富士フイルム,生成AIやトラストプラットフォームを核とするDXロードマップの説明会を開催
2024-10-24
登壇した杉本征剛氏(左)と鍋田敏之氏(右)
富士フイルムホールディングス(株)は,2024年10月17日(木),同社のDXの取り組みの概要を説明する会見を開催した。会見には,富士フイルムホールディングス(以下,富士フイルム)の執行役員CDO ICT戦略部長の杉本征剛氏と,富士フイルムビジネスイノベーション(株)の取締役常務執行役員CTO CTO戦略室長の鍋田敏之氏が登壇した。最初に杉本氏が「富士フイルムグループが取り組むDXについて」を,富士フイルムのメディカルシステム開発センター長などを務め,今年6月に富士フイルムビジネスイノベーションのCTOに就任した鍋田氏が,「ビジネスイノベーション事業のAI・ITを通じた成長戦略」について説明を行った。
富士フイルムでは,グループ全体でDXを推進するための指針として「DXロードマップ」を策定している。DXロードマップでは,3つのステージを設定しており,2030年度までに最終となるステージⅢとして,DXを持続可能な社会を支える基盤として製品やサービスを定着させることを目標としている。杉本氏は,同社のDXでは生成AIやデジタルトラストプラットフォーム(DTPF)を積極的に活用し,ヘルスケア,エレクトロニクス,ビジネスイノベーション,イメージングの各事業領域ごとに取り組みを進めていると述べた。
富士フイルムの生成AI活用では,同社のAI基本方針に基づいてAIの開発と利用は人間の尊厳と権利を尊重し,人間中心として人の役に立つ「アシスタントAI」を作成すること,目的(課題解決)を重視し生成AIに限らず機械学習や深層学習など目的に合わせてアルゴリズムを使い分け,技術を見極めながら開発や利用を行うことをめざしている。ヘルスケア領域では,読影レポート作成支援(所見サジェスト技術)として製品化されており,CTやMR画像の臓器セグメンテーション技術をベースとした読影ビューワの読影支援技術として画像所見文候補を複数作成して読影レポート作成を支援する。
DTPFは,企業や個人間のデジタル情報取引における相手・データ・スキームの信頼性(トラスト)を担保する情報基盤で,ブロックチェーン技術をベースとして開発されている。DTPFのヘルスケア領域での活用として,2021年より新興国でサービス事業を開始している健診センター「NURA」の展開について説明した。NURAではトラストファーストでのデータのやり取りが行われており,検査から検診結果のフィードバックまで2時間で終了し,医師から画像などを使ってわかりやすい説明が受けられることなどがメリットだ。2021年にインドでスタートし,2024年7月にはベトナムのハノイ,8月にはモンゴル国ウランバートルでサービスが始まっている。現在は合わせて7拠点,利用者数6万人の実績があり,今後中東やアフリカにも展開し,2030年度には100拠点を目標とする。さらに,インド政府が推進しているデジタルヘルスケア基盤「ABDM」と連携させ,NURAの健診データを医療機関でも共有できる仕組みの構築に取り組むことも紹介した。
●問い合わせ先
富士フイルムホールディングス(株)
https://holdings.fujifilm.com/ja