画像を自動選択することで,検査ワークフロー向上が期待されている。会場ではAR-C1が紹介され,スタッフの負担を軽減する各機能がアピールされた。
そのほかに,富士フイルム製独自抗菌技術「Hydro Ag+」を採用したフィルタを搭載し,シャープ(株)と共同開発した医療機関向け空気清浄機や,デザイン・配色により快適な空間を実現する「やさしい検査室」など,医療にかかわるトータルサポートが紹介された。
なお,次回の展示会は2025年2月に仙台での開催を予定している。
●問い合わせ先
富士フイルムメディカル株式会社
https://www.fujifilm.com/fms/ja